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2011年9月 5日

だらけた市況はすでに過去のものとなった

昨日の午後散歩をしていたら、東京にも赤とんぼが来ていていよいよ秋が始まったと思った。

都心部でも欧米系のビジネスマンが震災前と同じように戻ってきており、被災地と首都圏では復興景気も出てきて、全体に経済は活発化してきている。しかし行き過ぎた円高は困る。私の住んでいる大森には、中小零細の企業で輸出をしている企業、町工場が多い。そこが悲鳴を上げている。為替介入と円高経済対策を素早く実行してもらわないと空洞化に拍車がかかる。だが花の商売をしていると円高によって景気が悪化しているという実感は無い。それは花の市況を見て、コチョウランの相場を見ていてそう思う。アメリカ経済と欧州の金融不安から株価が下がっており、野田総理になってから債券相場は上向きだが、金融業全般は低調だ。そしてしばし円高は続く。そうなると法人需要に支えられているコチョウランの鉢の相場が下がるのだが、下がらない。高いのだ。

それは主に二つの要因からだ。一つは主に台湾から仕込んだコチョウランの苗の植え付け時期が、3.11からちょうど花の市況が低調だった一ヵ月半、ある意味では先の見通しが立たない時期に植えつけなければならなかった。当時は原発による計画停電という停電があって、電気が止まったら冷房が出来ないから開花をコントロールできない。だったらやめておこうか、少なくとも作付けは控えめにしておこうと思っていた頃のものが8月の下旬から10月の上旬の出荷になる。とにかくコチョウランの鉢が少ないのが一つ。そして二つ目はリーマンショック後、欧米では新体制を取ったが、日本では震災後精神的に「戦後」から「震災後」と新しい日本、新しい社会を作り出していくため、機構改革が行われていく。オランダのように農林水産省と経済産業省が一緒になるなどというドラスティックな改革ではないが、しかし機構改革は官民あげて半端じゃなく行われている。まず9月1日、そしてのこりは10月1日。この間のコチョウランの動きは内閣改造の需要ではなく、異動や栄転のお祝い、新オフィスへの引越しなどで結構動いている。そこでコチョウランの鉢が久しぶりの堅調相場となっている。コチョウランの鉢の堅調相場は花き業界の卸、仲卸、小売に3.11の震災直後の暴落市況の影響で生産量が減る品目が多いことを伝えた。もうこれから安値が続出することは無いだろう。心して集荷を手掛けない限り、昨年並みの入荷量は集まらないと卸売市場は思い、仲卸、小売も計画的に販売するにはどのように花を確保したら良いか、真剣に考えている。天気によって販売量は上下しようが、供給については不足するものも多いので、これからは例え単価が安くなっても締まった市況となっていくことが花き業界のコンセンサスとなってきた。

投稿者 磯村信夫 : 2011年9月 5日 00:00

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