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2008年4月 7日

謙のみ福を受く

今日、現場で「なんで菊のところに作り榊が置いてあるのか」といつも中国産の作り榊の入っている箱に近づくと、ほとんど正方形に近い小さな箱に小菊が入っているではないか。赤・白・黄と三色そろえて出荷があった。中国からの作り榊は根っからの花の業者でない人が開発をし、需要を拡大していって、今では花き業界の輸入率では最も高くなっている。これからどのように中国の小菊生産が出てくるかわからないが、日本への出荷が始まったことは事実である。

土曜日、久しぶりにブルーミストの簔口社長と会い、話をする時間が持てた。今年を入れてあと3年で2010年はおしまい。それまでにもっと家庭用の花をたくさん届けたい、それが簔口社長の願いだ。大学を出て、自動車会社のセールスマンになり、何故この人がと思うくらい話し方は朴訥なのに、1位か2位を争う車のセールスマンになり、その後ブルーミストという花の小売会社を興す。そして現在15店舗。「さらにもっと一人一人に花を届けたい。お客様は花を欲しがっているのです」と簔口社長は熱く語る。創業以来毎年120%で伸びているこの力は何なのだろう。ブルーミストのスタート時からお付き合いいただいているが、半年振りに会ってこの謙虚さと初々しさには頭の下がる想いであった。「出店を重ねるにつけ人を集めるのが大変でしょう」と言うと、「うちは人に恵まれていてどうにかなっちゃうのです」と言う。オランダ屋の屋号で展開する独特の看板や店の雰囲気は改装費が捻出できずにほとんど手作りでやった。よく売るが儲けようと思わないから儲からない。創業5?6年まで出店経費がかさみ苦しかったが、どんなに苦しくても社員をオランダに連れて行き、レンタカーを借りて社長自ら運転し、オランダの花き業界を社員に見せてまわる。簔口社長は「今年の正月、市場で生産者の声が聞けました。ボードに張ってあった手紙を読んでも油高や経費高で生産の大変さが伝わってきました。今まで景気が悪くなっていましたから、お客様の負担を考え安く売ろうとしていました。それを今年の正月から、それではいけないと思ってやめました。昨年よりも高く買って高く売る。少しですが高くしたらお客さんが離れるかなと思いましたが、社員が荷主さんも大変なんです。うちも頑張りますから、ちょっと上げさせてもらいますと説明して売っています」と言う。

わが花き業界のアンカーとして、簔口さんのように思ってくれている小売店は多い。花き生産者はぜひとも安心して生産して欲しい。ただし、国内生産者の皆様方、言ってくれないとわからないことも多いのです。ぜひとも我々に教えてください。そしたらその声を小売店に届けます。それを小売店に消費者に届けてもらいましょう。

投稿者 磯村信夫 : 2008年4月 7日 00:00

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