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2011年9月26日

秋彼岸から下半期の相場見通し

15号の台風一過でお天気にも恵まれ、秋の彼岸はピクニック気分で週末型だが、23日のお中日からの3日で売るものがなくなった花売場が続出した。彼岸の入りは勤めとしてお墓に行く。お中日や週末は孫や息子たちと家族の絆で教育も兼ねてお墓参りに行く。春は子どもたちも春休みや年度末で何かと予定があるので家族揃って行けない場合もあるが、秋は春休みとは違い普段の祝祭日なので家族と誘い合わせてお墓参りに行く。量販店では彼岸の入りに揃えすぎて在庫となり、この調子ではあまり売れないだろうと週末に補充せず足りなくなってしまった店舗がたくさんあった。秋の彼岸は週末需要型であって、この消費パターンを小売店も生産者も覚えておいてもらいたい。

15号の台風で福島県郡山の阿武隈川が氾濫し、床上浸水があった。排除した泥をセシウムの問題があるから回収し、一定のところに溜めておく。郡山では小さいお子さんのいるお宅では庭をコンクリートにしてしまったところもある。そういう家庭にプランターで花壇をプレゼントして、玄関前や庭先にちょっと置いてもらったりする。土は怖そうだが、これなら安心して心和んでもらえる。このように郡山は放射能に神経を使い生活をしている。我々花き業界も息の長い援助をしていきたい。

その郡山の卸の方と、今年の台風による産地の被害状況の情報交換をした。また年末の相場見通し、1月~2月の大雑把な相場見通しも交換し合った。まず台風による花の産地の被害状況と高齢化による作付減、また花から野菜など他品目への変更による作付減を勘案すると、出荷量においては少なくとも5%、心理的には欲しいものは不足するので10%少なくなりそうである。これは2012年の1、2月ごろまでその傾向が続くのではないか。また経済状況は近頃よく耳にするヨーロッパ発のリーマンショック並みの世界不況の可能性も想定しておかなければならない。がしかし、花は元気需要と絆需要で高価なものは未だ鈍いが、一般的な価格帯のものの消費は10、11月で昨年並み、12月からは若干だが増えていくものだと推定される。予想は外れる場合もあるが、直近のところはよほどEUの通貨危機で、EUだけでなくアメリカや新興国、日本が内向きになり、協調体制が取れない場合のみ心配する必要があり、これだけ経済がつながっていると自国のこととして協力せざるを得ないだろう。よって花の相場見通し等は3.11による作付減まで含め、だいたい上記のようになっていくものと思う。生産者は規格基準等に沿わないものも出荷するつもりで生産に励んでほしい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年9月19日

地域と文化が活性化キーワード

福島県産の新米が国のセシウム基準レベルをクリアして出荷されると聞いてホッとしている。東京のお彼岸の小菊の産地は被災した福島、栃木、茨城が主産県で、地域の米も良し、もちろん小菊も品質良しで販売に力が入る。

さて、私は大森に住んでいるので、地元の小学校の友人たちの何人かは大田区の町工場で働く人間だ。先々週の土曜日に一杯やったら、彼らは以前1ドル=90円を割ったときに「もうだめだ」と言っていたのに、どんな創意工夫があったか知らないが、「1ドル=75円でやってくれ」と上から言われていて、「これで出来なければ首をくくるか海外に出て行くかしかない」と言っていた。小生から「場合によっては1ドル=50円になると言っている人もいる。だからそれなりの対策をここ5年で取っておかなかったらだめじゃないの」と経済雑誌やいくつかの本で勉強した受け売りを言った。1944年に出来たアメリカ中心の世界貿易体制のブレトン・ウッズ体制(基軸通貨ドルとIMF、および世界銀行)の崩壊、EUの金融不安。ユーロの内向きな体質。すなわちアメリカもヨーロッパも自分のことしか考えない。主要国の金融はそのようなので、日本のあらゆる企業ではさらに円が強くなることを想定して、将来の備えをしておかなければならない。そういうことになると、花の分野ではもうすでに国際流通しているラン、ハモノ、カーネーション、バラ、菊の国内生産地は主要取引先の市場と一緒に向こう5年間の販売戦略を作っておかなければならない。話だけでなく、具体的に行動を起こすことが必要だ。

リーマンショック後、まして3.11以降、日本のあらゆる業種で利益が薄くなり、赤字のところも多くなってきた。もう限度と言いながら過去の蓄えでどうにかやっている。政府の経済援助のおかげでもある。しかしここに来て、震災後の新しい再出発に向かってどの企業も動き出そうとしている。それはアメリカよりEUより日本経済が良いことを示している。だから円高なのだ。そこで卸売市場流通で産地が取引先を絞り出したのは、前向きな気持ちの企業がいる一方、信用リスクのある企業も多く、カウンターパーティーリスクを感じ始めたからだ。取引先が倒産したら結局自分も存続が危うくなるという危機感をどこの企業でも感じているのだ。これは社会現象である。だから業界を問わず人気企業に顧客や品物が集中して流れるようになっている。これはやむを得ないかもしれないが、野田総理が言っているようにこのままでは地域は立ち行かない。また健全な中産階級が存続し得ない。それではいけないのであって、日本のあらゆる地域が文化的に発展し、経済的にグローカル(グローバル+ローカル)にやっていけるようにする。北海道のニセコの周辺などはまさにそのようにして地域の文化を育み、そしてそこで働く者の所得は日本の平均賃金を稼ぎ出している。観光産業や他の得意な産業によって地域を活性化する。食や文化の象徴の花や音楽を活性化させることは地域活性化のコインの表裏で、まさに震災後日本が目指す食の文化と飾る文化、そして地域、この2つのキーワードは活性化する上で欠かせない。卸売市場についてだけ言えば、卸売市場は公的な交通機関だから、スーパハイウェイ、国道、県道とアクセスが良く、いつもインターチェンジで渋滞するようだと困る。市場間ネットワークを更に密に取り、その地域に合った生鮮食料品・花きが地域の人たちにスムーズに届けられるようにすること、買い物難民の手前にある卸売市場がなくなることによって小売業者がなくなっていくことをどうしても防がなければならない。地域に卸売市場がなくなろうとしている流れにどう竿さしてやっていくか、結局は気構えと公共的な役割の認識の問題だが、ここ1、2年の重大な問題となっている。市場間の連帯を取り、新しい震災後の地域を作ろうではありませんか。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年9月12日

9.11大田市場まつり

昨日は3.11から半年が経ち、復興に向けた足取りを確認し、さらに我々が協力出来ることをもう一度考える大切な日となった。花き卸売市場協会の会員市場でご苦労なさっているところに協会として、あるいは大田花きでは東日本にいる仲間の市場として助力やお手伝いが出来たか、また今後のお手伝いが出来るとしたら何が出来るかを考えた。産地の復興の手伝いは花き卸売市場協会あげての風評被害の撲滅から、一部腐葉土の問題を除き、安全に心がけて流通させてきたので、大事に至らずに済んでいる。
福島県の農業者は青菜など風評被害に泣いたが、花の相場は他県産と遜色なく、売れている。

東日本大震災復興支援風評被害撲滅キャンペーンとして、昨日の9月11日、大田市場まつりが開催された。昨日の朝刊には第一原発メルトダウン後の風向きと雨でセシウムが高かった地域とその割ではない地域の地図が載っていたが、関東地方にまで広がり、野菜や果物、きのこなど、実際の政府の安全基準を上回ったものは当然だが、問題ないとされているものまで消費者は買いたがらない。昨日の大田市場まつりでは、「そうじゃありません。我々プロが選んでいるからご安心下さい」と被災地や周辺地域の野菜や魚を即売した。

花は風評被害は問題ないので即売せずに東北の花などを使いフラワーアレンジメント教室とコンテナガーデン教室の2つを開いた。12日の今日はお月見だし、来週の月曜日は敬老の日、そしてすぐお彼岸の入りだ。需要期なので愛する人やお世話になった人、おじいちゃんやおばあちゃんに自分で作った花のプレゼントを贈ってもらおうという算段だ。結果は成功。なんとしてもやっている人の顔が生き生きしていていい。子どもたちとお年寄りが受講者の中心だった。みんなが満面の笑みを浮かべて自分の作品を持って帰って行った。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年9月 5日

だらけた市況はすでに過去のものとなった

昨日の午後散歩をしていたら、東京にも赤とんぼが来ていていよいよ秋が始まったと思った。

都心部でも欧米系のビジネスマンが震災前と同じように戻ってきており、被災地と首都圏では復興景気も出てきて、全体に経済は活発化してきている。しかし行き過ぎた円高は困る。私の住んでいる大森には、中小零細の企業で輸出をしている企業、町工場が多い。そこが悲鳴を上げている。為替介入と円高経済対策を素早く実行してもらわないと空洞化に拍車がかかる。だが花の商売をしていると円高によって景気が悪化しているという実感は無い。それは花の市況を見て、コチョウランの相場を見ていてそう思う。アメリカ経済と欧州の金融不安から株価が下がっており、野田総理になってから債券相場は上向きだが、金融業全般は低調だ。そしてしばし円高は続く。そうなると法人需要に支えられているコチョウランの鉢の相場が下がるのだが、下がらない。高いのだ。

それは主に二つの要因からだ。一つは主に台湾から仕込んだコチョウランの苗の植え付け時期が、3.11からちょうど花の市況が低調だった一ヵ月半、ある意味では先の見通しが立たない時期に植えつけなければならなかった。当時は原発による計画停電という停電があって、電気が止まったら冷房が出来ないから開花をコントロールできない。だったらやめておこうか、少なくとも作付けは控えめにしておこうと思っていた頃のものが8月の下旬から10月の上旬の出荷になる。とにかくコチョウランの鉢が少ないのが一つ。そして二つ目はリーマンショック後、欧米では新体制を取ったが、日本では震災後精神的に「戦後」から「震災後」と新しい日本、新しい社会を作り出していくため、機構改革が行われていく。オランダのように農林水産省と経済産業省が一緒になるなどというドラスティックな改革ではないが、しかし機構改革は官民あげて半端じゃなく行われている。まず9月1日、そしてのこりは10月1日。この間のコチョウランの動きは内閣改造の需要ではなく、異動や栄転のお祝い、新オフィスへの引越しなどで結構動いている。そこでコチョウランの鉢が久しぶりの堅調相場となっている。コチョウランの鉢の堅調相場は花き業界の卸、仲卸、小売に3.11の震災直後の暴落市況の影響で生産量が減る品目が多いことを伝えた。もうこれから安値が続出することは無いだろう。心して集荷を手掛けない限り、昨年並みの入荷量は集まらないと卸売市場は思い、仲卸、小売も計画的に販売するにはどのように花を確保したら良いか、真剣に考えている。天気によって販売量は上下しようが、供給については不足するものも多いので、これからは例え単価が安くなっても締まった市況となっていくことが花き業界のコンセンサスとなってきた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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