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2011年7月11日

仏様の花が変わってきた

昨日10日の朝日新聞のトップに『縮む福島』と題し、福島の人口減や失業の問題が取り上げられていた。2010年の切花の1世帯当たりの購入金額がナンバーワンの都市は福島市であったから、ナンバーワンの県が困難に直面しているのは花き業界として残念で仕方ない。週刊誌でも50年前の日本中の被ばく状況を特集し、過剰反応するなと戒めている。郡山ではもう洗濯物も外に干しているし、子どもたちも外に出て遊んでいるので、政府は早く原発問題の終息の計画を正式に発表し、着実に実行して福島を安心させてもらいたい。そうでないと外国の方だけでなく日本人の私たちも旅行に行くと言ってみても、優先的に福島へ行くという気にはなかなかなれない。大切なのは安全安心で、花き業界だけのことを言うと、我々日本の花市場はこんな時こそ福島県の花を力売して少しでも地域経済に役立ってもらうよう努力したい。

東京はこの13日からお盆である。今日はお盆の大市でハス市が行われた。日本の儀式は団塊の世代と団塊ジュニアの世代によって変革がなされてきた。団塊の世代が結婚する頃には料理屋や自宅ではなく、式場やホテルで行うようになり、団塊ジュニアの世代が結婚する頃にはホテルや式場に加えてレストランウェディングや邸宅ウエディングになってきた。葬式も団塊の世代は花祭壇を好み、洋花が中心のものになってきている。行きすぎは修正されたが、まだ一定のパーセントは直葬で済ませる人もいる。このように儀式が変わってきたが、団塊の世代が60歳代になり、東京でも7月の盆をそれなりにきちんと行おうとするようになってきた。お施餓鬼、迎え火、送り火、盆に実家に集い、少なくてもお茶くらいは飲んでみんなでゆっくりと話をする。夏休みではなく平日なので、今ひとつインパクトに欠けるが、時間は短くとも非日常的なときを過ごす。今、団塊ジュニアの子どもたちも勤務の都合で来られない人は別にして、7月の盆を明確に意識する。このようになったのはここ数年からで、それまで団塊ジュニアの人たちは東京にいても盆は盆休みの8月だと思っていたくらい無関心であった。それが、両親が盆の儀式を行うようになったので、初めて7月盆を認識するようになった。

今のお墓は縦型から横型になっている。ビジネスカードである名刺も横型が圧倒的に多い。そうなると生け花で言うところの根締め、この足元が花の中心となる。仏花でもここにインパクトのある花を置く。仏花の伝統である天地人の型とは変わり、横に広がりのある花束になる。そうなるとあえて仏花としなくても、ミニブーケなどがまさに仏花として使われる。フローリングの部屋に全体の色調に合わせた家具としての仏壇を置く。そうなると当然ミニブーケを1対活けるか花瓶でやや大ぶりの花を仏様の花として飾るようになってきた。墓地や仏壇の新規需要は今盛んになってきているので、セリを見ているとまだ昔ながらの仏花素材が売れているが、確実に従来の仏花素材にこだわらないようになって行っている。バラを仏壇に飾ることも決して少なくない。お父さんやお母さんが好きだった花、自分がきれいだと思う花、季節の花を仏壇や写真の前に飾る。そういう新しい仏花の潮流が東京・神奈川では本流になろうとしている。

投稿者 磯村信夫 : 2011年7月11日 00:00

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