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2008年11月24日

クリスマス飾りは48週に

昨日、勤労感謝の日が終わった。前日の11月22日はいい夫婦の日でカスミソウの日と設定している。きっと世の男性で奥さんに花を贈った方も多いと思う。

アメリカでは11月27日、サンクスギビングデーがあり、この日が終わるといよいよクリスマスシーズンに入る。日本は小売の販売促進のためにクリスマスが使われて、10月末ハロウィンが終わると早速クリスマスの飾り付けをする雑貨屋さんも多くあった。しかし消費者の考えは違って来ていて、こんなに急激に経済環境が変化する世の中にあって、生き方をスローライフに定めないと流されてしまうと思ってらっしゃる人も増えている。ゆっくり歩きながら時とともに過ごす。そうした動きに呼応する傾向が近頃目立つ。ようやく今週、店飾りをクリスマス用に替える店がそれだ。こう見ていくと、一流の条件とは変えるべきことと変える必要のないこととを明確に分けて、変えるにしてもタイミングを大切にしている点にある。変えるとしたら徹底して変える。その徹底振りは本物だ。季節の楽しみをお届けする花き業界の仕事の仕方は、変化するその地の風景に合ったその時期の色使いからはじまる。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月17日

来るべき冬の価格設定

9、10、11月と三大都市近郊で、花が露地で作れる時期なのに入荷が前年を下回る月が続いている。特にここ数年は小菊が少ない。そう実感するようになったのは農薬問題からだ。最初は指定農薬で花の消毒に使える農薬が少なくなった。だから効く農薬がなくなったと特に露地栽培の生産者は嘆いていた。そのうち農薬はポジティブリスト制になって、この農薬以外は使ってはならないとなった。露地菊の産地は露地野菜の産地にある。隣が野菜を作っているとなると、野菜の農薬検査をしたときに、指定外の農薬が入っていたのでは困る。また残留農薬の問題もあろう。そういうことから野菜の畑の中に花の畑が点在するということが徐々になくなってきた。

だいたい露地花は高齢者が作っている。若い花作りは簡易温室のところもあるが、ビニールハウスかガラス温室が普通だ。3年くらい前から肥料や農薬、運賃が上がり始めた。特に今年に入ってからは本当に値上がりがきつく、生産費がかさむばっかりであるのに消費不振から市場の相場はパッとしない。こうなるとやる気が失せて、露地物は本当に少なくなった。またご高齢の生産者が花つくりをやめていくことが多くなった。今年の夏は集中豪雨があったが猛暑ではなかった。台風も来なかった。それなのに露地花のシンボルである小菊が足りない。これは意欲が減退した、やる気が失せた、少なくても「無理することはない、やってもしょうがないのではないか」という気持ちが蔓延しているのだろう。困ったことだが事実は事実。単価にはまだあらわれてこないが、消費が減退していくスピードよりも、供給の先細りの方が早く起こっており、今後需給バランスを押し測った価格設定をどのように行なっていくかがポイントになる。
消費者は景気が悪いから節約志向になっている。その中でも限られた財源で、元気に明るく快適に生活したいと思っている。だから安全安心な国産野菜や果物、次いで花と青果花きでは順番付けられる。野菜や果物は重要度が高いし、中国製品の問題があるから前年並みの売上を確保できるかもしれない。しかし花はその次に来るから少し需要は減るだろう。だがそれよりも供給量が少ないとなると、価格設定が難しい。どうしてもこれだけ生産経費が値上がりしたから、加工食品と同じ様に値上げと考えがちになる。だがそのとき、このように考えて欲しい。「いや、待てよ。消費者もボーナスが減って、しかも生活費はかさんでいる。とにかく花を選んでもらわなければならない。いっぱいある商品の中から花を選んで買ってもらうにはここは我慢のしどころ。とにかく花のある生活をしてもらう。そして消費者から買っていただこう。」こういう風に考えて商売してもらうのが今年だ。

年度前半(4月から9月まで)は昨年よりも1割以上も単価が安い日が続いた。10月も同様。仕入れが安かったので今年は楽だと利益を出している花屋さんが少なくとも全体の中で三分の一はいる。そういう人たちは高く買えるだけの余裕がある。そうでない人たちは商店街立地や駅前立地などかつては良かったが、街が変わってさびれたところで花屋さんをやっている。そういった三分の二の花屋さんは本年度のように単価が安くても利益があまり出ていない。どうも花き小売業界においても、皆が良いということはないようだ。だから時期によって消費者やがんばっている花屋さんに認められている花や産地は、消費者の生活の優先順位からいって今後、前年並みの単価をまず目標にする。ここからこの冬の価格設定を始めていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月10日

花は生命

日曜日には政治経済番組が特に午前中を中心に放映される。今は楽観論を言うと間抜けのように思われているから、懐疑的な論調で結論は終わる。そうなると、我々視聴者はもっとこれから悪くなるのかと考える。こうして不安な気持ちになり、毎日の生活に張りがなくなる。なんと言ってもやる気が失せるのが問題だ。社会の空気と言ってしまえばそれまでだが、もっと“気”に満ちた生活を送っていってもらいたいと思う。

その“気”に満ちた展示会を昨日、3つ見てきた。日本橋高島屋の草月展、ベストフラワーアレンジメント創刊7周年記念スペシャルイベントの3人の花活け、目黒雅叙園で開催されている假屋崎省吾氏の百段階段の花活けである。もう満員御礼。流れに沿ってみる以外にない。が、しかし、その作品に思わず魂が揺すぶられる。まわりの人たちの熱気を感じ、作品群が観衆と一緒になってかもし出す熱いエネルギーのような、ある意味ではおぞましささえ感じる。花は“静”ではない、花は生命で、故岡本太郎氏が言うように“爆発”だ。最寄りの駅から電車に乗って本を読んでいても少しも文字が飛び込んでこない自分に、久しぶりに感動の深さを思った。家にある花とは違うものが、プロによって引き出された花にはある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月 3日

地域内でしか流通しなくなった鉢物業界

今年のIFEXでは商品開発したカーボンオフセットプランツや凪、あるいはキリンさんと協業している無花粉ガーベラのフルーツケーキシリーズ、そして香りの商品等を展示した。たくさんの方々にお見えいただいたが、ちょうど接客中だったりして直接お話しできず失礼してしまった方も多かった。卸売市場、生花商というルートの日本の90%を占める流通ではない、いわゆる市場外流通を得意とする業者も多数出ていて、IFEXは見る価値がある。特に海外や国内産地からの出展ブースはなかなかのものであった。

先週開催された大切な会議は生産協会と卸売市場協会との会合であった。多岐に渡り話し合われたが、ポイントを絞るとすると二つ。一つは、鉢物の輸送運賃問題。現在、運賃の値上がりで生産者は売上高運賃比率が15%を超え、20%になる場合もあるという。だから生産者は道州制を敷いて、北海道・東北・関東・北陸など、そういった天気予報で使われるような地域内でしかもう鉢物は流通しなくなった。これをどのように他の運賃同様のレベルまで引き下げ、流通を活発化させるか、生産協会と市場協会の鉢物部会でプロジェクトを組むことになった。また、バケツ輸送は切花を鉢物化したわけなので、市場協会の切花の多い会員の参加も促すこととした。もう一つは花の消費宣伝基金の具体化へ向けての話し合いだ。市場協会の理事会を経て、全花協(共同歩調を取れないJFTDを除く、生産協会、市場協会、日花協、インドアグリーンの4団体)で行なうか、あるいは生産協会の意向を受けて、先行して生産協会と市場協会で行なうかを決める。とにかくこの機を逃しては永遠に消費宣伝活動ができなくなってしまう危機感のもと、前へ進めるということでこの会議の合意事項とした。


P.S.前年比マイナス10%の出荷量
台風がなかったので昨年相場が良かった11月、そして12月まで、冬場担当の暖地はいずれも107?110%の出荷量を見込んでいるが、11月の初旬に既に日本海側北関東以北の産地からの出荷はユリやチューリップ、ストック、ラナンキュラスを除いてほぼゼロに近く、昨年は12月も出荷されていた高冷地・中間地の出荷はストックやスナップを除きなくなる予定。となると、全体量として切花、鉢物とも前年比マイナス10%の出荷量となると考えてよいだろう。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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