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2010年1月18日

地元卸売市場の役目

リーマンショック後3年目、花の市場にとって、やることはより明確になってきた。

デフレで生産者は手取りが少なくなっている上に、生産資材高でさらに手取りは少なくなっている。卸売市場も下がりつつある価格の1割を販売手数料としていただいており、出荷数量も少なくなっているので、損益分岐点を下げ、仕事を再定義しなければならない。

日本全国ではこのような統計数字がある。花・植木小売業21,000社、花取扱量販店19,000社、花束加工業者900社という数値である。専門店が減り、量販店の数が増えたので、花束加工業者が増えているのである。切花を中心に扱う花店は八百屋さんや果物屋さんとは違う。むしろ似ているのは魚屋さんで、販売するのにうろこを取ったり、3枚におろしたりするように、花屋さんも販売するにはまず水あげの技術が必要で、それプラス技を持って商品を作り上げなければならない。言うなれば寿司職人や料理人が店を出している。それが花屋さんだ。だから業態としては、永遠になくならない。しかし店の数から言うと少なくなってきているのも時代の要請かもしれない。少子高齢化で女性も働き、出来合いの手軽な花束やアレンジがお惣菜と同様に必要になってきている。

さてそこで地域の花市場の役割の問題だが、街には花屋さんとまだ花を扱っていないスーパーマーケットがある。花市場の今のお客さんは花屋さんだ。だからスーパーマーケットや八百屋さんに花を販売すると、花屋さんを困らせることになる。それはできないという花市場が多かった。しかし消費者が求める小売の業態は、新しい花との生活を花の専門店や百貨店の花売場に求める。家庭需要の手軽な花を求めたいとワンストップショッピングができる割安な花を買いに量販店に行く。食卓の花、窓辺の花、庭の花、子どもが産まれたので植木を、など居住空間のスペースごとの花を買いにホームセンターへ行く。特に玄関先や庭の花はホームセンターで売っていて欲しいと消費者は思っている。時間の節約はネットショップとコンビニの花だ。消費者の気持ちになって考えると、卸売市場や仲卸がルビコン川を越えて、花屋さんやガーデンセンターに加えて地元密着型のスーパーマーケットの花売場に家庭需要の花を届けていくのは時代の要請とも言える。花屋さんがそのスーパーにテナントで入ってくれていると、地元の市場としてはありがたい。入っていないとすると需要喚起のため、消費者の買い物の道ができている地元のスーパーに花を売ってもらうことになる。日本花き卸売市場協会の会員で拠点市場と言われるところ以外の花市場は、さらに地元に密着し、地域の消費者が求める業態の流通チャネルに花が流れる仕組みを作ることが、花き産業の主役である生産者と消費者が喜ぶ道であることを花の卸売市場は認識すべきである。

投稿者 磯村信夫 : 2010年1月18日 00:00

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