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2009年5月 4日

2つのポケット

決算書が出来上がってきて銀行に見せると、「このままでは融資を継続できません」と昨年より一段と厳しい査定をされていると小売店が言う。プロパーの融資が難しくなって、保証協会付きじゃないと難しいと言う。この話を仲卸にすると、仲卸でも同様の答えが返ってきた。

会社にとって資金調達は方法が二つある。一つは世界では一般に商業銀行と言われている普通の銀行からお金を借りる。もう一つは社債を発行したり増資をしたりして、市中などから資金を集める。投資銀行と言われている証券会社を通じて広く市場から資金を集める。この二番目のやり方がリーマンショック以降実際に機能しなくなった。だから財務体質が磐石な大企業も、商業銀行からお金を借りている。そうなると当然、具合があまりよくない中小零細企業にお金を貸す銀行はほとんどなくなるわけだ。年度内に処理すべき減価償却をせず、表面上の黒字確保した会社に対し、出荷者である系統農協は銀行ほど厳しく見なかった。しかし本年、資金上立ち行かないところが出てくると思われる。ようやく黒字を確保しても体裁だけではだめで、合理化をして利益を出すことを忘れてはならない。

今ベストセラーになっているスズキ自動車の鈴木会長の「おれは中小企業のおやじ」の中に、「売上総利益と利益を一緒くたにすな」との話がある。鈴木会長が八百屋さんから聞いてそれを参考に考えたという。2つポケットの付いた前掛けをして商売をする。最初は左のポケットにお金を入れ、売って売って仕入代金の金額に達したら今度は右のポケットにお金を入れる。右のポケットだって純利益ではないが、しかしこの右のポケットからスズキは新しい投資をするということだ。ここを読んでいて、昔ヨークベニマルのまだ本当に立派なスーパーになる前、商売の仕組みを見たくて、郡山に見に行ったことを思い出した。売り場にはザルがいくつもぶら下がっていて、係の人が一定時間毎に売上代金を回収する。午後3時過ぎだったと思うが、回収してしばらくしてから学校の用務員さんが使うような鐘を責任者が鳴らす。それは「ネタ代が上がった。これから儲けだ。俺たちの給料や経費がここから支払われる。まだ荷は十分ある。やってやろうじゃないか。売れー」この鐘だった。とても活気があって、商売そのものを見ている感じだった。商売とはまさにそういうこと。ヨークベニマルはこうやって店長が勤まる多数の人たちが育っていった。ごっこではなくまさに自分で責任を持ってことにあたる。会社を経営できる人たちがここから育っていく。花き業界は甘い人たちが多い。今まで良かったからだ。だからここで仕事ごっこはやめて、真の仕事をすべき時が来ている。

投稿者 磯村信夫 : 2009年5月 4日 00:00

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