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2009年9月14日

花の「お買い場」が変わりつつある

GMSのイトーヨーカ堂も上期営業赤字に陥った、と週刊ダイヤモンドは報じている。
粗利40%代の衣料品販売が不振で、粗利20%代の食料品は微減としている。食品スーパーやファストファッションが健闘しているところが多いということは、消費者の回遊場所が変わってきていることを示している。
弊社の販売先カテゴリーの取扱実績を見ても、リーマンショックより1年が経ち明らかに変わってきた。花き業界は法人需要の大幅減や地味葬式で需要が足りない。露地物など古くからの花の産地は高齢化し、かつて野菜から花に変わった人もまた野菜に戻り、花の供給も目に見えて少なくなっている。特に種苗費が高い球根類やめずらしい草花の供給が足りない。こういう中で小売カテゴリーからすると、食品スーパーの花売場(納入している花束加工業者)は確実に実績を伸ばしている。これは市内市外を問わず、競争激化している関西地方を除き日本全体に言えることだ。
もう一つ取扱実績を伸ばしているのが地方市場である。地方の市場は花束加工業者や量販店の要望を受け計画仕入を行わなければならない。また地元の専門店大手のプロとしての品揃えを確保するために、規模の大きい卸と付き合って、協業してサプライチェーンを作る動きが活発化してきた。買参人カテゴリーでは、この2つが実績を伸ばしているのだ。
デパートは粗利が30?35%ないと、あれだけの質の高いサービスを提供することができない。駅ビルは15?20%だから、同じようなものをお値ごろな値段で供給できる。時の流れに沿った品揃えや値づけで、スーパーや駅ビルはリーマンショック以来、すっかり消費者を味方に付けた。商店街は1店舗・1店舗の需要が不足し、売れなくなったので意気消沈してしまって商店街全体のことを考えて手を打つことができなかったのだ。
この1年で花の売り場もかなり多くが量販店中心となっていった。会議などでよく同業の市場の人と話をすると「どうもパッとしないんです。」と言う。パッとしないのは圧倒的多数の街の花屋さんが不活発だからである。だからセリを中心に物日間際の2回ぐらいのセリだけでしか昔の物日らしい立会いが再現されないのだ。問題は小売店間の業態競争に留まらないことだ。街の小売店さんと花の生産者が対になっていて、街の小売店さんが買ってくれるから規模が大きくない生産者は花で収入を得られるのだ。品種にしても、売れ筋、死に筋とたくさんあっても適切に評価されるのは、少なくても専門店の人たちが消費者に花を届けてくれるメーンプレーヤーだったからである。主役が変わろうとしている。これに合わせて産地はもう一度、出荷体系の見直しを行う必要がある。グループ、共選共販、法人化など少なくても5000坪で1出荷者ユニットの取り組みをしなければならない。又、花屋さんは販売力と仕入力を上げなければならない。構造改革が消費者から起こっているから、近隣の駅の同業者が一つの仕入機構・販売機構を作る時となっている。八百屋がやってきたやり方だ。そして卸・仲卸はリテールサポートを行う新しい時代となったのだ。

投稿者 磯村信夫 : 2009年9月14日 16:17

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