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2010年3月 1日

2010年2月の成果

2010年2月はお天気に恵まれなかったが、関東地方の花市場は前年並みか、やや上回ったところもあって、デフレも止んでほっと一安心であった。

法人需要は前年よりもさらに少なくなって、2007年の2月からすると半分になったと言われている。法人の減った分は取り戻せない。だから小売需要が堅調に推移しているといっても、品質の良いものがそれなりに評価され、取引されているわけではなく、単価は下がっている。2007年比では約2割価格が下がっている。消費構造が変わったのでやむを得ないと言えばやむを得ないが、コチョウランの鉢やカサブランカのような大輪のユリを作る銘柄産地等、高品級な花を作っているブランド産地ほど苦しんでいる。高級レストランやブティック・料亭では最低でも一週間は花持ちが保証できる銘柄産地のものが使われているが、今では量的に半分しか使われず、痛手を被っている。なんとしてもこのような高い技術を持った、しかも日本の花き業界を引っ張っている産地にお金を取ってもらいたい。そのためには質を落とさず、家庭用に向く品種やボリュームの花を作ってもらう。産地によっては第二ブランドを立ち上げてもらい、坪当たりの収入を2007年並みにしてもらうことをまず始めようとしている。

もうすでに改革が終わったところもあるが、小回りが利かない球根切花・球根鉢花の産地は、個人用に向く球根の手当てから始めなければならず、それがようやく本年度分から間に合う。バラにしてもトルコギキョウにしても、品評会で大賞を取るような作りから、一つ一つ見れば遜色はないが、しかしそんなに立派なものでなくても良いものを一定数量作っていく技術はなかなか難しい。

カジュアルフラワーという言葉が出来た1990年代の当初から、草丈をそんなに長くせずとも、と言われていたが、まさにその時代に入ったわけである。しかも今からは必ず咲くことを小売店は消費者に約束したいし、真夏でも消費者の手に渡ってから4日間花持ちすることを保証して販売したい。小売店の責任においてそれをするためには、買参人は可能な限り採花日を表示するように生産者にお願いして、採花日表示の花をせりにかけてほしいという。このように消費者の信頼を得るには業界全体の努力が必要で、切花だったら1週間に1回買ってもらうため、園芸ものであれば2週間に1回か1ヶ月に1回は買ってもらうため、小売店はお客さんの期待を裏切らないように販売したいとしている。そうしたときに初めて、国民生活に密着した花の売上が法人需要が旺盛だった頃の売上よりも多くなっていく。高齢化は花においてマイナスではない。現に日本国民一人当たりの居住空間は広くなってきている。消費構造の変化が明確になった今、日本国民に花を楽しんでもらえるような努力を続けていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2010年3月 1日 00:00

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