大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 上限で契約取引半分か | トップ | 競争力を増す輸入花 »

2011年8月15日

進化する卸売市場

8月13日土曜日の日本農業新聞に藤沢市の地方卸売市場で横浜の丸中青果が建設していた新しい市場機能工事が完成し、来年4月から民営化運営がスタートし、8月までには国分株式会社も入って、青果以外の日配品も配送すべく配送棟も建て、営業を始める旨の記事が載っていた。生鮮食料品と加工食品、これがまさに私が考える今後の卸売市場の一つのスタイルである。

市場流通ビジョンを考える会は、第九次卸売市場整備基本方針の策定に向けての提言を農林大臣に行ってきた。(平成22年4月23日赤松農林大臣、平成22年10月15日鹿野農林大臣)
また、この度休会するにあたり、我々が流通ビジョンを考える会で議論してきたものを事務局の東京農業大学藤島先生にまとめていただき、先生のご意見も加えていただいて「市場流通2025年ビジョン」という本にした。社会インフラとして卸売市場が時代の要請に応えて、形を変えながらも十二分に活躍し、日本国民に役立っていく姿を描き出した。そこには輸入品まで含めた生鮮食料品花きの供給サイドの姿、小売の変化、卸売市場の変化である。もちろん消費者である日本国民に役立っていくための変化であって、市場流通ビジョンを示すことが出来たと思う。第九次卸売市場整備基本方針では、中央中核市場が謳われている。これは現状の実態を認めたものである。しかしこのままでは卸売市場数の調整ばかりに目が行きやすい。日本全国で卸売市場が機能しているから、中堅以下の生鮮食料品花きの小売店が仕入で大手と差がつかず激しい販売競争をして、消費者に利便性を供している。仕入調達機構である卸売市場が少なくなったら、仕入機能を内在できる大手小売店のみが品揃えの出来る小売店になってしまうのだ。卸売市場の必要性は国民にとっての生鮮食料品花きの調達コストを下げ、選択の幅を広げることにある。その意味で、大規模市場だけがあれば良いというわけではない。立地条件や発揮機能によって様々なパターンの卸売市場が必要なのだ。その具体例の一つが藤沢市の地方市場の新しいあり様であると私は思う。地域の消費者の起点に立って、藤沢の卸売市場が変わっていこうとする姿を描き出さなければ、卸売市場のあるべき姿を示したことにならないと考えている。ぜひとも「市場流通2025年ビジョン」をご一読いただければと思う。

『市場流通2025年ビジョン 国民生活の向上と農水産業の発展のために』 筑波書房
監修 市場流通ビジョンを考える会(代表幹事:磯村信夫)
編集・執筆 藤島廣二

*本書の54ページに「花きの場合、我が国最初の中央卸売市場は横浜市中央卸売市場南部市場ですが」とありますが、我が国最初の中央卸売市場は仙台市中央卸売市場の誤りです。

投稿者 磯村信夫 : 2011年8月15日 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.