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2008年3月17日

大規模栽培化するか?雲南の花き生産

中国の雲南省昆明には少数民族の生活を伝える観光スポットがあって、今でも続く伝統的な部族の生活を垣間見ることが出来る。雲南省の大理は世界遺産になっている街で、ペイ族が住んでいる。中国人なら知らない人はいないペイ族の有名なダンサーのヤン・リーピン(女性)は、雲南省、四川省、チベット自治区の各部族から踊りや歌の上手な人たちを見つけ出し、劇団シャングリラを作っている。その公演が渋谷文化村のオーチャードホールであり、見に行った。

ヤン・リーピンの個性的な舞踏に思わず魂を奪われてしまうほどであったが、各部族からなるダンサーたちの踊りにもそのレベルの高さに驚嘆した。教育には知育、徳育、体育、群育があるが、中国系の人は群育が日本に比べて不得意であった。それがシャングリラの踊りを見る限り、一糸乱れぬ、さりとて個性を出して良いところでは個性いっぱいに躍っていた。こんなとき国際競争力ということを思い浮かべる必要はないのだが、思わず日本は再度群育においてもやり直さなければないのではないかと考え込んでしまった。

雲南省は花の産地として、またASEANの中国の玄関口として発展する。雲南省昆明から縦横の東南アジアスーパーハイウェイが通る。ここで花の国オランダの大規模花き生産プロジェクトが動き始めた。いずれも30ヘクタールないし40ヘクタールが1生産ユニットである。河野メリクロンさんも40ヘクタールにするということから、雲南省は大規模栽培で大量生産、大量販売を狙う地域になろう。

香港や日本の中国野菜に対する残留農薬問題に対処するため、2007年12月中央政府の命令によるものでしょう、雲南省政府は、花の輸出についても輸出検疫が大変うるさくなった。輸出業者によると一定規模以上の農家から花を買う場合は衛生管理もしっかりしているので安全安心だが、質が良くても地元の農家(生産規模が小さい)のものはリスクが高い。というのも、日本も昔そうだったが、なんでも水路に捨ててしまうのだ。ゴミもだし、廃液も流してしまう。その水を畑に使うわけだから、品物は良さそうに見えても輸出品となると仕入できない。それが中国の冷凍餃子問題からかまたこの3月から輸出検疫はさらに厳しくなった。こうなると手当てできる農場は限られてしまう。

ASEAN諸国ではバラやユリ、トルコギキョウなどは雲南省のものがよいといわれている。輸出できるその絶対量が減ってきているのだ。今、質が均一化した大量生産の技術を持っているのはオランダ人しかいない。ブラジルではきめの細かい高品質のものを作っているサンパウロ周辺の日系人は、オランブラ地域のオランダ人の生産販売に押され気味だ。メルコスールでアルゼンチンのブエノスアイレスの日系花作りにもオランブラのオランダ人系生産者たちは多大な影響を与えている。
今、オランダの花き生産者たちは昆明で生産がはじまった2つの著名な花き生産会社の動向を見守っている。彼らが成功をすれば、大手何社かが追従するであろう。ケニアやエチオピアのように投資ファンドと組んで出てくるはずだ。

大田花きは昆明国際花市場(Kunming International Flower Auction)を立ち上げのときから支援している。システム、機材が当時のアルスメール花市場、オペレーションが大田花き。2社がアドバイスし、昆明国際花市場はよく改革に勤めた。今では年中無休で「鮮度の一番良いうちに」と夕方からセリが始まり、荷が多いときは明け方まで競る。大田花きの目的は中国国内の流通がスムーズに行くこと、そのためには産地市場として昆明国際花市場がきちんと機能するようにしなければならない。そのことによって相対の斗南市場と競合関係にありながら、地元の農家が潤うようにすること、これが2つ目の目的であった。現在のところ、残念ながら少なくても2番目の地元農民の所得増につながっていくことはうまくいっていない。今後花作りをどのように雲南省政府は指導していくのか、共同出荷の考え方を持たない圧倒的多数の零細の花作りは確実に喰えなくなって、数が減ってきている。その傾向に歯止めはかかっていない。

投稿者 磯村信夫 : 2008年3月17日 00:00

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