大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« クリスマス飾りは48週に | トップ | 第50週の荷動き »

2008年12月 1日

A重油下がる しかし・・・

昨日の夕方の交通情報では、行楽地に行った人たちの帰り渋滞で、どこの高速道路も混雑していたという。ガソリン代が下がったから、家族でドライブを楽しむ人たちが復活した。

花作りで使う重油はA重油だ。11月はリッターあたり85円だったが、12月には65円となった。地域によっては今も70円台のところもあるが、もうかなり下がってきている。しかしニュースでは経済的に暗い話しばかり。花き業界もシクラメンやポインセチア、シンピジュームなど、冬の商戦が始まったがどうもいけない。給料支給後の最初の土、日だというのに、昨日、一昨日は店頭の荷動きが良くなかった。こうなると今週の4日や5日にボーナスを支給する会社が多いが、受け取った社員は前から聞かされているものの、実際に昨年より少ないとなるとやっぱり消費意欲は減退する。これは一般社員についてだが、今年はパート・アルバイトにまで賞与が支給できる状態の会社は本当に少ないと見るべきだろう。世の奥さん方が家計を握っているわけだから、第51週の15日頃まで、あるいは少し長く見て20日頃まで、個人消費は少し元気のない状況となるのではないかと推測する人たちが多い。こういう状況下ではA重油がリッター65円になっても、なかなか生産者は焚ききれないところだ。特にこの冬、出荷するかしないかを決めたところで、農協の部会や地域の生産出荷組合の活動が活発な地域は情報交換して、暖房効率の良いハウスは加温し出荷するが、効率の悪いハウスや冬出荷するには新たな設備投資が必要なハウスは出荷しないことにしている。花き部会の活動が活発でない個人出荷が多い地域は、高齢化や後継者がいないこともあって冬は休むところが多い。こうなると品目によって違うものの、この冬2割以上少なくなることが想定される。

話しは変わるが、先日ソウルに行ったとき、「今度の不況で花の需要が3割減っています。日本はどうですか」と聞かれたので、「今のところ1割減っていますが、今後の実態経済への影響を考えると15%?20%減るかもしれません。今までの努力しかしない場合には10%?20%減。しかし消費者に花の良さや花のある生活の楽しさ、そして割安であることを伝えることができれば1割の需要減で止めることが出来ると思います。ヨーロッパでは不動産バブルが激しかった国を除いて、5%のデフレで済み、消費量は変わらないと見ているようですが、日本は残念ながらお客さんが減って、消費本数や鉢数が1割減ると見ています」と答えた。そのソウルの著名な経済人は「日本は3万5000ドルの年収、韓国は2万ドル。ウォンが下がり、今後輸出は急増すると思いますが、輸入品である油代はそうは下がらず、国内の施設園芸に打撃を与えています。パプリカなどの果菜類と花を日本に輸出していますがどこまで帳尻が合うか、工業はどうにか乗り切っていきますが農業が心配です。韓国国内で花の需要が3割減になっていると推測しますから、どうしても12月は日本に頼らざるを得ないところです。日本の全体の出荷量は12月どうなりますか」と聞くので、「大産地は昨年よりも1割多いですが、日本の多数の小産地や小さな生産者は花の栽培をやめており、全体で昨年よりも1割以上少ないのではないかと推測しています。1割少ないとなると、今年の傾向として需給バランスが取れ、単価は昨年よりも安くなっていますが、80%代になると単価が反発します。12月20日以降、年末年始の花の需要は例年と比べてそんなに落ち込まないでしょう。クリスマスと正月を迎えるとき、そんなにケチってどうするのだと考えている人が多いでしょうから、月の前半が難しそうですが、月の後半は悲観することないのではないでしょうか」と話してきた。

その方は花に関係のない人だが、日本に留学の経験もあり、お母さんが生け花を学んでいたこともあって、韓国民の豊かさのシンボルとして花のある生活があると考えている方だ。文化の交流もお互いにできるようになり、共々今後良き隣人として交流を深めていく。その中に花の輸出入がある。今は日本に来るばかりだが、日本のすばらしい花をウォン相場が落ち着いたら韓国に輸出できると思う。

投稿者 磯村信夫 : 2008年12月 1日 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.