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2009年12月21日

2009年 3大ニュースのその3

今年の松市と千両市は景気の影響を受け、上級品が安値、家庭向けの短いものが堅調であった。クリスマスの需要が今ひとつ盛り上がりに欠けていることを思うと、お寺と神社を崇拝する日本人の文化は脈々と受け継がれてゆく。

さて三大ニュースの三番目は、需要を創って販売に成功した宮崎県の有限会社綾園芸殿と株式会社ジョイフル本田殿が日本フラワービジネス大賞2009に輝いたことだ。私が日本フラワービジネス大賞選考委員会の委員長をしており、恣意的になりやしないかと自らをチェックしてみたが、どう考えても後ろめたさなく今年の花き業界の三大ニュースの一つに入れるべきだと考え、今日の発表とした。
育種・生産部門でビジネス大賞に選ばれた有限会社綾園芸の草野修一氏は、今のラナンキュラスブームを作った人だ。イノベーション=改革×普及であるので、普及をするためにご自身の生産出荷だけでなく長野県のフラワースピリットという生産組織と地元のJAの花き部会に有望品種を作ってもらい、特定の市場に出荷している。品種を選定するとき、作る立場、売る立場、使う立場の人たちに来てもらい選抜し、実際の出荷物としての栽培につなげる。こうやって日本独自の品種が開発され、人気のラナンキュラスの半分の品種は草野さんの品種になっている。需要を創造したわけだ。
また流通・販売部門では株式会社ジョイフル本田殿がビジネス大賞を受賞した。豊富な品揃え、専門スタッフによる商品企画と商品管理など、よく勉強している社員が鉢物、苗物、切花を販売する。花だけでなく、土も栄養剤も鉢も花瓶もいろいろな材料を選びプロセスを楽しんで作品を作っていく上で、もっとこうしたら部屋に溶け込むだとか、お出迎えするときに花が引き立つだとか、品物だけでなくトータルのサービスを販売している。日本の花売場の中で最も素晴らしい花売り場の一つがジョイフル本田殿である。今後ますます時を重ねて進化していくことであろう。

100年に一度とも言われる経済危機で、各国政府は100年に一度の景気のテコ入れ策をしている。それで景気は少し落ち着いて、下げが止まったようにも思う。しかし、あらゆる分野で消費は2割減というのが先進国の姿である。政府のテコ入れが少なくなると、二番底のリスクがある。だからゆめゆめ来年の後半には2007年並になるとは考えてはならない。健全な金融情勢と雇用情勢になるのは少し先のことである。それは2015年という人は多い。花の景気もずるずる下がっていく状況から、来年の12月ないし2011年の1月からは品目や会社によって反転して前年比を上回っていくと予想される。そのような会社は今年のビジネス大賞の2社のように需要を創っていくところであろう。「1/1000構想」で花き業界全体で花き消費の宣伝をしていく具体的な話し合いが年を越した。まずは花き業界のそれぞれの会社がサプライチェーンの良き協力者を得て、消費者が喜ぶ花やサービスを創って販売する。綾園芸殿、ジョイフル本田殿を手本にイノベーションを行い、新しい需要を創って販売することが必要である。

投稿者 磯村信夫 : 2009年12月21日 00:00

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