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2011年8月 1日

この冬油代はそんなに心配しないで

貿易収支の均衡が取れてきたというのに、この円高には辟易する。エコノミストは理論値で75円をうかがう局面だと言うし、これでは世界第三の経済大国とは言え、輸出ではハンデを負うことになる。当然、この国の10人に1人の通称裕福層と言われる人たちも、円だけでなくドル建てや各国通貨資産を持つなど資産を分散化することになる。

生産者と話していると福島原発の問題から、この冬の油需要が逼迫するのではないか、円安に振れたとき重油は高くなってしまうのではないかなど心配する声を聞く。私はそんなとき先月7月に原油価格は新たなマーケットの局面になったので、そうは一本調子で上がるのではないことを説明し、エネルギーの節約に気を配りながら今年の冬しっかり暖房を焚いてもらうように話をしている。それはこういうことだ。今まではone-wayで、原油価格というのは投資ファンドからすると割とリスクの少ない商品であった。今の中東の情勢、南米の情勢、ロシアなど油の代金を梃に国を近代化し、産業を興そうとする産油国の力が一方にある。BRICsはじめ、VISTAなど、新興国が本格的に工業化に向かい世界経済を引っ張るようにもなってきた。そうなると石油が必要だ。資源が限られている石油は1バーレル=70ドル以上になり、先物ではたまに100ドルの声も聞かれる。株式で言うところの売り手が限られているからだ。だから何か緩ませる手立てというのが必要になってくる。少なくとも実体経済に合わせた価格でないとマネーゲームになって経済発展に支障が出る。そこで7月、two-way売り買いが交錯する局面を作ることとした。先進国では半年間の備蓄をしているがそれを3ヶ月の備蓄とし、3ヶ月分が市中に出回る。ロシアは潤沢に市中に石油を出し続ける。新たな局面はこのようにして石油先物価格が実体経済から極端に乖離しないようにtwo-wayリスク商品としての石油マーケットを形作ったのだ。そうなると極端な心配はしなくて良い。花の市況状況も2009年度に沿ったものになっているので、ちょうど石油も2009年度価格を想定し、経営計画を立てていただければ良いのではないかと思う。

特に暖地の生産者の皆様方は、3月末決算の場合、上半期が例年だと45%、本年は東日本大震災から40%の売上比率、下期に例年だと55%が今期60%になる計画をしているところが多いだろう。切花、鉢物とも需要に不安はないと見ている。そこでしっかりした作りこみを行い、いつも通りの卸売市場に出荷していただき、震災後小売店舗の優劣が起きているので、人によっては新たな小売店をその市場の担当と一緒に見つけていく必要があるだろう。震災後、まずは小売店の優勝劣敗が起こっている。本年度は自分の花を使ってくれる取引先は誰かを明確にすることによって、生産者は震災後の変化の影響をしのぐことが出来る。

小売店は変化の渦の中にあり、店売りを主体としたところは完全なる立地産業となった。もし立地が悪くても小売を主体としていくのであれば、宅配サービス、インターネットやカタログ販売など、事業内容を替える必要がある。そして立地が恵まれている店売り主体の勝負どころは、つながり消費の元である手軽なギフトに移っている。3,000円未満~1,000円で、ちょっとしたステキなプレゼントの花が用意出来るかが専門店の勝負どころとなってきた。小売業は一段上の段階に入っており、もう一段階サービスを向上させないと人に感動を与えることができなくなってきた。結局は花店も立地条件と人材育成ということになろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2011年8月 1日 00:00

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