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2009年9月21日

仏花もターゲット年齢を下げる

今年に入り、ゴルフで一緒に回った2人の婦人からそれぞれ印象に残る日常花の買い方の話を聞いた。60歳代でご主人と一緒にゴルフをしている女性はやはり裕福なお宅だから、花のある生活をしている。お一人は「花の値段って本当に安くなったわね。ありがたいけど作る人も大変ね」「持ちの良い切花が増えたわね」と。その理由を法人需要が少なくなって、高品質の花が近所の一番店の花屋さんに並んでいることを話すと、「そうなの、ありがたいわ」と率直に喜んでいた。

そしてもうお一人は、夫婦一緒に回っていた奥さんで「うちは紀伊国屋(青山)でいつも花を買うのだけど、世の中節約志向だし、夏は持たないから、仏様の花は節約して1本や2本で済ませてしまっているの。節約志向だから花の仕事も大変ね」となんとなく全体のパイが小さくなっているのを見通したような発言をしていた。

ヘビーユーザーの60歳代の人の発言がこうだとすると、パイが縮小しないようにこれを打開しなければならない。ではどうしたらよいだろうか。その方策はこうだ。

まず産地の話から。日本では3つの輸送園芸地域と3つの広範囲な地元産地が花の産地だ。北海道・東北・九州と、首都圏・中京圏・関西圏の近県産地である。今年は夏の天気が悪かったので、8月盆の小菊は不足したが、菊は7、80円?5、60円と安定した荷動きだった。9月の彼岸期には天候も回復し、東北・北海道で小菊が潤沢であった。輸送園芸の夏の2大産地、東北と北海道で小菊が多く作られるようになっている。それは60歳代以上の女性がコンスタントに菊、小菊などの仏花を買っているので需要がはっきりしているためだが、もう現時点で日本中の秋の小菊の作付けは仏花需要を量的に満たしたということだろう。

次に消費サイドの話から。近頃、駅中の花店を中心に、仏花でも洋花を多く使うようになってきた。一輪菊や小菊を入れないで、菊と言ってもSP菊を中心に使う仏花も増えている。SP菊も使わず、ピンポン菊やアナスタシアなど東西ヨーロッパで家庭用として人気の一輪菊でこしらえた花束もある。それ以外に季節の花や色別にこしらえたブーケなどいろいろなものがあり、それを仏花として使ってもよし、テーブルに置いてもよし、という商品を使っている。これらはいずれも*アラ還狙いとアラフォー狙いのブーケやミニブーケだ。秋になり、菊類はあるが洋花が足りないのは消費構造上困る。60歳代、70歳代のヘビーユーザーに刺激を与え、実際にもっと購入してもらうにはもっとターゲットの年代を下げ、アラ還とその子どもたちのアラフォーにしていかなければならないのだ。だから洋花が足りない。これは今年の9月のシルバーウィークに言えることなので、普段はますますこの傾向が続いていくだろう。誤解してもらっては困るが、菊・小菊の安定供給の上にアラ還好み、アラフォー好みの商品創造がパイを大きくするということだ。

*アラ還・・・アラウンド還暦
*アラフォー・・・アラウンドフォーティー

投稿者 磯村信夫 : 2009年9月21日 00:00

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