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2011年7月 4日

共同荷受所がきめ細かい花き流通を促した関東・東海

先月の29日、花き卸売市場協会首都圏支所の初会合があった。関東から長野、そして静岡県では浜松以東50社の花き市場で構成される首都圏支所は、日本の人口の4割強の消費者のために過不足なく花を届けることを使命としている。東北支所管内の市場まで含めると約60社が、都内にある4つの共同荷受所を経由し、出荷物を販売している。その4つの荷受所とは東京花き共同荷受、永井荷扱所、夏目荷扱所、羽田日通である。

東京になぜ4つも共同荷受所があるかというと、もう40年ほど前になるが、花き振興をはかるために静岡県経済連、愛知県経済連、長野県経済連、千葉県経済連が中心になって、環状7号線の鹿浜橋を渡ってすぐの埼玉のところに共同荷受所を作った。花はまだ取扱量が少なかったから、花専用のトラックターミナルを作ることによって、産地には輸送の合理化、出荷先の広がりを持たせること。そのためには花市場の新規参入障壁を低くすることが必要だった。花き市場の数が増えれば、花の需要が増えているときだから、従ってどこの市場でも競い合って高値で売り、品物を多く出荷してもらおうとした。

そこの鹿浜橋の産地主体の荷受所が事情により廃止されることになって、当時の新日本園芸株式会社の練馬の西部園芸市場と世田谷区上野毛の南部園芸市場に、都内だけでなく関東・東北の市場のため、共同荷受所を作ることになった。この際、一緒に経営しようと都内の4つの花き市場組合は大同団結し、東京都花き市場協同組合が出来ることとなった。そこが共同荷受を運営することになる。

東京では大島、三宅島、神津島、八丈島の4島は日本でも屈指の切葉、切花の産地である。ここは東海汽船が運航しており、東海汽船永井も共同荷受所化した。房総半島の東京への入口である小岩の夏目も房総の荷の共同荷受所になった。その後、飛行機便の花も増えると、羽田日通も共同荷受となった。

花の需要が増え、取扱金額も増えていった時代は共同荷受所引取りのコストも十分に販売手数料でまかなえ、利益を出すことが出来た卸売市場がほとんどであった。しかし21世紀に入ると単価も下がり、近年は荷も少なくなり、せり前取引も盛んになって、早く自社に荷物を到着させることが市場間競争上どうしても必要になっている。そうなると、例えば東京花き共同荷受に引取りのトラックを差し向けたとする。積載効率が良いように満載にして持ってくるということは、引き取り時間が遅くなってしまう。それでは大手の買い手に他から取るからいいと言われてしまうので、早い便と最後の荷まで引き取る便と2台出さなくてはならなくなるのだ。こうして物流コストが上がってきている。

荷受所があったから関東一円、10億円前後の年商の花き市場でも品揃えを良くし、その花市場を利用する地域の小売店が決して近所のスーパーに負けない品揃えの花店を営業し続けることが出来ている。しかし、運賃の負担増と個人の生産者が高齢化し花の生産をやめる人が出てきて、農協出荷は直送が増え、荷受所の経営もなかなか厳しいものがある。青果や水産は大正の末から昭和の初期に中央市場流通となったので、花の荷受所経由とは違い中央拠点市場経由の流通となっている。では花も青果や水産同様、中央中核市場、少なくとも中央市場と地域の公設市場、ここがターミナル駅の役割を果たし、多数の地域密着の市場は直荷とこれらの市場からの買付でその地域の小売店を、そして消費者を満足させることが出来るのか。この点が現在の花き卸売流通の課題となっている。当面の間は、各市場が直送してくれる産地と取り組みながら、共同荷受所と中核市場の花き部の両方を使うということになろう。各社に車を出すのがコスト的に無理ならどこを選択するかと言えば、自社が競争力を保てる要件を満たすところとなるだろう。それは納品時間が正確か、コストが経営上負担にならないか、品揃えがきちんと行われるかのポイントから業務の見直しを行い、自ずと選択されるであろう。一般社団になる市場協会は会員各社が社会的な役割をきちんと果たせるようになってほしいとの想いから、市場機能に踏み込み、具体的な経営に踏み込もうとしている。それは今物流機能を中心とした流通そのものに踏み込む必要があるからである。

投稿者 磯村信夫 : 2011年7月 4日 00:00

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