大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 明けましておめでとうございます | トップ | 地元卸売市場の役目 »

2010年1月11日

復活してきたホームユース

世界が一つの市場になってリーマンショック(2008年9月)以来、花の法人需要はオーバーに言うと半分になった。100年に一度の恐慌も年が変わり3年目の今年、会社は2007年比売上高で80%でも赤字にならない仕組み、メーカーなら60%でも持ちこたえられる仕組みを作ってきた。これは大企業・中小企業の話で、個人企業はまだまだ厳しい局面が続いている。がしかし、ホームユースは復活してきて、年末正月と街のお花屋さんに足を運んでくださる消費者が明らかに増えた。確かに1、2年前と違う。お店によって異なるが、「男性のお客様が増えているんじゃないかな」という花店もある。関東地方は他の地域よりも男性比率が高く、25%が男性だと業界誌のフラワーショップが報じていた。男性客が4人に1人じゃなくて、3人に1人に近づいているお店もあるのだろう。

会社は理性で存続を図るので、3Kと言われる交通費、交際費、広告宣伝費を削れるだけ削った。会社の交際費からいただいていた花き業界の収入は大きかったが、向こう5年あまり期待しないほうがよさそうだ。個人は理性だけで存続を図るのではない。個人はようやくリーマンショック後の「短期的にどう対処すべきか」というところから、「うちの会社もどうやらやっていけそうだ。俺の給料はこれから大体このくらいかな」と先の見通しが少し立ってきた。会社の対処療法で一時的に所得が減って、そのとき自分の行動やお金の使い方を変えた。それなりに時間が経って慣れてきて、足元はまだ水がひたひた迫り、ぬかるみよりもっと悪い状態だが、見通しややるべきこと、自分の所得など先が見えてきて、長期的対応にのっとった消費行動をし始めた。

経済学で言う短期所得弾力性によって車等の高額商品や嗜好品の販売は激減したが、長期所得弾力性により、車等は必ず復活する。花の所得弾力性は研究されていないので残念だが、古い指標で恐縮なのだが、1970年の発表で外食産業の短期所得弾力性が1.6。収入が1%減ると外食に使うお金は1.6%減となる。本当に指標が古くて恐縮だが、法人需要も考えると、だいたい外食と花は同じくらいかなと感じており、もし花も短期所得弾力性が1.6だとすると、10%収入が減れば16%減となる。しかし長期所得弾力性は外食と花とは違う。家ではお料理をすれば済むわけではないので花は1.6以下のはずで、これが3年目になって効いて来ているのだろうと思う。特に切花は枯れてなくなってしまうし、季節の訪れを感じさせてくれるものなので、個人消費が復活してきたのだろう。

私が尊敬する岡本武男先生の言葉に「希望の朝を迎え、勤勉なる昼を過ごし、感謝の夕べを送る」という言葉がある。少なからず日本人はこうした心持ちに近づいていることが花の売れ具合から分かる。

投稿者 磯村信夫 : 2010年1月11日 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.