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2009年6月 1日

新しい日本 内需産業の農業

ここのところの梅雨のような天候で、品傷みが多く出ている。寒暖差もあったので、切花・鉢物とも植物の体力は万全というわけには行かない。だから生産者や産地によって、例年の品質と異なるので注意が必要だ。

週末にかけて、2010年以降の農業政策案がいくつか発表された。私は、農業は日本にとって必要不可欠な基幹産業であると考えているし、今後アジアの諸国とともに生きていく中で、日本のものつくりの源流である日本農業のポテンシャルを深く信ずるものだ。なぜここで農業について語っているかというと、日本の産業構造や消費構造を変える必要があると判断しているからだ。向こう10年かけて、基礎固めをしていく必要があると考えている。それはこういう理由だ。4月?3月期の上場会社の決算が発表された。2009年1?3月期は年率になおすと15%あまりのGDPマイナスであった。しかし新聞紙上で発表されている通り、輸出企業の在庫調整は終盤を迎えており、むしろ内需の設備投資と個人消費が落ち込んだ結果だと言える。輸出企業は中国とアジアに輸出先を求めているが、肝心なのは設備が過剰で設備投資が減っただけでなく、失業率が上がり5%にまでなっていることだ。すなわち需要を内需型に変えていかないと、もう日本国が2002年以前の経済規模になっていくことすら難しくなっているという事実である。そうするといかなる産業がこの国を引っ張っていくのだろうか。内需の中でどんな需要があるのだろうか。「お互い様」でつながりを大切にし、日本の組織の特徴である助け合うことに価値を置く、日本の持続的な繁栄はどこにあるのだろうか。

環境が救世主になるわけではない。これはむしろ当たり前のことで、「足るを知る」から始めていく。この国で必要なのは、高齢化するわけだから、介護だけでなく年をとっても生きている喜びを実感できる有償無償の働く場としての地域社会や医療施設、文化施設そして家族との絆を応援するもの。街や家のインフラを整えていくこと、国内外で楽しめる旅行など、富国有徳の国家にふさわしい国に作り変えていく政策の中でそれらをサービスする産業が育っていく。国を挙げて、観光立国にすることによって、そこの国のそこの地域の第一次産業は地元の名物として、旅行者に楽しみを与え、地域に誇りをもたらす。フランスに行ってフランス国以外の食材の料理を出されて我々は喜ぶだろうか。

農業は現在、パナソニックより売上は少なく、8兆4000億円の産業だ。酪農・畜産が1位で2兆6000億円、野菜が2兆円あまり、3位が米で1兆8000億円といわれている。まず日本中どこでも米を作ってきたので、主食である米の問題に農政は取り組む。最も大切なことだ。ついでマーケティングのセンスを活かし、新たな価値創造が可能な果菜類、軟弱野菜、花・果物などを国の基幹的な農業にしていく。バイオテクノロジー、育種の力から、生産、出荷の技術、また製品までやろうとすれば、農業者は自らやることができる。そういった農業をこの国の基幹産業の一つにしていくのだ。これが今、我々が目線を合わせて目標を一にすることだ。その中で、生産者と消費者を思い、卸売市場であれば自分の役割を時代とともに変えていけばよい。今は不透明だといわれているが、決して不透明ではない。ただ今回の不況が通り過ぎたら、また元の通りになるといった甘い考えは持てないということだ。内需を盛んにしていく。ではどんな産業がというと、新たに活性化させていくのが外国からいっぱい観光客に来てもらうよう治安を維持し、フレンドリーなコミュニケーション力を高め、観光業界を発展させること、国内の人たちもいっぱい旅行するから地域の名産を作り、地域を挙げておもてなしすること、それに合わせた一次産業や旅館産業、交通インフラなどを充実させることだ。日本のように同一国主が長い間統治している伝統に根ざした国はあるまい。そこで我々日本の売りとは何なのか。それを地域や国の位置で目線合わせするのが今で、これを持てば持つほど日本の進路が、花き産業の進路が定まり、そこに向け我々は日々努力し、新しい花き産業を構築しようとするだろう。振り子はこう揺れだした。

投稿者 磯村信夫 : 2009年6月 1日 00:00

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