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2010年7月12日

菊相場の安定化に寄与

今年の7月盆は参議院選挙やサッカーのワールドカップの決勝戦で買い手も気はそぞろと言ったところだが、開花が遅れている品目が小菊やミソハギなどいくつもあり、前年よりやや良いくらいの売上を確保している卸売市場が多い。取扱高が前年をやや上回っているのは、出荷期が需要期を外して後ろにずれ込んで単価が高いのが表面的な理由だが、高齢化で盆の仏花需要が確実に高まっていることと、日本最大の菊の生産地である愛知みなみ農協が今年4月から一輪菊4部会を一本化し、窓口も一つにして相場のばらつきを抑えたことによる効果が大きい。中京以東のどこの卸売市場も一輪菊の主産地は愛知みなみ農協で、せり前価格の*台の相場を決めるとき、出荷量とそれぞれの地域の中核市場の相場を参考にし、そこと折衝してwin-winの関係で値段を決めていくと言う。このようなコントロールの利いた仕組み作りの勝利とも言えるのである。

花や生鮮食料品は作るに天候、売るに天候で在庫がきかないから、流通は卸売市場の役目となるわけだが、花市場は切花が主として月・水・金、鉢物が主として火・木・土で商いされるからせり取引だけでなく、せり前取引の価格も産地状況、販売状況などを加味し、お互いの考えをぶつけ合わせて、卸と生産地は値段を決めることが出来る。せり前取引が多くなってくると、卸売市場は委託出荷物を相対するのだから、産地との値段についての事前の話し合いやせり前であっても誰にいくらで売ったのかなど、インターネットで常時産地が見られるようにしておくことが必要である。もちろん買い手もである。Wチェックをできる必要がコンプライアンス上欠かせない。

昨年の台風18号で愛知県は被害を受けたが、4月から愛知みなみ農協が一輪菊部会を一本化し、窓口を一本化することによって拠点市場と取り組んだ。これによるメリットは一般の小売店もいたずらな安売り競争を仕掛けられる心配がなくなり、結果消費者にも安定して菊が提供できるようになり、全体の菊類の相場が安定してきた。この仕組みを消費者からたくさんお金を巻き上げる仕組みにしてはならない。謙虚に我々は昨年よりもより良いものを割安に提供し、我々の自助努力を認めてもらうようにしていく必要がある。消費者無視の事業者都合を心配するくらい、愛知みなみ農協と愛知県経済連の菊のせり前販売システムはスマートに機能している。反面教師は個人出荷の多い鉢物である。分割して統治せよは権力者がイニシアチブを取るやり方だが、分割されてはならない。家族経営がまとまって、本論は消費者のため、具体的には生産者であれば販売者のため、小売店であれば生産者のため、卸売市場は生産者と販売者のため、サスティーナブルな販売状況を作っていく。そのためには家族経営の個からグループ化へ、さらに大きく農協のグループ化、そうやって各地の市場でシェアを取る。一定の規模によって自分たちの存在を明らかにし、流通させていくことが花き業界でどうしても必要だ。まとまった場合のロットは一番小さい単位でも生産面積で一荷主5,000坪を目標にしたい。気が合う者同士、あるいは地域でグループ化し情報を共有化し、一つのお財布でそのお財布から各自の販売金額をもらう。そういった大きさが必要になっていて、それらを上手に積み上げていき大型化し、農協一輪菊部会を一本化して、好成績を出しているのが愛知みなみ農協だ。時代が要望している。その結果として愛知みなみの菊部会は成績が良いのであろう。その影響で菊の相場が安定しているのである。
*台の相場...建値としての相場のこと

投稿者 磯村信夫 : 2010年7月12日 00:00

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