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2011年4月 4日

専門店と生産地を復活させる

昨日社員の結婚式があって出席したが、自粛の考え方もあろうが、何も華美な結婚式や披露宴をしているわけではなし、出席して本当に良かったと思った。改めて花の美しさに感動した。いつの間にか東日本大震災で私たちの気持ちもピンと張り詰めたものがあり、何か感覚が鋭くなっていて、花々はハッとする美しさで胸に焼き付いている。

さて、今期の日本の花き業界の目標の一つに、大震災で加速するに違いない花の小売専門店の減少に歯止めをかけること、花き生産の減少にストップをかけ花き生産農家の採算向上と後継者育成に力を入れることがある。阪神大震災の例では2年後、小資本の2割の小売店が復活しなかった。これを震災に遭われた東日本でいかに復活してもらい、今まで以上に活躍してもらうかである。花の小売専門店は地域文化の担い手としての役割がある。場合によっては料理よりも地域によって異なる場合があり、茨城県土浦近辺の例を出せば、結婚式のような七五三のお祝いと花飾りがある。このようなことは伝統的な花店しか出来ない。また花店は伝統を守るだけでなく、新しい花との生活の提案を行っており、日本の優秀な花き農家が時代に先駆けて提案する新しい花々を伝統の中にも取り入れて今を表現する。

花の小売店は専門店のほかにもあり、コンビニやカタログ販売、インターネット販売は花の買い物時間の節約の役割、スーパーの花は花代の節約の役割、ホームセンターの花はリビングから窓辺、玄関先から庭、それぞれに似合う花を販売する役割がある。花の専門店は八百屋さんや果物さんと違い、割烹やレストラン、食堂だ。品物を見極める目と腕が売り物で、だからどんなに小さくともやっていける。これが屋のついた商売でも花屋がどうしても市民社会に必要な訳で、職人もいれば芸術家もいる。この人たちを絶対に東日本大震災の後も復活させるのだ。産地も同様だ。福島県、茨城県、千葉県産は上質なものが多い。風評被害で野菜は半値以下になっているものも多いが、花については買参人はいたって冷静で、単価も他の県のものとほとんど変わりない。一部食品スーパーなど気にするところもあるが、セリ単価が他県産とほとんど変わらないところを見ても、全ての食品スーパーが買い控えているということはない。どのように販促していくかが今後のポイントとなるが、販促に注意したいのは輸出の時だ。輸出時に一言添えなければならないのではないかと考えている。
まず震災後1ヶ月で、日本中で何らかの震災の影響を受けているから、いくつかの仮説を立てて実行計画を立てる。ようやく普段の暮らしに戻りつつあり、いつの時点で旅行など市民のささやかな楽しみを追及しても後ろめたくないかの時期を探り、被災地を除き前年並みの花の消費水準と仮定したい。もし母の日以降も余暇、レジャーなどの支出を極端に控えるようであると、当然失業率が高まったり所得が下がったりしていくので、そのときには花の消費見込みの下方修正を余儀なくせざるを得ない。お金のことだけ言って恐縮だが、企業業績が急激に落ち込んでも給与が一定水準を保っている今のうちに、震災後一ヶ月経っても未だ復興に向けた活動すらできない多くの同胞がいることを片時も忘れることなく、しかし日本家族が普段の生活を送ってもらうことが必要である。国難であるから、7月のボーナスの金額に影響されるお中元は当然控えめとなるであろう。だがなんと言っても大切なのは、国難を思い、しかし慌てることなく一日一日充実した仕事生活と消費生活を送っていくことであろう。希望の朝を迎え、勤勉な昼を過ごし、感謝の夕べを迎える。そして自分の出来る限りの範囲で被災地の復興を手助けし、新しい日本の花き産業を作っていくことであろう。

投稿者 磯村信夫 : 2011年4月 4日 00:00

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