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2011年9月19日

地域と文化が活性化キーワード

福島県産の新米が国のセシウム基準レベルをクリアして出荷されると聞いてホッとしている。東京のお彼岸の小菊の産地は被災した福島、栃木、茨城が主産県で、地域の米も良し、もちろん小菊も品質良しで販売に力が入る。

さて、私は大森に住んでいるので、地元の小学校の友人たちの何人かは大田区の町工場で働く人間だ。先々週の土曜日に一杯やったら、彼らは以前1ドル=90円を割ったときに「もうだめだ」と言っていたのに、どんな創意工夫があったか知らないが、「1ドル=75円でやってくれ」と上から言われていて、「これで出来なければ首をくくるか海外に出て行くかしかない」と言っていた。小生から「場合によっては1ドル=50円になると言っている人もいる。だからそれなりの対策をここ5年で取っておかなかったらだめじゃないの」と経済雑誌やいくつかの本で勉強した受け売りを言った。1944年に出来たアメリカ中心の世界貿易体制のブレトン・ウッズ体制(基軸通貨ドルとIMF、および世界銀行)の崩壊、EUの金融不安。ユーロの内向きな体質。すなわちアメリカもヨーロッパも自分のことしか考えない。主要国の金融はそのようなので、日本のあらゆる企業ではさらに円が強くなることを想定して、将来の備えをしておかなければならない。そういうことになると、花の分野ではもうすでに国際流通しているラン、ハモノ、カーネーション、バラ、菊の国内生産地は主要取引先の市場と一緒に向こう5年間の販売戦略を作っておかなければならない。話だけでなく、具体的に行動を起こすことが必要だ。

リーマンショック後、まして3.11以降、日本のあらゆる業種で利益が薄くなり、赤字のところも多くなってきた。もう限度と言いながら過去の蓄えでどうにかやっている。政府の経済援助のおかげでもある。しかしここに来て、震災後の新しい再出発に向かってどの企業も動き出そうとしている。それはアメリカよりEUより日本経済が良いことを示している。だから円高なのだ。そこで卸売市場流通で産地が取引先を絞り出したのは、前向きな気持ちの企業がいる一方、信用リスクのある企業も多く、カウンターパーティーリスクを感じ始めたからだ。取引先が倒産したら結局自分も存続が危うくなるという危機感をどこの企業でも感じているのだ。これは社会現象である。だから業界を問わず人気企業に顧客や品物が集中して流れるようになっている。これはやむを得ないかもしれないが、野田総理が言っているようにこのままでは地域は立ち行かない。また健全な中産階級が存続し得ない。それではいけないのであって、日本のあらゆる地域が文化的に発展し、経済的にグローカル(グローバル+ローカル)にやっていけるようにする。北海道のニセコの周辺などはまさにそのようにして地域の文化を育み、そしてそこで働く者の所得は日本の平均賃金を稼ぎ出している。観光産業や他の得意な産業によって地域を活性化する。食や文化の象徴の花や音楽を活性化させることは地域活性化のコインの表裏で、まさに震災後日本が目指す食の文化と飾る文化、そして地域、この2つのキーワードは活性化する上で欠かせない。卸売市場についてだけ言えば、卸売市場は公的な交通機関だから、スーパハイウェイ、国道、県道とアクセスが良く、いつもインターチェンジで渋滞するようだと困る。市場間ネットワークを更に密に取り、その地域に合った生鮮食料品・花きが地域の人たちにスムーズに届けられるようにすること、買い物難民の手前にある卸売市場がなくなることによって小売業者がなくなっていくことをどうしても防がなければならない。地域に卸売市場がなくなろうとしている流れにどう竿さしてやっていくか、結局は気構えと公共的な役割の認識の問題だが、ここ1、2年の重大な問題となっている。市場間の連帯を取り、新しい震災後の地域を作ろうではありませんか。

投稿者 磯村信夫 : 2011年9月19日 00:00

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