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2010年9月13日

コミュニケーション能力を身につけよう

 8月20日からこの3年間で最低の単価水準に陥っていたが、来週の20日からの需要期を前に単価がジリジリ上がってきた。仲卸通りの人も多いのに、入荷は前年より1割以上も少ない見通しでお中日が終わったら彼岸用の荷が出てくる予定で、猛暑による開花遅れを恨むしかない。8月は猛暑による売上減を様々な小売業界で経験したが、IMFは10日の経済見通しの中で、先進国の金融不安と個人消費が低調でデフレになることを懸念しており、今年後半から来年の最初のころにかけての経済予想を当初より一段低く見ている。切花は2008年度以上にならないもののようやく昨年を上回った。しかし、鉢物類はここ3年で最も低調な市況で、花き業界は雨のち曇りとなりIMFの景気予想は今秋冬期に不安材料を投げかけている。
 しかし頑張るしかないわけで、仏花需要は健在なので他のカテゴリーの消費がさらに活性化するよう30歳代、40歳代、50歳代この層にポイントを絞り販促活動を強め、取引先の生産者に再生産価格を必ず返していきたいと考えている。今までより思いを強くしているのは、ここのところの円高で法人税が少しくらい下がっても工場の現地化は避けられないということだ。だから日本の職を維持していくためには1次産業と第3次産業を活発化させることが必要で花き産業をもりたてることは第一だが、職場を作るという意味から1次産業の農業と第3次産業の花き流通業を活性化させる役目があると考えている。
 90年代から工場が消費国に移転し、いわゆる現地化がなされているがブルーカラーの雇用が減ったことはとても大きい。公共投資が少なくなって建設労働者の職が減ったことも、大手サービス業がチェーン展開し個人商店が減ったことも、さらには2010年の農業センサスにもある通り5年間で70万人以上の農家が減り漁業者が減ったことも職場の喪失としてとても大きい。今挙げてきた職場はいずれも対人関係を中心としない職業で、それらが少なくなった分、日本の職場はホワイトカラーとか販売やサービス業という対人業が圧倒的に多くなった。だから日本ではうつ病の人が多くなり、その数は100万人~300万人いると言われ、それは職種がいずれも人間関係の上に成り立っている仕事になったからだ。大田花きでも月に1回産業医の先生が来てくれて社員の健康問題を指導してくれている。健康診断でも心の病を診断項目に入れるという動きもある。
 先進国として日本はホワイトカラーや販売サービス業の対人折衝をする仕事が多くならざるを得ず、国際化すればするほど外国人を使う立場の人たちも増えている。文化の違いを含めどのように日本人は対人折衝能力を高めていけばよいか。それは多様性を是とし、違いを違いとして互いに認め合い、共感して思いやりを持って接する他ない。思いやり、謙虚、素直、言葉で言うのは簡単だが少なくとも適材適所。職を2つに分けるとすれば、対人折衝が得意な人、得意でない人に働く場所を分けて当面やっていくことであろう。そして日本は多くの商社マンの能力開発にならい、自らのコミュニケーション能力を鍛えて国際化にふさわしい日本人として仕事をしていける道を選んでゆくことが必要だ。コミュニケーション能力が共感と思いやりに基づく能力であることをもう一度認識し、本来持っている日本人の良さ、"お互い様""武士に二言はない""有言実行"をしていこうではないか。日本社会の中で産業構造が早いスピードで変わっていっている。それは売るのが難しくなっている花き業界も同様である。

投稿者 磯村信夫 : 2010年9月13日 00:00

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