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2009年4月13日

100年に一度

100年に一度の経済危機だが、100年に一度の日本農業のチャンスだと私は考えている。三菱総研の植物工場研究会だけでなく、人材派遣大手パソナの農業独立支援や農業団体への人材派遣、あるいは渋谷ギャル社長の農(ノ)ギャルなど、今までにない社会現象が起きている。

昨日もしじみで名高い茨城県涸沼に行った。そこで枝物の名手鶴田さんのお孫さんに会って、お兄さんの方は「おじいさんの後を継いで農家をやりたい」、弟は「市場に勤めてせり人になりたい」とおじいさんの薫陶を受け、中学生になって方向性を決めている。

そういえば千葉のカーネーションの名手稲葉さんのお宅でも、お孫さんが後を継いで花をやっていて、大変良いものを出している。子どもではなく孫が継いでいく形もあるし、長野県のJA諏訪みどり農協では農協のハウスのリース事業で都会から新規就農者を募集し、すっかり一人前のカーネーション作りに育て上げ、その人数も増えて花き部会は成長している。北空知も同様で、私が知らないだけで、全国でこのような動きがあることだろう。

農業は新しい時代に入っており、国としてのリスク管理の中での食料確保や国土保全、そして消費者の身心にわたる健康など日本農業を再構築する今までにない戦略を打つときが来ている。補正予算にも前倒しをして新機軸の政策が色濃く映し出されているが、大切なのは実行力である。

あともう一つ、ここのところで新しい小売店が活躍し始めているので報告したい。一つは10坪以上の専門店業態の花売場を経営するデザイナーが花屋さんとなった会社で、フランスの会社とも提携をしている。まさにフランスの専門店のよさを店の中で醸し出している。しかしブランドのような超高級店ではない。フランス人がそうである通り、自分たちが見て良いと思ったものを提供している。そしてこの店の良いところはレイアウトまで含めた花のデザイン性がやわらかいがエスプリが効いている点だ。これが花をよく知るオシャレな人に受けている。

もう一軒のとても元気な花店は、経営理念を掲げて、それを目標に仕事をしており、年次や月次の計画は具体的だし、天気による見切りのタイミングや在庫情報など、社長と店長のコミュニケーションは目を見張るものがある。店長は地方出身の若い人たちがほとんどで、若い女子店長も物日のときなど手を真っ黒にしていた。昔の花屋さんはよくこういうアクがついた真っ黒な手をしていた。家の近所のその店の店舗に行くと最後まで従業員はお年寄りの話しもきちんと聞いてあげている。質素と言うより粗末な本社。本社にある作業場や集出荷場はお世辞にも広いとか綺麗とはいえない。そこで各店長は朝揃い、夜は閉店後最後の従業員が戻ってくるまで社長は待つ。そうしているうちにいつの間にか10店舗を越えた。ここはよく売れる。ここのチェーンの中に雨が降っても売上が落ちない店が4店舗もある。信じられない販売力である。こういった注目される二つの小売り会社はやる気が開花したようにこの不況下で活躍している。この二社を思うとき、世間の目は節穴じゃないなと思い、ありがたく感じる。

投稿者 磯村信夫 : 2009年4月13日 00:00

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