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2009年2月16日

多様性は進化

13日から東京ドームで「世界らん展」が開催されている。これを目当てにタイや台湾から生産者や学者がいらっしゃることが多い。生産者といってもアグリビジネスの社長で、まさにビジネスマンの人たちだ。日本で生産者というと自作農で、そんなに大きな面積ではなく、米と花あるいは野菜など複合経営をしている人たちが多く、農家はまさに生産者として自分の農場のマネジメントを地元の農協に外部委託している人が多いが、海外の生産者は事業家であることが多い。その人たちと今年は為替の話しに終始した。為替を決めるのは政治と経済だから必然、アメリカやEUのそして日本の政治経済の話になる。今まで人件費高に嘆いていた台湾やタイの生産者たちも、経費を抑え、質を高め、日本に今まで以上に出荷していくことを希望していた。

春一番が吹いて、陽気に誘われて都内を散歩すると、思った以上に早咲きの桜が咲いている。関東地方で結婚式の件数ナンバー1が目黒の八芳園だそうだが、そこの庭にもすばらしい桜がある。大田市場の花き部でも河津桜はいよいよ見ごろを迎えた。今まで2月に入ると花桃の販売に集中していたせいか、早咲きの桜に無頓着であったが、こうして見ると結構あるものだ。

昨日房総半島の花の産地を駆け足で見てまわった。ここにも桜は至るところにあった。房総市丸山の石堂寺では梅が見ごろを迎えていて、その香りに魅了された。梅でも数がまとまると、ほのかな香りも濃くなって、梅の香りはこういうものであったかと思い出させる。観光地となった花摘みの房州白浜から千倉、和田にかけては、かつて市場出荷をしていた人が、「花狩り」とも言っているらしいが花摘みで身を立てている。房州をまわって花と野菜の直売所と葬儀のセレモニーホールが随分と増えたように思う。市場出荷の産地としては、若年がはりきっている丸山地区を除いて3?5%ずつ毎年落ちるだろう。岩井、富浦や館山は、後継者が比較的多くいる地域だが、学校を卒業して即後継者に入るところは少なく、少し他人の飯を食って、社会・会社とはどういうものであるかを身に付けて戻ってこさせるという花作りが何軒もいる。安房郡の花作りは昔と違って、大変交通便が良くなって、その分経営マインドを持った農家でないとやっていけないと考えているようだ。そう考えさせているのは、アクアラインと館山道の開通だけではなく、南房総市になって地区のことをさらに深く考えるようになり、また農協も鴨川市農協が安房農協になり、安房郡が一農協になっていくことも、逆説的だが農家の経営者としての自立を促しているようだ。「今度息子を連れて行きますからよろしく」とか「市場に何年、オランダの生産者に何年」とか、そのように後継者育成プログラムを相談に来る人も多い。観光農業と東京中央市場に出す農業、そして関東や東北の一定規模の市場に出す農業、直売所や道の駅で販売する農業、花束加工をする農業、花農家としての生き様の多様性を今の房州に見て取れる。

投稿者 磯村信夫 : 2009年2月16日 00:00

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