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2010年11月 1日

新局面TPP

週末の台風でハロウィンは残念だった。子どもたちは近所でお菓子をもらいに歩けなかったので、家でパーティーをしたところも多い。土曜日の夜、仮装パーティーを楽しんだ若者たちは、台風で例年の1/3くらいだったようだ。この若者たちのパーティーのときに、バーなどで飾られる花は近年、かなりの数にのぼるようになっている。ついていない週末だったが、来年に期待したい。


昨日、荷主さんの結婚式で群馬へ行ったが、テーブルではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の話しで持ちきりであった。FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の二国間協定と違い、参加者が例外なき関税撤廃を行うことを条件とするので、同じテーブルの組合長や農業委員会の方はあまりにも影響が大きすぎると交渉の参加にすら反対のようだった。

小生は先週、39年前の思い出の場所に行ってみようと親友2人と韓国へ行った。当時、我々は車で韓国に渡るため関釜フェリーに乗り(おそらく日本で第一号車)、釜山・ソウルを訪れた。当時は高速道路が出来たばかりだったので、対向車は270台くらいしか会わなかったし、鳥はスピードになれていなかったのでフロントガラスにぶつかってきた。その39年前の場所を訪ね歩いて、釜山から慶州、ソウルまで行った。朝鮮半島は日本が統治をしていたとき、北は重化学工業など、南の今の韓国は農業と漁業を主な産業としていた。今は農業をベースに、工業でも小売業でも世界的な競争力を持つ国家となっている。とりわけ農業は、国家が国際競争力をつけるよう電力や石油、あるいは温室、また輸出の際のさまざまな援助をしており、その額はここ5年で日本円にして4兆円~5兆円と言われている。そういった農家(農業経営者)とも話しをする機会があったが、すべて満足とはいかず、キムチの白菜やニンニクの輸入など困った話しをするが、しかし総じて見ると国民生活が向上しなければ我々農民も豊かになれない。我々は今後育種など、あるいは加工技術など独自のものを開発して世界に打って出るという結論に達することが多かった。そんなことを昨日思い出しながら、結婚式の間でTPPに対する可能性とリスクを話題にした。

切花は1970年代(昭和50年代)、福田赳夫総理がタイを訪問したとき、手土産に切花の関税をゼロにしますと言ったところから、日本は世界でも珍しい輸入切花関税ゼロの国となった。しかも当時は花の生産者に対して補助金などなかったから、まさに自前でやってきたのが花き業界で、創意工夫と負けじ魂に富んだ人たちであった。花のことだけ考えればTPPは相手国が関税ゼロになるので輸出の可能性が広がる。大田市場では場内を輸出検疫所に指定してもらって、輸出検疫を受けられるように、都を通じて国にお願いをしている。日本の花は世界に打って出られる実力がある。

中国そしてインドが台頭し、新しい国際情勢に合わせて自らを改革していかなければならない日本は、このTPPの問題は慎重に、かつ未来を見据えて取り組まなければならない最重要課題のうちの一つである。

投稿者 磯村信夫 : 2010年11月 1日 00:00

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