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2011年8月22日

競争力を増す輸入花

今朝の荷姿を見ていると一足早く輸入品は充実して来ている。しかし国内生産者は盆休みで、国産の花は出荷量が少ない。毎年33・34週は花の専門店が夏休みを取るところが多く、金曜日まで花の需要は少なくなるが、今年は円高だから輸入商社の人たちはがんばって出荷をしてくれている。
アメリカ経済が思わしくなくEUは金融不安、そこで今までにない円高となっているが、生鮮食料品花きの景気実感は「デフレが止まらない」である。切花の場合その理由ははっきりしており、切花相場を決める一輪菊が前年に比べ1割安い。その物価水準であらゆる花が推しはかられるから、小売店まで含め花き業界の総売上は9掛けに近くなる。もちろん新品種を投入したり、新しいサービスを付加したりして、価格維持に努めているが、8月期9月期は昨年の9掛けというのが今のところの予想である。
日本の企業はバランスシート不況を経て、手持ち資金はある。こうなると円高を利用して海外に出ていく。あるいは海外の会社をM&Aする。こういった戦略を実行するタイミングとなっている。日本はものつくりについては世界で一番こだわる国だから、上級レベルのものは日本で今後とも作っていこうとする。しかし普及品レベルのものはますます海外に工場を移し、ものによっては逆輸入をしていく。ほとんどすべての分野で国内消費は頭打ちとなっているから、国をあげて海外に出て行く動きが今強まっている。
花は日本人が出て行って、日本に輸入されているものは私の知る限り5つくらいとほとんど無いに等しいが、輸入商社が現地の生産会社と組んで日本向けに毎年毎年質を向上させている取組は多い。円高を梃子に、更に輸入量は増えていくものと思われるが、日本の花き業界に通用する品質を作れる農場はそんなにない。というよりほとんど限られている。だから無尽蔵に入ってくるなんてことは考えられない。またその生産会社はしっかり日本の専門商社とタッグを組んでいる。しかもそういった生産会社は10ヘクタールの規模ではなくて、グローバル競争の単位である30ヘクタールの農場である。そういう会社とタッグを組むというとなまじの規模の受け皿では如何ともしがたい。日本では一社でそんなに同じものをたくさん取り扱えるはずがないから、輸入商社がバルクで持ってきてリパックして荷姿をととのえ、各卸売市場に出荷するということが流通上必要になる。野菜を作っていた人が花を作るようになって、また野菜に戻ってしまった今日。しかもデフレが続いている今年、輸入商社の動向に注目が集まっている。

投稿者 磯村信夫 : 2011年8月22日 00:00

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