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2008年8月11日

盆需要のトルコギキョウ善戦

8月初旬、「景気後退が明らかになった」と報じられた時期と盆の需要が重なったせいで、アナウンス効果で例年とは異なった相場展開での市況となった。夜温25℃以上は生き物の体調を悪くするから、菊の周年産地の愛知県や福岡県などは開花がずれ込んだり、奇形花が出たりする。温暖化の原因で菊類は不足すると予想されてはいたが、当初の見通しを上回った不足となった。それは最高気温35度以上の猛暑日が続いたりして「花保ちが良いのはやはり菊だ」と需要が高まったり、早い梅雨明けで干ばつ気味になったりして露地物の出来が良くなかったこともあり、菊・小菊は名古屋以西を中心に不足した。初めての経験だが、菊が不足し他の花に飛び火して不足したかと言うと不足しないのである。盆用の花は菊類を中心にテッポウユリやケイトウ、カーネーションやアスター、ものによってヒメヒマワリやソリダコを使う人もいる。そのようにいろいろな花の取り合わせでセットになっているにもかかわらず、不足しているものが菊だけで菊だけ高く、他の花は平常と変わらないか、中には安いものまであるのである。明らかに仕入段階で弱気が出ている。

この盆需要で新しく仏様の花として定番化したのは、6月から安値が続いていたトルコギキョウだ。もちろん以前から仏壇の花としても使われていたが、今回完全に定着し定番化した。トルコギキョウは30歳代から40歳代の消費者が花を買い渋っていたため安値が続いていたが、このお盆の時期に来て割安感を全面に出そうと量販店向けにもトルコギキョウが使われ出した。荷が潤沢なときには、それぞれの持つ花の「商品のライフサイクル」がシェアの取り合いの勝者となるが、今年の盆でボリュームを出す花材としては、リンドウとスターチスをおさえて、トルコギキョウがシェアを拡大した。
花は歌と同じ様にその時代その時代を映し出し、色も素材も時代とともに変わってゆく。

投稿者 磯村信夫 : 2008年8月11日 00:00

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