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2010年2月 8日

総合卸売市場の活躍期待される

 先週末の新潟や東北地方の大雪は何十年ぶりかのもので、消費者は外に出るどころではなかったようだ。大田市場は成田空港や羽田空港に近く、また近くに2つの大きな花の集配センターがあり、東北から関東、東海の花の市場が荷を取りに来ている。そんなことから荷揃えを整えるため大田市場を利用している花市場が多い。花市場が直接、買参権を持つこともあれば大田市場の仲卸とやりとりをしている場合もあり、仲卸同士の場合もある。もちろん大田市場の仲卸と地域の大手小売店の取引の場合もある。地理的条件から大田市場は日本列島をにらんだ中核卸売市場の役割を務めている。
 今週末はバレンタインデーで今日から赤バラが反発をし、さらに結婚式需要が本格的に始まるのでバラは堅調だ。それにプラス15日の仏様の花の需要もあり、和洋とも専門店を中心に今日から引き合いが出てきた。しかし大雪で新潟、東北方面の週末準備は水曜日からの仕入れになるようだ。中間流通は作るに天候、売るに天候のような生鮮食料品花きにおいて欠かせない役割をになっている。生産者と小売店の間に1つ健全な取引機関があれば、今日のように花は関東地方の小売店に吸収されていく。きっと水曜日は東北地方や新潟の小売店が荷をそろえるだろう。これを在庫適正化の法則という。そして中間流通がない時、直接荷主さんは小売店に荷を納品する。よく直売比率を4割も、5割もありますと言っている農協や生産団体がある。これはアメリカと同じで直売比率が高いと生産者は納品に全責任を持たなければならないので、納品予定の120?125%作り欠品リスクに備える。作るに天候だからである。そして納品できない分は捨てる。直売所で売ってその単価が1人歩きすると翌年の価格交渉で取引先が値切る。そのような経験から、むしろ捨てたほうが良いと判断している。余談だが農産物ではないがリスク管理の為に自動販売機を設置している日本の清涼飲料品メーカーもある。1軒の健全な仲立人を入れることによって商流や物流、お金の流れが減ることは取引減少の法則が示す通りである。中間流通の卸売市場はこのようにハブ機能を持っている。ハブ機能は必要不可欠な機能で大手流通業者も直接仕入を謳っているが、社内に100%子会社の中間流通会社を作っている。そこに仕事をさせるのだ。日本は仕入れを容易にする中間流があるのでライバルの小売店ができやすく、1平方キロメートル当たりアメリカの50倍、イギリス、フランスの10倍、イタリアの7倍、ドイツの3倍の店舗密度、競合状態になっている。大手寡占化が日本は家電量販店とホームセンターを除きないといって良い。それは繰り返すが手軽に品揃えができる中間流通があるからと言ってよい。それが消費者に便益を与えている。
 今この卸売市場でも食品スーパーが値下げ圧力にどう対応し、健全経営を行っていくか注目して見守っている。消費税の値上げが97年で、この時単価の下げ圧力があった。またここのところで、GMSから始まった単価の下げ圧力が食品スーパーまで進んでいった。食品は価格弾力性が低く、値下げしたといっても消費はあまり増えない。少子高齢化やオーバーストアなどの先行きを見たときにどうすればよいのかが問われている。地域の食品スーパーと組んでいるのが地域の卸売市場だから我々は青果水産の卸売市場の人たちがデフレに負けないアイディアを打ち出しやっていってほしいと考えている。社会や業界の安定とは成長と分配と雇用の3要素で決まると経済学者のグルーグマンは言う。そうなるとどのように売り上げをとり成長していくか。人口減少、少子高齢化の中で課題は多いが食品スーパーの値下げが地域の幸せの為に本当に必要なことなのか。価格弾力性を考えた時にそうではあるまいと言い切ることができる。花は価格弾力性があると思う。よって良いものが安ければ顧客はふえる。また買おうと思う人も増えて需要が高まる。消費宣伝活動と生産者や市場、小売店の生産性のアップによって所得を守ることができる。総合卸売市場はその地域の核になる中間流通業者として、専門店と食品スーパーが安定して品物が調達できるように今後ともしていかなければならない。それが毎日の消費者の安定した生活につながる。

投稿者 磯村信夫 : 2010年2月 8日 15:38

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