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2010年3月 8日

ホームレスとのひととき

昨日は朝の4時30分頃から雨が降り出した。
ホームレスになって1ヶ月くらいだと思うが45歳近辺の女性が気になって、いつもいる大森駅近くの水神公園のところに見に行った。

3?4日前、犬を散歩に連れて行ったとき、噴水のふちに座っていて、背筋をすっと伸ばしブランド物のバッグと所帯道具の入った袋を3つ持っていた。後ろを向いていたので顔を見ることは出来なかったが、茶色に染めた髪の地際が白くなっていて、ぴんと張った背中は急転落した人生を今だ茫然自失しているかのようだった。まだ暗いのでどこかの軒先にいるだろうと思ってそのあたりを探した。

僕は朝3時45分に起きて、4時6分頃から始まるNHK第一ラジオの「こころの時代」を聞きながら散歩するのが趣味だ。この時間は新たにホームレスになった人たちが起きる時間で、近所のハローワークの軒先や品川水族館のバスの待合室など、明るくなる前にダンボールをたたんで、次の場所に移動する時間だ。50歳前後の新たにホームレスになった人たちが目に付き始めたのは2008年からだ。僕が以前よく話しをしていたかっちゃんは再就職してもうホームレスではないが、ニチレイの冷凍庫の横に車を泊め、そこで今でも寝泊りしているゲンちゃんは挨拶程度の仲間だが、もう彼の車は3台目で、だんだん小さくなって今はスズキの軽で寝ている。一昨日の土曜日の朝も挨拶をして僕は会社に来た。その2台後ろに4tトラックで寝泊りしている附木さんはもう6年もこの場所に寝に帰ってくる。きっと居心地がいい場所なのだろう。

良いとか悪いとかよりも、とにかくなんらかの理由でこのような生活をしている人たちを認め、それとなく行きずりのものだが、地域の住人として接することが出来ればと思っているが、彼らからしたらそんなことは迷惑だろう。少なくとも昨日のように雨の日には、骨のしっかりした傘があるか見て、なければそっと置いておく。いつか仲良くなればかっちゃんのように立ち入らない範囲内で世間話をして、次の人生のスタートを切ってもらえるように心に灯を燈したいと思っている。

大森の近辺には町工場の雰囲気やにおいが染み付いており、僕は町工場地帯で生まれたから金属を切ったり伸ばしたりしているあのにおい、従業員も2、3人だから生活のにおいも混じった下町のにおいが好きで徘徊する。多様な人たちが生きている社会の品川区、大田区、旧東海道の面影がそのまま残る場所は私の自慢の街である。

投稿者 磯村信夫 : 2010年3月 8日 00:00

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