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2011年5月 9日

震災の余波でもまぁまぁだった母の日

切花の赤いカーネーションや鉢のカーネーションが10年前と同じ相場に戻るなど、近年にない母の日らしい相場展開となった需要期であった。事前の受注状況は80%くらいだったものの、間際の駆け込み需要が多く駅周辺の店や繁盛店などは前年を上回ったところが多かった。切花、鉢物ともカーネーション類のここまでの高騰は予測していなかったが、ゴールデンウィーク中のお墓参りの仏花需要は予測通りであった。ゴールデンウィークが明け、母の日が明けた今日の荷は菊類が多いが、菊の生産地は、団塊の世代が全員65歳以上になるまでは、と言ってもあと2、3年だが、ゴールデンウィークは田舎に行ったり、あるいはリタイア後の第二の人生を考える上でも、また母の日が近いこともあってお墓参りに行ったりするということを知っておく必要がある。だから母の日明け、またゴールデンウィーク明けの今日、菊類が多いのは間違いである。

母の日以降は品目を替える、すなわちシャクヤクやカンパニュラなどの初夏の草花、トロピカルのアンスリュームやヘリコニア、ハモノなど、そしてトルコギキョウやユリのように夏にも花持ちの良いものに主力品目を入れ替え、また産地も入れ替える。これが花き流通業界の今週の消費者の支持を受ける品揃えだ。

新聞や経済誌で、デパートの売上が3月、4月と予測したほど落ち込まず、むしろこじっかりしていると伝えている。それはリーマンショック後の合併や店舗閉鎖、商品力の強化などの努力の賜物と言える。デパートが存立する地域は花の消費は活発で、客層はデパートと花店はほとんど同じだと言えるが、震災後の花の3、4月の実績はデパートより劣る。農産物は野菜、切花、果物、鉢物の順で、生活必需品の度合いが測られるが、切花、鉢物とも震災後、付加価値の高い高級品の人気が今ひとつで、全体の相場を引っ張ることが出来ない。また切花では昨年良かった白菊の生産が多く、安値で全体の相場に堅調感がない。このことを鑑みると、デパートとは違って8月の需要期までコスト削減の経営計画を立てる必要がある。そして第19週の今週であれば、初夏用に主力商品を入れ替えていく。無駄を排除する。こういった地味な努力が欠かせないのである。

投稿者 磯村信夫 : 2011年5月 9日 00:00

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