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2009年8月31日

衆院選を終えて

都議選で経験していたので民主党の勝利はわかっていたが、これほどまで日本国民が今までの政権党に不甲斐なさや不満を感じていたのかと思うと、複雑な気持ちになる。

新しいが時代始まっているのに、日本はズルズルと国際的な地位だけでなく、メリハリのある仕事生活や私生活を後退させてきた感がある。それにストップをかけ、前向きに取り組んでいこうと日本国民は決心した。今まで日本ほどノンポリの国はないと感じていたが、ここまで仕事や生活が難しくなると、やはり政治が仕事にも生活にも直接深く関わっているということを失われた20年で思い知った人たちが多くいた。

市民の声を役人経由ではなく、直接選んだ議員を通じ国政に反映させるという透明性の高い三権分立の姿を目指すことは喜ばしいことといえるだろう。今回の選挙に関しては、大田市場に入場している立場としても、羽田空港の国際化に合わせた大田市場のあり方、築地市場移転に反対の民主党が都議会の第一党になった後、また国政でも第一党になった今日、築地の再整備をどうするかなど日本が世界に誇るインフラシステムとしての卸売市場をどうするべきか再度検討し、21世紀にふさわしい市場に再整備してほしいと思っている。これで区切りは付いた。イノベーションを起こして、新しい需要を作っていける国家として8・30日本は出発することになった。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年8月24日

G20

先週の土・日の海の賑わいと言ったら、真夏の賑わいそのものであり、今年は夏らしい日が少なかったから終盤の土・日を存分に楽しんだようだ。週末暑かったので、思ったよりも花の売れ具合は活発でなかった。35週の今週から花き業界では本格的に秋に入り、夏物から秋物へ衣替えするわけだが、その動きは少し鈍いようだ。

皆様方はこの夏、旅行をされましたでしょうか。昨日、近所のガソリンスタンドの経営者と話していたら、長野県内もご多分に漏れず、景気が悪く、駅前はシャッター街と化している場所があると言う。一方、ロードサイト店は活況なので、景気が悪いのか時代が変わったのか、その辺の判断が難しいと言う。しかしその両方なのだろうという結論になった。“グローカルに考える”で、考え方の基盤となる我々日本の立ち位置はG7、G8の日本ではなく、G20の中の一員である日本を立ち位置とするべきだ。GDP世界第二位の座は今年、中国に譲る。このG20の平均的な豊かさや平均的なものの値段を我々日本の平均的な値段にする必要がある。G20の中でのお金の使いではどうだろう。購買力平価をもう一度チェックする必要がある。食料品の値段、花の値段はどうだろうか。

日本の生鮮食料品の価格はG20の平均値に近づこうとしている現実がある。抗しがたい現実だ。そうなるとまずはどうやって合理化するか。それよりも高いとしたら花保ちを良くして、バラなら必ず咲ききるようにして、1日あたりの鑑賞コストではむしろ安いと言われるものを日本の農業と生鮮流通は作り出さなければならないと思われる。
消費者が求める方向性はもう定まったのだから、我々はそれに向かい努力するだけだ。秋本番を前にして、この夏の締めくくりはG20で地球は動くということである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年8月17日

大田区・品川区のガーデニング・家庭菜園の例

農業について一般の人たちの関心が高まっている。産業としての農業ではなく、趣味の家庭菜園の人気も再燃してきている。農業については今まで触れてきたので小さなガーデニングや家庭菜園の大田区・品川区の動きを探ってみよう。

大田市場のすぐそばには旧東海道がある。大森警察から平和島までの間、昔ながらの道が残っている。そこから国道15号線に合流して、旧東海道は消えてしまっているが、その先の鈴ヶ森から品川まで旧東海道がある。大田市場のすぐそばの旧東海道の側には、大きな「平和の森公園」があって、水辺の生き物や緑を楽しめる。その先には「平和島競艇場」がある。鈴ヶ森の旧道を通ると、右脇には勝島がある。平和島とか勝島とかいずれも支那事変以降、第二次世界大戦中に埋め立てられたことが名前でもわかる。「しながわ水族館」やら大きな公園があって、その右手には「大井競馬場」がある。「平和島競艇場」と「大井競馬場」が向かい合っているのが面白いが、このところの緑は今ではすっかり森と化している。旧道の「鈴ヶ森処刑場」を品川寄りにちょっと行ったところに家庭菜園がある。このまわりの人たちは小さな区画だが家庭菜園を楽しんでいるのだ。またその先の立会川のところに坂本龍馬の銅像があり、そこには勝島運河として有名でボラがたくさんいるところだ。その護岸は一マス一マス品川区民に貸し出ししており、みんな花を作っている。一年中季節の花が咲き乱れていて、一マス一マスそれぞれ工夫が凝らされている。ベランダ園芸を楽しむ人も多いが、こういうみんなが散歩するその場所を自治体が貸し出しきれいにしていく。これが新しい市民運動となってきているのだ。大田市場の最寄りの駅は流通センターだが、改札を降りた正面の花壇は「東京港野鳥公園」を手がけているNPO法人の人たちの手によるものだ。地縁、血縁が濃い地方の方たちは、地域で草取りや道端の花壇を作ることなど普通に行われることだと思うが、人との付き合いが希薄な都会にあって、鈴ヶ森の家庭菜園も勝島運河の護岸のマス目の自作花壇も新しいコミュニケーションの場所として地域をはぐくんでいる。ふるさと東京のまちづくりの一端である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年8月10日

台風9号

外はすごい雨だ。台風9号の影響で大消費地である関西圏・中京圏・関東圏のいずれもがせり中、豪雨にある。産地に大きな被害が出ないといいが・・・と念ずる。


花は作るに天候、売るに天候で、天気の影響を大きく受ける。かつては計画販売をしたい買参人は、自分が望む質・量・納期・価格を揃えるために予約相対を組んだが、今は質と量が大切なことは言うまでもないが、価格一番、納期二番となっている。良くて安いことが今の世の中ではとても大切で、良くても高ければ売れ残る。こうなると予約相対ですべて揃えないでせりを併用する加工業者や量販店のバイヤーが増えてきた。せりはその時その時の需給バランスで決まるから、今日のように蒸し暑く、土砂降りだとすると、気分が重く相場は下がる。高いと買えて、下がると買えなくなるものだが、心して仕入れようとする花束加工業者と店が何人かいた。

それは今回の不況で、食品スーパーが消費者に広く受け入れられ、消費者は近所の食品スーパーは自分たちの味方だと感じている。加工業者はスーパーに普段と変わらぬ価格帯でお盆の花を提供し、一気に地域内のシェアを取っていこうという意欲を見せているのだ。7月の東京・神奈川のお盆のときも、専門店では本店格の店、チェーン店、そしてスーパーマーケットの花売場が消費者の支持を集めたが、8月もその流れを加速化させようというのである。大手の花の買参人は市場外流通するのか?しないと言う。卸売市場を利用して荷を集めないと、結局損をしてしまうことが多いと言う。

それは三つの理由からだ。一つはスーパーマーケットからの発注が年々遅くなり、間際だしロスを出さない数しか発注してこない。売るに天候だからだ。だから売れたら発注する。こういった臨機応変な対応が取れないとだめなようだ。二つ目は直接出荷者と取引すると、今日のように天気予報が土砂降りであっても、一定数量取らなければならない。台風の予報によると、たとえば自分の納品をするスーパーでは、「明日の11日に店があまり動かないだろうから納品を予定数量より少なくしてくれ」と店に言われているとしよう。その分12日に多く納品しなければならない。だから今日は、仕入れは少なくなければならないが、契約取引ではこういった臨機応変な措置が取れない。中に卸売市場が入ると仕向け先を臨機応変に調整することができるので不良在庫を持たずに済み、在庫が適正に維持できる。三番目にはお盆といっても使う花は次の通り。菊、小菊、アスター、カーネーション、ケイトウ、リンドウ、スターチス、オミナエシ、ソリダコ、ガマ、ハス。これが最低で11品。これを産地に行って契約してくるとしよう。4、5箇所の産地でこの11のものを納品できるのであれば良いが、結局そうは行かないから別々のトラックで納品される。何台ものトラックで納品するとなると、荷受業務をしなければならない。荷受業務をするということは内容まできちんと当たり、検品をしていくということで荷受・検品業務で少なくとも前日の午後から、夜中じゅう2、3人が必要となる。そしてそれを納品する店ごとに分けたり、花束加工する手順に合わせ、仕分けしなければならない。そのためにあと2、3人夜中から出勤させなければならない。それプラス、それらを分ける一定広さの作業場が必要となる。それは花束加工所とは別に用意しなければならない。そんなコストをかけられるだろうか。かけてもいいが高くつく。だとしたらミドルマンの卸売市場に荷を揃えてもらうところまでお願いをする。自社で行うのは納品別に小分け作業や花束加工をするための仕分け作業などの分荷機能だ。それだったら早く出てくれば良いので、どうにかやっていける。これが世に言う「取引減少の法則」だ。ミドルマンが入ることにより取引が減少する。産地においては農協の集出荷場がある。これと同じ機能が消費地に必要なのだ。だから花のように15,000アイテム以上もある農産物、しかも毎年2,000の新しい品種が出てくるものは、ミドルマン卸売市場の存在が欠かせない。それがトータルとして安くつく。

今日のせり取引では積極的に在庫しようとする者と、台風一過まで極力在庫を持たないようにしようとする者と、その買う量は何十倍もの違いが出た。マーガレットホールの法則どおり、結局卸売市場でフレキシブルに分配先が変わるということは大変無理のない商取引であるように見えて、自分で言うのもなんだが、卸売市場機能の素晴らしさを台風9号で再確認した次第である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年8月 3日

7つの効き目

8月盆の仕入れが始まった。エルニーニョの影響で涼しいのは良いが、雨ばかり。日射量は大幅に不足し、九州では豪雨で日本中の産地に被害が出ている。小菊も茨城産は前進していたが、日射量不足で遅れて、出荷ピークが7日頃となり、需要期ドンぴしゃりという怪我の功名の産地もある。しかし他の産地は遅れていたり、傷んで出荷できなかったりしているので品不足となりそうだ。前進開花に高値なしと言われており、8月盆市況の見通しは当初そのように予測されていた。しかしここに来て開花遅れが目立ち、ほおずきやハス、ミソハギなど1年に1回の物日の花が揃いにくくなるなど、当初の計画が狂ってきた。そんなことから再度、仕入計画を作り直す必要が出てきたわけだ。以上の産地状況に加え、土・日の高速道路1000円で、日曜日の晩上がってくるトラックの延着問題がある。市場に入荷が遅れれば、出荷時間は当然遅くなる。一番欲しい10日(月)に時間に合わせて納品することが難しくなるかもしれないので、仕入れが前倒しになる。しかし荷は天候の加減で遅れ気味、どこまで後ろにずらしてもらえるのか。今年は不景気で自宅にいたり、田舎に帰ったりする人が多い。お盆の花は売れるはずだ。このようなわけで、卸売市場では今日から荷の取り合いになってきた。

話題をもうひとつ。先月、日本フローラルマーケティング協会主催の夏季セミナーがあり、そこで会長である法政大学の小川教授とアメリカのスタン・ポーマ氏の講演があった。小生は残念ながら所用があり出席できなかったが、出席した社員からそのテキストを見せてもらうと、アメリカフローラルマーケティング協会が、ハーバード医科大学で心理学のナンシー・エトコフ先生ほか、著名な大学の先生の方々に花の効能を調査してもらい、その成果を広告宣伝に使っているとポーマ氏は言っている。
そのテキストで一番印象に残ったのが、花は7つのエネルギーを人に与えるということだ。
1、健康
2、感謝の気持ち 
3、愛 
4、静謐
5、繁栄 
6、新たなる始まり 
7、創造性(ひらめき、モチベーション)。
私自身を実験台にこれを7月下旬から追試し始めた。これが本当に効くのである。朝洗面台で花を見る、それが1日効く。夜、日記をつけたときに1日を振り返ると、効いていると思う。スイッチがオンになり、前向きになったのではないか。
そんなわけで、昨日東京は昼前に雨が降ったが、また小さな花を2つ買ってしまった。
皆さんも、自分が作っている花はいいが、近くの花屋さんで買って体験してみてください。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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