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2010年2月22日

フローラルアートに取組む姿勢

2月18日に東京ドームホテルで社団法人日本生花商協会の50周年記念祝賀会があった。ちょうど東京ドームで世界らん展が開催されており、らんを使ったフローラルアート(今回はフラワーアレンジメント)のコンテストがあり、祝賀会の中で表彰式もあった。

国によってフローラルアートに対する態度と言おうか、向き合う姿勢が違っている。マミフラワーデザインスクール校長の川崎景介先生はこのように指摘する。
キリスト教のヨーロッパ・アメリカ人は、植物は神から与えられたもので、神に似せて人間を作り賜うたわけであるから、人間が自由に花を意味づけることが許されている。よって人為的な意味や解釈でフローラルアートをする。
中東やインドは敬うべき神々を花の豊かな芳香で人々は喜ばせる。供花としての花、それが中東・インドのフローラルアートである。
中国や韓国は儒教に現れる天の思想があり、天のもとに人間が植物と心地よく戯れたり、人間が美しい環境で身を委ねたりするリラクゼーションがフローラルアートに溢れている。またそのような態度でフローラルアートをする。
日本では有為の奥山があり、先祖や神がおわす猛々しい自然に我々は囲まれている。また自分自身が自然そのものであることも良く理解している。それゆえ自然と真摯に向き合うという自然に対する敬意の念があって、そのような姿勢でフローラルアートを作っていく。

この心の置き方がらんを使った日花協のコンテストの作品の中に明らかに見て取れる。バイオテクノロジーを使って生み出された新品種。化石燃料や人工照明を使い育てられた切花。これらを使い、これも自然と受け止める透明な強さや素直さが作品の中でそれぞれの花を生かしている。フラワーアレンジメントなのに、まさに華道、花に対する向き合い方がまさに日本人なのである。

川崎景介先生によるとフローラルアートに対する態度
日本 すべての花
中国 みんなの花
中東・インド 彼方の花
西洋 私の花
詳しくは読み応えがある『花が時をつなぐ』を是非どうぞ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年2月15日

東京都の出荷奨励金対象

この週末、関東地方ではあいにくの天気で、バレンタインデーの花の売上を見込んだ小売店も予算を若干下回ったようだ。日本でもチョコレートでなく、花を贈る「バレンタインデーは花の日」という機運はずいぶんと盛り上がってきたが、おかしいことに花き業界ではお返しのホワイトデーに花を贈ってもらえばよいとプロモーション活動は本格化していない。

バレンタインデーの頃になると東京でも河津桜が咲き出す。うちの近くの水神公園にもあって、その桜に足を止めたり、写メールをする人たちがいる。大田市場の花き部にも河津桜が3本あって花をつけている。これは伊豆太陽農協からのプレゼントで一足早い春を届けてくれている。

この河津桜が咲く頃、毎年東京都内の花の卸売市場が産地の荷物をどれくらい扱ったか集計が出る。これによって東京都に出荷奨励金の対象団体になったかならないかを報告し、なったところには出荷奨励金を支払う許可を得る。具体的には都内に5つの中央卸売市場8社の卸売会社があり、地方卸売市場が8社ある。この調べを行うのは東京都花き市場卸売業者連絡協議会取引検討委員会で、代表と事務局は東京都花き市場協同組合から出している。都下の16社の卸売市場に前年の1月?12月の切花共撰共販のみ(個撰共販や鉢物を除く)税抜金額を報告してもらい、その総額を把握する。県連や対象となりそうな農協には卸売市場各社からの報告をチェックしてもらう。その年の暦年の総額が税抜きで10億円を超えた県連、そして単協で1市場5億円を越えた農協にはこの連絡協議会から東京都に届けられ、出荷奨励金対象団体の認可を受ける。それを連絡協議会は参加の卸売会社に報告し、その年の4月から3月末までの売立代金の3/1000を出荷奨励金として支払う。バーが10億円となっていること、条件で切花の共撰共販の出荷物の代金であることとなっている。
かつては切花の共撰共販を推進するために青果と同様、出荷奨励金を設けたのではないかと思われる。

また完納奨励金については、青果は毎3日後に払わなければならないわけで、青果の送金実務は大変な労力を費やしている。それが出来るのも買参人組合ごとに、組合員に代わって卸に支払う代払制度が確立しているからだ。花の場合、北足立市場の花き部ができ、90年大田市場花き部の開場に際し、当時青果のような代払組合を作っていこう、そのための事務手数料や設立基金の元を積み立てるためにも完納奨励金が必要だということで中央卸売市場の花き部では最後に出来た世田谷市場まで買参人に完納奨励金を支払ってきた。しかし2004年の新市場法の履行、そして2009年の手数料の自由化を踏まえ、新しい体制下の各種奨励金を見直したとき、買参人に対しては当初の目的である代払制度が今後とも出来ないとの東京都花き振興協議会での合意の下、完納奨励金は2009年3月末をもって順次終了することとなった。しかし産地助成につながる出荷奨励金は卸売市場の集荷の利便性のみならず、産地のマーケティング活動に使用されている実情を踏まえ、従来どおりの制度を運用することで都と合意している。産地においては、出荷経費は高止まりしたままだが、単価はデフレ気味で大変苦しい状況であろう。ぎりぎりのところまで来ているので、手取りをこれ以上減らさないためにも運賃を節約し、道州制の地元の中心都市に荷を出すことが多くなって、わざわざ東京までと考え出荷しない産地が増えてきた。こうなると都内の卸売会社の対象となる産地は増えないかもしれない。それでは都民も私どもも困るので、ぜひとも都内のどこの市場でもよいから出荷していただき、都内10億円を達成していただきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年2月 8日

総合卸売市場の活躍期待される

 先週末の新潟や東北地方の大雪は何十年ぶりかのもので、消費者は外に出るどころではなかったようだ。大田市場は成田空港や羽田空港に近く、また近くに2つの大きな花の集配センターがあり、東北から関東、東海の花の市場が荷を取りに来ている。そんなことから荷揃えを整えるため大田市場を利用している花市場が多い。花市場が直接、買参権を持つこともあれば大田市場の仲卸とやりとりをしている場合もあり、仲卸同士の場合もある。もちろん大田市場の仲卸と地域の大手小売店の取引の場合もある。地理的条件から大田市場は日本列島をにらんだ中核卸売市場の役割を務めている。
 今週末はバレンタインデーで今日から赤バラが反発をし、さらに結婚式需要が本格的に始まるのでバラは堅調だ。それにプラス15日の仏様の花の需要もあり、和洋とも専門店を中心に今日から引き合いが出てきた。しかし大雪で新潟、東北方面の週末準備は水曜日からの仕入れになるようだ。中間流通は作るに天候、売るに天候のような生鮮食料品花きにおいて欠かせない役割をになっている。生産者と小売店の間に1つ健全な取引機関があれば、今日のように花は関東地方の小売店に吸収されていく。きっと水曜日は東北地方や新潟の小売店が荷をそろえるだろう。これを在庫適正化の法則という。そして中間流通がない時、直接荷主さんは小売店に荷を納品する。よく直売比率を4割も、5割もありますと言っている農協や生産団体がある。これはアメリカと同じで直売比率が高いと生産者は納品に全責任を持たなければならないので、納品予定の120?125%作り欠品リスクに備える。作るに天候だからである。そして納品できない分は捨てる。直売所で売ってその単価が1人歩きすると翌年の価格交渉で取引先が値切る。そのような経験から、むしろ捨てたほうが良いと判断している。余談だが農産物ではないがリスク管理の為に自動販売機を設置している日本の清涼飲料品メーカーもある。1軒の健全な仲立人を入れることによって商流や物流、お金の流れが減ることは取引減少の法則が示す通りである。中間流通の卸売市場はこのようにハブ機能を持っている。ハブ機能は必要不可欠な機能で大手流通業者も直接仕入を謳っているが、社内に100%子会社の中間流通会社を作っている。そこに仕事をさせるのだ。日本は仕入れを容易にする中間流があるのでライバルの小売店ができやすく、1平方キロメートル当たりアメリカの50倍、イギリス、フランスの10倍、イタリアの7倍、ドイツの3倍の店舗密度、競合状態になっている。大手寡占化が日本は家電量販店とホームセンターを除きないといって良い。それは繰り返すが手軽に品揃えができる中間流通があるからと言ってよい。それが消費者に便益を与えている。
 今この卸売市場でも食品スーパーが値下げ圧力にどう対応し、健全経営を行っていくか注目して見守っている。消費税の値上げが97年で、この時単価の下げ圧力があった。またここのところで、GMSから始まった単価の下げ圧力が食品スーパーまで進んでいった。食品は価格弾力性が低く、値下げしたといっても消費はあまり増えない。少子高齢化やオーバーストアなどの先行きを見たときにどうすればよいのかが問われている。地域の食品スーパーと組んでいるのが地域の卸売市場だから我々は青果水産の卸売市場の人たちがデフレに負けないアイディアを打ち出しやっていってほしいと考えている。社会や業界の安定とは成長と分配と雇用の3要素で決まると経済学者のグルーグマンは言う。そうなるとどのように売り上げをとり成長していくか。人口減少、少子高齢化の中で課題は多いが食品スーパーの値下げが地域の幸せの為に本当に必要なことなのか。価格弾力性を考えた時にそうではあるまいと言い切ることができる。花は価格弾力性があると思う。よって良いものが安ければ顧客はふえる。また買おうと思う人も増えて需要が高まる。消費宣伝活動と生産者や市場、小売店の生産性のアップによって所得を守ることができる。総合卸売市場はその地域の核になる中間流通業者として、専門店と食品スーパーが安定して品物が調達できるように今後ともしていかなければならない。それが毎日の消費者の安定した生活につながる。

投稿者 磯村信夫 : 15:38

2010年2月 1日

見えない利益に我慢できない消費者

不透明な見えない儲け方をされていることに対して、消費者は本当に我慢が出来なくなっているようだ。かつては同業者間のみの競争だったから、差別化が消費者に選んでもらうポイントで、付加価値で差別化できなくなると結局安売り競争になって消費の立場でも分かりやすかった。しかし今は同じ消費者をターゲットに異業種間で競争しており、任天堂のwiiと駅そばのスポーツクラブが競争している。駅ではこの雑誌は有料だがこの雑誌は無料、家では映画をテレビで見るにも有料無料など、消費者にとっては本当に儲けの構造が単一ではなくなって、企業の「見えない利益」について自分が得をしたと感じないとき、かなり嫌悪感が出てきている。

いくらかどうか分からないものに、葬儀の値段がある。25,000という数字は日本にとってとても大切で、公立小学校や郵便局の数が25,000で、つまり徒歩や自転車で生活する地域住人の共通インフラの数が日本では25,000なのである。ところが25,000の約3倍、76,000のお寺が日本にはある。31万人の僧侶がいて、お寺を維持するには平均300の檀家が必要である。少子高齢化と共に寺の経営は大変になっていくだろう。今は高齢化で葬儀需要が多い。そこで日本の葬儀費用はアメリカの5倍だとか、韓国の7?8倍ではないかだとか、いろいろ葬儀費用や戒名の値段がメニュー化されていない点もあるのでそれが不透明と映り、戒名をつけない葬儀がここ数年で2割になるなど、節約することがいいことだという論調が出てきて、一定数の支持を受けつつある。花の仕事をしている私が言うと、何か自分の都合で言っているように聞こえるので嫌だが、日本は冠婚葬祭をとても大切にする文化がある。血縁、地縁、仕事の縁など縁を大切にして、そして折に触れて祭事を行う。最近のデータは分からないが、1990年代のデータでは日本の会社の交通費は平均してドイツの会社の5倍、あの広いアメリカの倍であったと思う。我々は直に会って接する。そういう触れ合う文化があって、組織力を生かして助け合って生きていくのだ。結婚式は本人やご家族は健在なので、参列する私たちは相応の効果を期待して包んで行って、それが実際に返ってくることもあろうが、葬式は本当にお世話になったからで、香典や花代や参列するコストなど、見返りなどを計算してその葬儀に参列などしない。文化の由縁でこの祭事の日本文化を社会は否定することもなかろうと思う。お祭りや新年会や忘年会、結婚式、人生の通過儀式や季節の祭事など確かに行う方からするといろいろな選択肢が出てこようが、文化的行事を否定をすることはない。また施行するほうも売価の透明性を高めていくこと、すなわちメニュープライシングをしていくことは大切だと思う。しかし西洋のチップの文化を日本は否定することもなかろう。もう少し世間の事象を大人の判断で見て、人生の儀式を行ってもらいたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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