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2009年8月10日

台風9号

外はすごい雨だ。台風9号の影響で大消費地である関西圏・中京圏・関東圏のいずれもがせり中、豪雨にある。産地に大きな被害が出ないといいが・・・と念ずる。


花は作るに天候、売るに天候で、天気の影響を大きく受ける。かつては計画販売をしたい買参人は、自分が望む質・量・納期・価格を揃えるために予約相対を組んだが、今は質と量が大切なことは言うまでもないが、価格一番、納期二番となっている。良くて安いことが今の世の中ではとても大切で、良くても高ければ売れ残る。こうなると予約相対ですべて揃えないでせりを併用する加工業者や量販店のバイヤーが増えてきた。せりはその時その時の需給バランスで決まるから、今日のように蒸し暑く、土砂降りだとすると、気分が重く相場は下がる。高いと買えて、下がると買えなくなるものだが、心して仕入れようとする花束加工業者と店が何人かいた。

それは今回の不況で、食品スーパーが消費者に広く受け入れられ、消費者は近所の食品スーパーは自分たちの味方だと感じている。加工業者はスーパーに普段と変わらぬ価格帯でお盆の花を提供し、一気に地域内のシェアを取っていこうという意欲を見せているのだ。7月の東京・神奈川のお盆のときも、専門店では本店格の店、チェーン店、そしてスーパーマーケットの花売場が消費者の支持を集めたが、8月もその流れを加速化させようというのである。大手の花の買参人は市場外流通するのか?しないと言う。卸売市場を利用して荷を集めないと、結局損をしてしまうことが多いと言う。

それは三つの理由からだ。一つはスーパーマーケットからの発注が年々遅くなり、間際だしロスを出さない数しか発注してこない。売るに天候だからだ。だから売れたら発注する。こういった臨機応変な対応が取れないとだめなようだ。二つ目は直接出荷者と取引すると、今日のように天気予報が土砂降りであっても、一定数量取らなければならない。台風の予報によると、たとえば自分の納品をするスーパーでは、「明日の11日に店があまり動かないだろうから納品を予定数量より少なくしてくれ」と店に言われているとしよう。その分12日に多く納品しなければならない。だから今日は、仕入れは少なくなければならないが、契約取引ではこういった臨機応変な措置が取れない。中に卸売市場が入ると仕向け先を臨機応変に調整することができるので不良在庫を持たずに済み、在庫が適正に維持できる。三番目にはお盆といっても使う花は次の通り。菊、小菊、アスター、カーネーション、ケイトウ、リンドウ、スターチス、オミナエシ、ソリダコ、ガマ、ハス。これが最低で11品。これを産地に行って契約してくるとしよう。4、5箇所の産地でこの11のものを納品できるのであれば良いが、結局そうは行かないから別々のトラックで納品される。何台ものトラックで納品するとなると、荷受業務をしなければならない。荷受業務をするということは内容まできちんと当たり、検品をしていくということで荷受・検品業務で少なくとも前日の午後から、夜中じゅう2、3人が必要となる。そしてそれを納品する店ごとに分けたり、花束加工する手順に合わせ、仕分けしなければならない。そのためにあと2、3人夜中から出勤させなければならない。それプラス、それらを分ける一定広さの作業場が必要となる。それは花束加工所とは別に用意しなければならない。そんなコストをかけられるだろうか。かけてもいいが高くつく。だとしたらミドルマンの卸売市場に荷を揃えてもらうところまでお願いをする。自社で行うのは納品別に小分け作業や花束加工をするための仕分け作業などの分荷機能だ。それだったら早く出てくれば良いので、どうにかやっていける。これが世に言う「取引減少の法則」だ。ミドルマンが入ることにより取引が減少する。産地においては農協の集出荷場がある。これと同じ機能が消費地に必要なのだ。だから花のように15,000アイテム以上もある農産物、しかも毎年2,000の新しい品種が出てくるものは、ミドルマン卸売市場の存在が欠かせない。それがトータルとして安くつく。

今日のせり取引では積極的に在庫しようとする者と、台風一過まで極力在庫を持たないようにしようとする者と、その買う量は何十倍もの違いが出た。マーガレットホールの法則どおり、結局卸売市場でフレキシブルに分配先が変わるということは大変無理のない商取引であるように見えて、自分で言うのもなんだが、卸売市場機能の素晴らしさを台風9号で再確認した次第である。

投稿者 磯村信夫 : 2009年8月10日 00:00

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