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2011年6月20日

団塊の世代の退職と花

今日の日経新聞一面トップに「大卒者13.7%増」と大手上場企業が大卒者の採用に前向きになっている記事が出ていた。我が社も震災で採用試験を順延し、夏前に内定を決めようとしている。大手企業が大卒者採用に前向きなのは、戦後のベビーブーマーたちが会社を去っていくことになっているからだ。このことは65歳以上になって年金生活者が増え、財政を圧迫することを意味し、消費生活においても同じ旅行に行くにしても支出額や回数に限りが出てきたことを意味する。

花き業界においては仏花はここ5年、団塊の世代が60歳になって65歳のハッピーリタイアメントを前に、第2の人生の目標を決めるため先祖の墓にお参りをしてきた。そのため物日の需要だけでなく、1日・15日の仏壇の花の入れ替え時期に相場が持ち上がってきた。昨年のように仏花素材の菊や小菊が不足すると花の相場が高値基調になり、日本中の花き市場は久々に前年の取扱金額を上回る実績を残した。それは団塊の世代は日本列島に押しなべて居住しているからである。その団塊の世代がハッピーリタイアメントの時を迎えている。昭和20年生まれはすでにリタイアした人も多く、その分花き市場では昨年に比べて菊や小菊類の相場が出にくくなっている。この傾向が今後ますます強くなっていくのだ。

そして40歳前後の団塊ジュニアと言われる人たちは団塊の世代とは違い、日本の各地に平均的に居住しているわけではない。フリーターの世代でもあるこの団塊ジュニアの世代は、地域の道州制の中心都市に集まっている。イギリスを先頭にEU諸国と同様、日本も団塊ジュニアが中心となって政治経済を回すようになってきた。消費の分野はまさに団塊ジュニアが引っ張っている。衣料品、日用品で言えばルミネやアトレなどの駅ビルの成功事例がある。花店であれば日比谷さんや青山さん、あるいはユー花園さんの成功事例がある。小売業は立地産業であるから、立地条件を鑑み、店売り、ギフト、文化(冠婚葬祭)や物日、どれを重点に行うか、また販売手法はインターネットなのか、出張サービスなのか、路面店なのかなど、もう一度自社の強みをチェックし、自社はどういう小売店であるべきかを定義しなければならない。大筋では世界に通用する日本文化としての花活けや庭作りなどの空間美があるだろうし、団塊ジュニア世代の持っている日本人としての美意識、それはポップカルチャーをも含め、それに合う色や形状の花である必要がある。この2つの外せない条件を元に、小売、卸売市場、生産地はまだ仏花が売れている間に仮説を立て、PDCAサイクルを回して足腰の強いものにしなければならない。

2015年までの間に各自正解を見つけていく、その過程の中で合併やM&Aなど数の調整が起きてくる。避けて通れないこととして積極的にチャレンジし、次世代に花き業界のあるべき姿を5年以内に作り上げ、渡して行きたい。

投稿者 磯村信夫 : 2011年6月20日 00:00

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