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2008年12月22日

千両市、苔松・苔梅市

昨日は千両市、苔松・苔梅市であった。20日を過ぎての千両市は初めてのことで、日本列島を見渡しても東京は一番遅い千両市であったと思う。先に市を行なったところでは、九州の相場は昨年並みから3割安。それ以外のところでも3割安が一般的で、卸売市場によっては昨年の半値のところもあった。今年の千両は表年で実付きが大変良く、上位等級が多かったから、当然箱数が多く出る。本数でも多く、さらに箱数が多かったわけだから日本中の市場では平均して2割以上多かったわけである。3割増の半値は我々プロが持つ花の相場感だが、今年もまさにそうなった。安値相場の中でも、気を吐いていたのは撰別が厳しい(自らに厳しい荷主さんの)千両であった。特・1・2・3上・3としっかり撰別が出来ている産地は相場がしっかりしていた。しかし「これで1等か・・・」、「これが2級か・・・」という撰別のあまい産地もあり、そういうところの品物は特級はそこそこ売れたが、それ以下がいけない。大勢でやる仕事が松や千両の仕事だ。トップの心意気によってこうも変わるのかと相場の格差にビックリする。景気が悪いときほど買参人の要求は厳しい。厳しく自己を律して撰花、撰別した産地のものは高い評価を得ていた。よく言われる「世間は嘘をつかない」であり、「目は節穴ということはありえない」のだ。

苔松の話しを若干すると、今年はよく売れた。荷主さんはこんな景気だから大きな苔松の数を少し控えていたが、西洋人のクリスマス同様、日本人は正月をきちんと行なう。ホテルや料理屋など、例年通りの良いものを仕込んでいった。苔松・苔梅は昨年よりよく売れた。花き業界の心意気を見たようで、昨日は大変嬉しかった。


今、花き卸売市場業界では、相対とせりの比率が逆転してきた。せりが活性化され、活きている市場はそんなに多くない。せりを販売の手段として使っていても、相対だと1人1人を相手にしなければならないが、せりだと多数を相手にできる。「この値段でどうだ?」と言って、誰もいなければ値段を下げ、「この値段でどうだ?」というように、せり下げ定価売りをしているところが増えてきた。もちろんすでにせりを行なわない卸売市場や、せり前相対で残ったものをせりで処分する卸売市場が多くある。こういう状況の中で今年の松市と千両市が行なわれた。景気が悪いから、需給バランスは供給の方が多いという中での松・千両市であった。焦って販売し、せり前相対で安値で仕切ってしまった市場も多い。せりをやらないのならそれで良いのだが、松と千両の市はせりを行なう。よって昔と同じ様に品揃えが大切なわけだ。欲しいものがなくて花屋さんはせりに参加するだろうか。「ろくなものがないと」買参人はせりに参加しなかったから、今年いくつもの市場でとんでもない相場となった。来年は必要数量だけ注文するようになるだろう。それが生産者の声だし、小売店の声でもある。

投稿者 磯村信夫 : 2008年12月22日 00:00

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