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2008年9月22日

上半期最終月の動向

今日は三点をお知らせします。

1、9月の彼岸の商況
台風にたたられた一週間であった。景気が良くないから下振れの幅も大きい。過去2年間、8月・9月と相場がしっかりしていたこともあって、作付けも先週は需要よりも多かった。前年比だけで見れば、2ケタマイナスの需要となった。

2、汚染米に端を発する安全安心と不当表示問題
日本の農業関係者は消費者の理解をいただき、値上げで少しでも手取りを増やし、資材の値上がり分のマイナスを跳ね返したいところだ。ところが農水大臣と事務次官の更迭があったわけだが、それがまた多大な迷惑を及ぼした。トレーサビリティーによって安全安心基準を担保する必要がある。残留農薬問題、ポジティブリスト、ユーレップGAP、世界の花の安全安心運動MPS、そして近頃はカーボンフットプリント、そしてフェアトレードなどいくつもの農産物表示がある。ここで大切なのは第三者がチェックしている基準はどれなのかということである。これらの表示を信用できるのか。コンプライアンスからも必ず第三者チェックが必要で、本当に不当表示はないのか自主検査のみのところと分けて表示させるよう業界の運動と行政指導が必要だ。

3、緊急特別販売対策会議
先日、2つのJA県連で緊急販売対策会議が開催された。今年に入ってから花も野菜も果物も、過去3年間で単価が最も低い状況が続いている。燃料、肥料、ダンボール、保温ビニール、運賃などが高騰し、生産者は「もう農業を続けたくても出来ない」と言うのだ。今まで「厳しい」いう形容詞が使われていたが、厳しさを通り越して「深刻」だ。

生産側では種苗会社からJAや輸送会社まで、農家を応援する組織がある。農家は市場に販売を委託し、消費地では卸売市場(卸・仲卸)は再販業者である小売店に買ってもらい花を消費者に届ける。チームの一員である小売店にもっと産地の現実を理解してもらう必要がある。サプライチェーン全体が全体最適でない限り、生産は持たないのだ。具体的には卸売市場で主要な買い手を集め、販売対策会議を開く。各県がバラバラに開催しては大変だから、県連の消費地事務所の横の連絡会で調整をし、担当を決めて行なう。一度だけではダメで、少なくとも中央卸売市場で、東京でも3回は必要なのではないか。同時に契約でも生産者の再生産単価をきちんと提示する必要がある。

個人の生産者は冬に暖房をしないで休む人もいて、昨年同様冬もしっかり出荷しますと言う人はまれだ。花き部会など組織化されている出荷団体は需要期を外してしまったり、温室の回転率が下がったりすることが、結局消費者に迷惑を掛けることになり、取引先に当てにされないようではいけないと、せいぜい少なくなっても一割くらいの出荷減を予定している産地が多い。

2009年の冬、はなを消費者に届けるために、この秋のうちに生産者の現状を買い手に理解してもらうことが卸売市場として必要だ。

投稿者 磯村信夫 : 2008年9月22日 00:00

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