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2010年4月12日

一つの花き業界の未来

株価が上がってきた。実体経済を7?8ヶ月先取りすると言うから、本年度の下半期は楽しみだが、経済実態からすると上がりすぎているように思う。鉱工業指数を見ると、アメリカ、ヨーロッパ、日本ではいずれも2000年から2003年レベルで、ピークと比較するとアメリカでマイナス10%、ヨーロッパと日本ではマイナス15%以上となっている。花は個人消費関連であるが、社団法人日本花き卸売市場協会の調査によると2007年度比で取扱金額がマイナス10%であるものの、実感からすると2008年度、2009年度でそれぞれマイナス10%のエスカレーターに乗っている感じであった。本年はというと確かに昨年暮れから、切花はデフレを脱却しつつあるように思うが、鉢物は依然厳しい。全体からするとマイナス5%のエスカレーターに業界全体が乗っているような感じがする。

近頃売れ方を見ていても、安くて良い花が売れる、あるいは安くて良い花を売っている店が繁盛する傾向は基調であるが、高級品でも昔に比べ少し安くなっているブランドの花店も売上が戻ってきた。結婚式も葬式も店売りも二極化しているが、そのメリハリが出てきたことは大変喜ばしい。

昨日も消費動向の実態を見に、御殿場のアウトレットに行ったが、日経新聞が報じるように中高年は消費意欲が旺盛で、30歳以下の若い人たちはその割りではなく、ファストファッションに流れているようだ。花もファストファッション的にラッピングを取ると寂しくなるような花も、手頃な小売価格であれば若い人を中心によく売れている。年配者はそういう店では買わず、本店格の地域一番店で素材がしっかりした価値ある花を買う。このようにメリハリがついてきたわけだ。

定点観測をして買い物動向を見ると、確かに二極化したメリハリの利いた消費となってきていることが分かる。この先日本人はドイツ人のようになるであろうか。花だけでなく、あらゆる消費についてドイツ人は賢い消費者である。率直に言ってケチだ。だから好不況にあまり左右されない消費金額になる。オランダからの花の輸出はイギリスや南ヨーロッパなどが2007年度まで良かったわけだが、2008年からドイツが久しぶりにNO.1に戻った。それはドイツ人のドイツ人たるところだ。日本がこのようになるのかと言うと、一部に江戸時代を恋しがっている学者や評論家がいるが、今はそうならない。もっとアメリカ的で、ややもすると少し浪費気味だ。しかしもったいない精神もある。このバランスの取れた落ち着きどころに、どのように消費生活を持っていくかは、広く国内の所得政策や税制をも考え合わせて議論すべき時期に来ている。プラグマティックに言って、幸せとは欲望分のお金ではかることができる。所得政策や税制まで行くと、中期計画にならざるを得ない。短期計画では花き業界も他産業と同様にガラパゴス化を払拭することだ。海外に出て行って、その国の国内消費を喚起させ、ビジネスすることである。花き業界にとってはそうなると当然、この東アジアの台湾や韓国、中国、香港に進出することになる。そして一番の中心地はASEANの花文化の中心地であるタイだろう。日系企業も多く、お互いに国民同士も認め合い、良い関係の国だ。その国で政治的混乱が続いており、その中で日本人ジャーナリストが死亡した。日本の花き業界の積極的な投資とタイの政治的な落ち着きが、結局東アジア、東南アジアの安定と日本の花き業界の富をもたらすと考えるのは私一人ではあるまい。

投稿者 磯村信夫 : 2010年4月12日 00:00

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