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2009年6月15日

2009年初夏の販売状況

イタリアでG8の財務相会議が開催され、世界経済は明るい兆しが見えてきたと言う。出口(財政再建)の話も出たそうだから、お先真っ暗な状況から確実に改善の方向に向かっているのだろう。

5月に主幹事の野村證券のお誘いで支店セミナーに参加し、大田花きの紹介と花と緑の話をしてきた。資産の中で株式の比率が高い60歳代、70歳代の方々が中心のセミナーだ。不況による株価の暴落で、気分は落ち込んでいたが、ここのところに来て株価は回復の兆しが見えてきて、後期高齢者医療制度も改善されていく方向が明確になるなど、60歳代、70歳代の消費活動は活発化してきた。それは花の売れ具合を見ていてもよく分かる。法人需要が少なくなったので、付加価値の高い高品質な花が花屋さんの店頭に並ぶようになった。それを5月の下旬くらいから(母の日にもらった花が終わって)、店頭で買い始めている。景気も良くないし、お天気も愚図つき気味の6月。ジューンブライドというのも昔の話で、今は結婚式も6、7、8月と少なく、花の市況はパッとしないが、しかしその中でもヘビーユーザーに支えられて、まあまあ質の良いものはこじっかりした相場となっている。

そういえば昨年と違い、上物の単価が15%ほど安いのは法人需要、とくに会社の経費削減によって少なくなっている活け込みの需要の影響で、特に枝物と葉物が安い。活け込み需要の分野では、今ようやく輸出産業が少し在庫調整の目鼻が付いたところだから、今後個人消費や設備投資に回ってくるまで、しばらく時間がかかる。それは2011年からだと今のところ予定をしておいたほうが良い。

今それなりによく売れているが、しかし期待したほどでもないのがトロピカルの花である。ヘリコニアやジンジャ、ランや葉物など、期待値からすると少しがっかりしている。それは旅行業界やデパートの水着売場にもその雰囲気が出ている。今年の夏の旅行の受注状況は、ボーナスが前年よりも下がること、9月にゴールデンウィーク並みの連休があることから、いまひとつパッとしない。パッとしないから、「梅雨を吹っ飛ばせ」とか「暑い夏を楽しむ」だとか、そういう気分に消費者はなれないでいる。ようやく沖縄県でジンジャやヘリコニアが増えてきているのに、今回の不況は誠に残念だ。

だが、今回の不況で復活したのが、お父さんの価値だ。花き業界では定番の黄色のバラをずいぶんと前から予約相対を組んでいる会社がある。またひまわりを父の日の花として、業界ではキャンペーンをしている。お父さんはこの不況でがんばってくれている。同情票半分感謝半分のプレゼントが、今年ほど活発な父の日はないのではないだろうかと花き業界は期待をしている。

投稿者 磯村信夫 : 2009年6月15日 00:00

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