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2010年8月16日

夏の花の産地は極東の日本で

今日は関西が休市なので長野県など東西に出荷している産地からの入荷は多い。とりわけ遅れていた露地菊の下位等級や仏花用の中国の白菊など、需要とミスマッチな品物が多い。だが全体の入荷量は少なく、気の早い人はもう9月の結婚式シーズンやお彼岸の荷を心配している。

今年の猛暑でも買参人は異口同音に「昔と比べるといろいろな花が出荷され、しかも水あげが良く、花保ちが良くなった。ありがたいことだ」と言っている。アジアの花の産地はセオリー通り赤道直下の高冷地にあるので、日本の冬に競争力がある。しかし夏場は日本の高冷地の方が涼しいので、マレーシアの菊を除き、盆に向けての増産はない。また特に今年は日本にカーネーションを供給しているコロンビアの天候が思わしくなく、寒さや洪水など今までには考えられなかったような栽培環境となっている。中長期的に見ても、夏にはもっと日本の花き生産者の方々にがんばってもらわなければない。夏場の日本生産が何らかの理由で少なくなったとすると、このアジア近辺では韓国やロシアにお願いする以外に手はない。植物検疫の問題や技術と人手、そしてロジスティックを考えると、何としても日本で生産してもらうことが必要となっている。ぜひとも夏場の花の増産をお願いしたい。

こう発言する下地になっている考えは、2010年共に学習し、発展しあう仲間として、ドイツとイタリア、そしてアジア諸国があるのではないかというものである。すでに一部の学者は、「日本は西欧におけるイギリスの役目ではなく、ドイツやイタリアのようにならなければならない」と考える人もいる。日本は内需比率が非常に高く、アメリカと同様80%にもなる。GDPにおいては輸出も輸入も20%ほどのものだ。そこへ行くと、ドイツは輸出入とも40%を超え、よく輸出しよく輸入している。イタリアも近頃そうで、今まで移民に出るのには慣れていたが移民が来るのは初めてで、国内では人種差別や排斥運動までもが起こっている。これは日本もだが、若年層の失業率が日本は10%だが、イタリアやドイツでは20%となっているので政治問題化している。しかしEU化が拡大されているのでもわかる通り、開かれた国として互助互恵の精神で思いやりとつつしみを持って拡大政策を推し進めている。日本は今内向きになっている。戦後の農業政策と戦後教育の失敗であると私は考えているが、2010年の今からアジア太平洋地域国家共同体の一員として、ドイツのようにGDPにおける輸出入を増やし、互恵の精神を持って国を運営していくべきだと考えている。

我々は農業の分野で、しかもその一部の花の分野で、国内生産と海外の産地に日本やアジアの消費者に花を堪能してもらえるよう生産してもらうことが必要だと考えている。リーマンショックも100年に1回なら、今年の天候も100年に1回にしてほしいが、しかし近代化とは化石燃料をはじめ、長い間掛かってためてきた地球資源を使って生活するから、地球はサスティーナブルな状況とは言えなくなってきている。だから天候不順を前提に農業を営んでいただく。しかも夏場に品質を保持しながら生産してもらう。そうなるともう一度、種苗、生産技術、そして立地条件の見直しと、露地でするか、雨よけハウスか、ビニールハウスかを決めておく必要がある。円高で来春まで輸入品は価格競争力があろうが、天候に勝てるわけではない。夏場の国内産地の皆様方は、今年の夏の反省として、上記の360度チェックをしてほしいと思う。天候がおかしければおかしいほど、プロの本領が発揮される時代となっている。それは日本の花作りの時代と言えないだろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2010年8月16日 00:00

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