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2010年3月22日

Wチェックが出来ている機関を信ずる

社内の配置転換や人事異動などで花を贈ったりもらったりする週となっている。20日から今日までの三連休で引越しも大変多く、「今日の午後の花のお届けが多い」と地域の一番店はうれしい悲鳴をあげている。春は本当に別れや出会いで花を送る機会が増える。

こんなときに気になるのが天気だ。先週末は大荒れの天気で今日のせり前取引でお彼岸用の花は、当初見込みより三割ほど少なかった。しかし昨年の11月から続く天候不順で、特に日射量が必要な洋花類は不作だから需要量より入荷が少なく持合い。この傾向はエルニーニョが収束する梅雨前まで続くのではないかと予想している。消費者の所得は落ちているので単価はシビアだが、個人消費をさらに開拓すべく原産地表示や採花日表示、花保ち保証などの運動を盛り上げ、減農薬や地球温暖化防止に貢献しているMPSの花などを多く取り扱っていきたい。

MPSは世界30カ国で承認されている花の環境負荷逓減に関する国際基準だが、2004年に世界消費者連盟コーデックスがEUROPE GAPに参加している農産物を積極的に買おうと採決したが、MPSはEUROPE GAPを批准しており、花のMPSは実際ヨーロッパ系のホームセンター、量販店はすべて第一に扱う花と決めている。日本でもようやくMPSのように農業の分野でもISO2001あるいはEUROPE GAPと同様、本部が定期的に抜き打ちチェックする。自己申告だけでなく他者がWチェックをしたものでないと信用しない、あるいはオーソライズしないという風になってきた。

弊社は株式公開会社だから、コンプライアンス上、社員一人で仕事が完結するということはあってはならない。人間は必ず間違いを犯すものだから、1つの意思決定に対して他の人からチェックが施されなければならないということを嫌と言うほど身に染みて感じている。特に上席者ほど周りが遠慮するので間違いを犯しやすい。これは社内が大変なリスクを抱えているということだ。ようやく中央市場の卸売会社でもコンプライアンスが叫ばれ、会社法の忠実義務や取締役や執行役の善管義務などを出すまでもなく、誰もがWチェックで行いを正すことが必要だとする環境が社内にある。ここで商売柄問題なのがスピードである。即断即決で花の値段を決めるのが卸売会社の基幹的な仕事だから、せり場はアカウンタビリティー(説明責任)が利いてチェックが行われるから良いが、せり前の相対取引、あるいは今後増えるかもしれない買付取引は要チェックである。上司の承認や稟議書は後付になっていないかなどコンプライアンス委員や監査担当のメスが営業を中心に入る。今まで日本はアカウンタビリティー(説明責任)が足りないと海外から指摘されてきた。今はコンプライアンスが足りないと指摘される。特にトレーニングが足りていないのは部下が報告を怠る点だ。その日の報告や週二回の経過報告などきちんと自分がWチェックを受けなければならない。意識とそのための実務のトレーニングがない。また上司の丸投げも業界の悪しき風習で、結果が悪いと結局個人攻撃になって、仕事が積みあがってこない。この弱点を正すため花き業界の人たちは更に報連相とマネッジメントに心を砕こうではないか。

日本は大企業を中心に新たなこれから10年を歩み出した。しかし大手以下は経済界でもガラパゴス化しているのではないかといわれている。少なくとも我が社にはガラパゴス化の傾向がある。台湾に出張に行った社員のレポートを読むと、コチョウランの苗を販売する業者はへこたれていない。新たな活路を日本以外の国に求めて苦闘しながらもがんばっている。日本のシンピジュームの種苗会社も日本はダメだが中国への苗の納入が間に合わないと言う。何も外に顔を向けろとだけ言うのではないが、もう過去の仕事のやり方で生産性の低い点は改めて、すでに出発していなければならない。改正食糧法の後、最も規制の多い業種である卸売市場の規制を緩和し、当たり前の仕事のやり方を行っていけるように消費者と取引先に利をもたらせる状況を作っておく必要がある。それが2010年3月の年度末のチェックすべきところである。

投稿者 磯村信夫 : 2010年3月22日 00:00

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