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2008年5月12日

今年の夏は価格を気にして

土・日の雨は痛かったと小売店は口を揃えていう。確かに残念だった。しかしこれは人知のなせる技ではないので良しとしよう。これを差し引くと専門店は健闘した。母の日はギフトだから、まず花の専門店へ行く。花以外のものをプレゼントしようと思っている人はメインの商品と花を少し添える。そういう買い方の人は百貨店などの複合店、量販店の花売場を利用する。今年の母の日、地方で相場が出ずじまいに終わった地域がある。それは地方ほど車社会で花市場も量販店対応型が進んでおり、母の日も他の仏事などの物日と同じ様に量販店中心で販売しようとした市場が多かった。しかしそれは違っていて、母の日はギフトだから専門店、次いでカタログやインターネット、こういう順番のはずだ。この通り、相場も形成された。

さて、母の日が終わって、今日は肌寒いが、我々花き業界には夏が来た。気になるのは今日の日経新聞の一面トップにある、ボーナスの伸び率は横ばい、非製造業では下がるところもあるという調査結果をまとめた記事である。企業はベースアップを極力控えて、儲けの実績で変動するボーナスで従業員の所得をここ数年上げてきた。しかし日経新聞の記事によると、いよいよその変動費化したボーナスさえも少なくなるということである。失業率は4%代になって、やや一時よりも増えたが団塊の世代の退職が予定されているから企業の雇用意欲は依然強い。しかし、従業員の給与は上がっていない。むしろ経営者は総支給額を抑えて今まで通りとし人を雇っているから、一人一人の従業員の給与所得の伸びは低くなっているはずだ。ある人は上がり、ある人が下がる、こういう風になっている。日本の全従業員の約1割が輸出をする大手企業などに勤務し、9割の人たちは内需のみを頼りにする業界に属している。9割の人たちが所得の伸びが感じられないということは、景気が良くなっているなどとは思えないし、むしろ7月のボーナスでは非製造業は下がるところが多いと調査結果をまとめているから景気は悪くなっていると思っている人たちが多く、ますます節約型消費となる。花は少子高齢化にもかかわらず、住環境が豊かになり、飾られる場所、植えて楽しむ場所などが多くなり、需要が減るどころか増えると思われている。が、今年の消費現場では、すでに昨年の秋からなんとなく匂って、今年になってから消費に手応えが感じられないと思っている小売店は多い。消費者のマインドと財布は昨年とは明らかに違う。小売店は時代が要望する質そして価格、今年は特に質と価格のバランスを気にしてお客様に買ってもらう。売り方、すなわち小売店がどうやってコミュニケーションをお客様と取るか、そのとり方が今年の花き業界にとって、とても大事なこととなっている。

投稿者 磯村信夫 : 2008年5月12日 00:00

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