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2009年10月 5日

コロンビアの花のサプライチェーンに学ぶ

大田市場花き部の中央通路にて長野県南信ハウスカーネーション組合のカーネーションが展示されており、今朝、長野県南信ハウスカーネーション組合の内田組合長から「ようやく天候も回復し、良い品物ができるようになったのでぜひ使ってほしい」とせり前に挨拶していただいた。

日本でカーネーションを作るようになって100年。夏にもこんなにすばらしいカーネーションが長野県から北海道の高冷地で作られるようになり、夏場に花持ちの良い花として切花の必須アイテムになっている。日本のカーネーションはコロンビアと中国のカーネーションと国際競争している。特にコロンビア産は手強いライバルだが、その良さを見習って日本国内でより良いカーネーションを流通させていこうと思う。
先週コロンビアのボゴタで二年に一回開催されるproflowersという展示会に行ってきたので学んでいただきたい点も含め、簡単にレポートしてみたい。

カーネーション、バラ、アルストロメリアで有名なコロンビアはいずれも日本のスケールからすると大大農場ばかりだ。今回の世界同時不況で切花の単価が下がっており、信用不安もあり、ペソ高ドル安も重なって、キャッシュが足りず閉鎖を余儀なくされている会社もある。しかし最適地で生産されていること。早朝収穫し、温度コントロールの利いた集荷場でしっかりと予冷と前処理、水揚げ、翌日箱詰め、差圧予冷、温度コントロールの利いたトラックで飛行場に持って行き、飛行機でマイアミに。機中は貨物室も20℃未満でかつてのように凍るような事故はもうない。マイアミ到着後、サービスレベルの高い物流作業は、差圧予冷、品温をまた2℃に下げ、その温度帯で保管物流作業(カーネーションは2℃だがバラは1℃で作業)。そして日本に輸送。アトランタ経由だったり、ロサンゼルス経由だったり、ニューヨーク経由だったり、アンカレッジ経由だったり、いくつかの飛行機会社を使い、指定時間までに成田に届ける。機内は一定温度に保っているが、成田に着くと夏場だったら暑いので、早速箱の中のカーネーションやバラの温度が見る見る20℃近くに上がり始める。最大手のクラシックさんのように品質管理を忠実に行っている輸入業者の方は箱ごとに温度計を入れてもらっている。早速クラシックさんは通関後、自社の保冷庫に荷を引き取り、品質管理。箱から出して再度選別、水揚げ。水揚げする水を冷やしておくことが重要なポイント。そのままにして水も一緒に2度まで温度を下げようとすると6-7時間かかってしまう。だから冷たい水を先に用意しておくのだ。そして選別、水揚げをして、翌日市場に出荷する。このようにしてコロンビア産は切花後7日?10日で小売店の店に並ぶ。そのためには適地で作られるという以外にこのようにポストハーベストのためのたゆまぬ努力が積み重ねられているのだ。クラシックさんに品温管理表を見せてもらうと、この時点で農場、この時点でマイアミ、この時点で成田、というように卸売市場に品物を大切に届けようとする努力がここまで行き届いていると頭が下がる思いだ。「こんなにきちんと管理していると、コロンビアのカーネーションはクレームはほとんどないでしょう」と問うと、「物日の時にクレームがあります。その原因を調べてみると、STS(チオ硫酸銀など)エチレンを自ら出さないようにさせる物質の含有量が少ないことがあります。ですからいくつもの農場に仕入先を分散させて、仕事の負荷を下げ、十分に前処理してもらい、クラシック品質基準を保って取引先に迷惑をかけないようにしようとがんばっています」と直接クラシックの西尾社長から話をいただいた。私たち国内業者は、生産から消費者の手に渡たり、毎日楽しんでいただくところまでを自らの責任として、流通品質の保持をコロンビアのカーネーションに習い行う必要がある。今年のボゴタでのプロフラワーズでは日本の37社の会社が訪れた。円高もあって仕入れは1割安くなったが、新たにカーネーションの輸入を始める人もいて、日本のコロンビア産のカーネーションの単価は1割以上も下がって採算を合わせるのは、ましてや利益を出していくのはプロの業者といえどもそんなに簡単なことではない。その中でマイアミのロジスティック業者も日本の輸入商社も必要なところには徹底的にお金をかけて手を入れ、日本の消費者に届けてくれようとしている。我々国内業者はさらに気を引き締め、学ぶところは学び、消費者に選んでもらえるように今後販売していきたいと思っている。

投稿者 磯村信夫 : 2009年10月 5日 00:00

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