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2009年11月 2日

2009年下半期の花き生鮮品流通事情

10月29日版の週刊新潮で赤松広隆農水相が卸売市場の機能を強化する必要があることを、17日名古屋の市場を視察した際発言したが、その内容を揶揄したとも受け取れる記事があった。流通のプロを自認する小生としては、その記事の中の流通ジャーナリスト金子哲雄氏が「流通過程に介在する業者が減るので値段が安くなり、漁師の手取りも増える。確かに卸売業者は淘汰されるが、産直が悪いと言うのは時代のニーズに逆行しています」といったことに意義を申し立てたい。それは我々が利用するタクシー料金とバス料金を比べてみるとよく分かる。バスターミナルやターミナル駅が物流上必要不可欠で、結局消費者と生産者の利益は物流の中間にこのようなハブターミナルが介在することによってよくなる。直接生産者と小売店ないし消費者というのはそのときは良いが、取引の継続を考えると不都合が出てきて結局高くなる。このハブターミナルが卸売市場だという事実を認識してもらいたい。

さて下半期の10月は天候不順で、平年作以下で出荷量は少なくなっているにもかかわらず需要が足りず、デフレで花き生鮮食料品業界は低迷した。今までは会社が真っ先に節約する交際費にかかわる需要が少なくなって、個人でも儀式がこぢんまりとなり、エコを理由に長持ちする花に個人需要が移っている。商品回転率が鈍くなっていったのが理由だったが、この10年でかつては60%あった中産階級が世界単一経済圏になって、日本では中産階級は半分の30%(アメリカは15%、逆に中国はほとんど0から15%)になった。よって中産階級が少なくなった分だけ物日以外の日は荷が動かなくなっている。特に地方では中産階級の比率がさらに低くなっている。またデパートに次いでGMSも業態的に競争力がなくなり、食品スーパーでさえも大幅減益になったから、体力のあるうちに不採算店を閉鎖し、ネットビジネスを本格化させたり、海外に出て行こうとしたりしている。戦後一貫して増え続けてきたスーパーの生鮮食料品花き売場はこの10月からマイナスに転じ、その速度を速めている。だからまだほんの一部だが、行き場を失った花と生鮮品が滞留してデフレになっている。花は人口減と高齢化で一人当たりの居住スペースが増え、花好きも多くなって、将来見通しはやり方によって消費増が期待されるが、食べ物は人口減と高齢化でパイが小さくなる見通しがいよいよ現実のものになったと読み取れる。不況からの消費不足だけでなく、そこから発した売場面積減と少子高齢化を現在、事実認識をしておくことがまず大切だ。

生き残りの道はどの企業も一緒。コスト削減、生産性の向上と新しいものを生み出す力だ。

投稿者 磯村信夫 : 2009年11月 2日 00:00

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