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2010年6月14日

仕事の見直し方

遅れていた高冷地の菊も、そしてハウスもののリンドウの出荷も始まっていよいよ夏本番を迎える準備が出来てきた。梅雨入りで需要が減ってきたから、出荷者の方々には需給バランス上ちょっとの間辛抱してもらわなければならない時期となっている。


先週新聞を見ていたら、日本の労働分配率は70%代と先進国の中で最も高いことになっていた。アメリカ同様日本は、世界の中で法人税率は一番高いので、儲けの中から諸外国と比べ一番多く社員に支払うことになっている。社員を大切にする日本の企業としてさもあらんと思うが、だったらもっと個人消費が活発でも良いはずだ。しかしデフレで、しかも貯蓄率も下がっている。また日本は労働生産性が全産業ベースでアメリカより3割低く、サービス業においては先進諸国の平均値より4割近く低い。生産性が低いから賃金の安い非正規雇用の人を雇う。それでどうにかデフレ下でも赤字にならないようにしている。日本では非正規雇用が働く人の1/3まで増えてしまって、しかも安く使われているのだから、消費が活発になるわけはない。しかも労働生産性もせいぜい横ばいだ。このような循環がサービス産業を中心に、特に21世紀になって日本にはあった。

オランダ人と話していると、「日本はいいね。パートやアルバイトの人たちにもう来なくていいと簡単に言えるのだから」と言われたことがある。フルタイムもパートタイムも働く者の賃金や権利はそんなに変わりないのがヨーロッパの労働条件だ。だから「生産性を上げて高所得を得よう」の合言葉でIT投資をし、確実に働くものも会社側も言ったことを実現してきた。失われた10年とこの21世紀に入ってからの10年の都合20年間、生鮮食料品花き流通の分野においても、目立った投資が少なかったので、今後海外との生産性の差をどうやって埋めるか早急に対策を練らなければならない。

何も変えずに「儲からなくなった」「厳しい」と言っているのだが、利益についてはこう見ると考えやすい。利益は結果だから、その原因は外的要因と内的要因からなる。外的要因は事業を取り巻く環境で、天候やらマクロ経済やらその時々の心理状態などがある。この外的要因が46%で、内的要因は54%である。54%の内的要因のうち、その業界が持つ成長性や規模などを想定する事業領域が16%。38%は自社の要因となる。外的要因を観察し、予測する。次に16%の生鮮食料品花き流通業界、卸売業界、花き業界といった事業領域の要因を見直し、取引先により喜ばれるような新たな価値を我々は創り出すことが出来るか考える。さらに38%の自社の努力でどのように新しい価値を生み出し、取引先に好んで使ってもらえるようにするかを考える。我々農業業界の一端を担う会社として、また国民の安寧秩序を担う会社としては、明確に外的要因と内的要因、そして事業領域と自社の強みを46:54(内16:38)でハーバードビジネスレビューが言うように分けて考えるのが実際を整理しやすい。利益を出しにくくなった特にリーマンショック以降、もう一度仕事を再定義し、新しい花き業界・卸売市場業界を作っていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2010年6月14日 00:00

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