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2011年12月29日

ありがとうございました

一年間ご愛読いただきまして大変ありがとうございました。
今年一年、景気動向に流されて、攻めの経営をする小売店が少なかったのが心残りです。
結果としてチャンスを逸してしまったように思います。
「前年より1割くらい少なくていいや」ということは、「1割の安値」を呼び、生産者や卸、仲卸の売上は9×9=81の2割減になってしまうリスクが絶えずありました。
この状態でどのように前年を上回るかは各自の強い思いによる実行力しかないのですが、あわせて今後とも業界のムードを少しでも盛り上げてゆく努力が欠かせません。
2011年1月から12月は、震災後の極端な需要の落ち込みがあったものの、その後母の日からの需要で挽回し、結果として3月の落ち込みは取り戻せなかったが、業界全体で前年比90%を超えるところまできました。これもひとえにグリーンカーテンだけでなく、花は生活に潤いをもたらす確固たるものとして認識され、生活者のご愛顧と小売店の努力、そして世界一の品質を誇る日本の生産者のおかげであります。
2012年は日本経済において復興景気があるものの、更にむずかしい局面に直面することが多かろうと思います。攻撃は最大の防御なりで、元気に積極的に花のある生活の良さを消費者にアピールし、業界の役に立ちたいと思います。
引き続き、ご愛読いただき、ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年12月26日

2011年 プライスリーダーが一輪菊からバラに代わる

秋菊の電照とシェイドを行うことにより、一年中安定して白菊を供給できるようになってから40年が経つ。白菊の周年栽培が確立されてから、20世紀の間は件数が増えてきた葬儀に白菊が使われるようになり、菊の産地といえば長野と東北、そして沖縄を除いてどこでも周年白菊を生産するようになった。21世紀に入り、中国、韓国、マレーシアの白菊、台湾の黄菊は最初の10年で低価格の仕事花や仏花花束には欠かせないアイテムとなった。

だが、2010年の年末から一輪菊は需給バランスが崩れ始めた。今までの安定相場につられて物日になるといつも輸入品が増えて、平常の相場と変わらない商況展開となった。それが2011年一年続いた。

今日の12月26日セリを見ていると、最大の需要期においても人気度は一輪菊の分野では、ピンポン菊、アナスタシア、ついで神馬や精興の誠などの一輪菊である。葬儀や仏事で使われる一輪菊の需給バランスが崩れたということであろう。需要はしっかりあるのだが伸びはない。葬儀も仏花も季節の花が使われ始めていて、一輪菊は暫時減少しているということだ。

3.11以降、菊に代わって切花の相場を引き締めたり緩めたりしているのはバラの市況だ。バラがこの12月は堅調に推移している。ちょうど菊であればピンポン菊が年配の人よりむしろ若い人やお子さんに人気があるように、バラは万人受けするがとりわけ若い人たちに人気がある。こだわりもある。菊を買う、あるいは菊の花束を買う人たちは団塊の世代以上で、日本に平均的に住んでいる。しかし団塊ジュニアは道州制の中心地に住んでいることが多く、地域全体から見るとその中心部に重点的に住んでいる。週刊誌、月刊誌が売れる地域、ショッピングセンターだけでなくデパートも成り立っているところに団塊ジュニアの働く場所があり、多くいる都市である。ここは高齢者も多いが、若い人たちも多く、クリスマスも花が売れ、正月も花が売れる。クリスマスが売れるということは団塊ジュニアに支えられている花のマーケットを持つところである。

震災後、いち早く普通の相場に戻したのはバラであった。7月の梅雨明け後、真夏の相場を引っ張ったのもバラであった。そしてこのクリスマス、またこの暮れも同様である。もう20世紀で気を吐いた品目は成熟から衰退期に入り、新たな品種を導入し、絶えず変化を自ら遂げて消費者を飽きさせない品目が市況を引っ張っていっている。どこの花市場でも取り扱いが一番多い菊が相場を引っ張らない。一部の市場しかバラが相場を引っ張るというようなことはない。他は何となくズルズルと行ってしまう市況展開。この事実をどのようにマーケットメイクにつなげるのか、菊が物日に高くならなくなって2年目だが、2012年も混乱が続くものと思われる。何故か?産地は荷を散らすからだ。成熟した商品は散らしたらダメだ。投売りになって陳腐化してしまう。それでは産地は食っていけない。相場が跳ねない故に、どのように安定して使ってもらうか、それを一輪菊の産地と小菊の産地は考える。サプライチェーンで『実需者』と言われる特定顧客である買参人と話し合い、安定して使ってもらえるようにすることだ。日本ばら切花協会と花き輸出入協会はバラの的確な作柄状況を卸売会社に伝えるという新たな役割を担ってもらう必要があるだろう。中核的な市場へは必ず必要だ。

一輪菊、小菊とバラの産地は市況全体に及ぼす影響力の点において役割が変わったことを認識し、商品のライフサイクルに合った取組みをしていく必要がある。それが安定市況と所得の確保に結びつく。震災後の花き業界の主役は従来の菊や小菊ではなくバラになったことを認識する必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年12月19日

試飾(ししょく)

今年はいろいろあった。ユーロ圏の金融危機、東日本大震災、アラブの春、アメリカウォール街での格差是正デモ、日本の野田総理誕生。来年にはロシア、中国、アメリカの大統領や主席の選挙の年である。20年続いた安定期から時代は不安定な混乱期に移ってしまったと感じる昨今である。

日本の卸売市場業界でも第九次卸売市場整備方針「青果・水産の中央中核市場設定」から、中央市場を辞めて地方卸売市場になる動きが活発になっている。花はもともとそうだが、中央市場は例外的とも言えるほどで、地方市場が流通を担っていると言っても過言ではない。地方市場も公設市場と民営市場があり、卸売市場業界も混乱期であり、中央拠点市場の中央市場と公設地方市場、そして問屋として機能する民営地方市場の3パターンの方向が見えつつある。世界経済は2012年まで少なくとも混迷が続くと予測されているが、すでに今まで通りのやり方では売れない。

何か売れ行きがパッとしないと感じる花き小売業界の中にあって、さすがという店が2つある。
1つはセレクトショップ化した青山フラワーマーケットである。日本には百貨店は多かったがセレクトショップはなかった。駅ナカ立地の小売店でもセレクトショップと呼べる店は少なかった。これが衣料品を中心に出てきて消費者の心を捉えている。青山フラワーマーケットはセレクトショップ化した花店と言えるだろう。だから消費者の心を捉えて離さない。
もう一つはブルーミスト社のオランダ屋である。ここはなんと言っても販売促進にイノベーションがあった。お話をうかがうと社長の蓑口さんは東日本大震災の被災地の福島県いわき市に花で元気になってもらおうと花の配布を続けている。震災後、消費者は食料品の買い溜めに殺到し、花が見向きもされなかった半月以上の間、蓑口社長は「花を販売していて自分は本当によそ様の役に立っているのか、社会に役に立っているのか」と自信を失ったそうで、そこで出来ることとして被災地に花をもらってもらうことを考えた。蓑口社長は「花で勇気付けるというよりも、本当に自分は花屋をやっていていいのだろうかという気持ちでした」と言う。そして花を配布して、喜んでもらったその笑顔や涙から、蓑口社長は「花屋をやっていていいんだ」と心底思い自信が湧いてきて、「お客さんのためにも、なんと言っても生産者のためにももっといっぱい売らなくては自分が役立つことが出来ない」と思ったそうだ。そこでいわきでやってきたように、店が暇なときに1本ずつオランダ屋の包装紙に花を包んで花を配ることにした。寝ていてふっと浮かんだ言葉が試しに飾る「試飾(ししょく)」。蓑口社長は子どもの手を引いている若いお母さん、男性、花に興味がなさそうなお年寄りに配った。「"花を飾ってみてください"と言って花を渡すと、その人は"何よ"という顔をしたり、避けようとしたりするが、そのとき"試飾です"と言うのです。そうするとニッコリしてもらってくれます」と蓑口社長は言う。蓑口社長が言うのだから本当だ。かなりのパーセンテージで初めて花を買いに来てくれて、10月も11月も売上前年比は120~140%だったそうだ。
蓑口社長は僕に言う。「『試飾』を日本中の花屋さんがやってくれたら、それも普段から花を買ってくれない人に飾ってもらったら、たとえ1ヶ月に300円でも500円でも買ってもらえるようになったら良いと思います。うちの場合お客さんの平均年齢が65歳、花の仕事をやろうと思った15年以上も前はとにかく若い人に売るぞ、だから既存のお花屋さんに迷惑は掛けないぞという気概で花屋業に入ったのに、いつの間にか買ってくれる人にしか売っていませんでした。我々小売業がもっとがんばって新規の需要を開拓しないと。1ヶ月で300円でも500円でも花を買ってくれたら業界皆が良くなって商売も進むし、我々小売業の質も上がると思うのです。とにかく試飾。試しに飾ってください。これをぜひ全国の小売店にやってもらいたいのです」
というわけで今日のお話としたわけです。では小売の皆様、『試飾』を最も効果的な販売活動として実行をお願いします。「試飾です。」

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年12月12日

"New"がフラワービジネスを拡大する

昨日の11日は松市であった。主産地茨城は早い梅雨明けと干ばつで大きいものが少なく、門松を中心に高値となった。暮れの特別市で思うのだが、選挙と同様、そのときの経済的な好不況がその品物の需給バランスと同様、相場の決め手となる。政権交代だったり、大統領選挙だったり、それぞれなぜそうなったのか、評論家はいろいろな理由を言うが、そのときの経済状況が与える影響はかなり大きい。

今年の松の相場は2割減の1割高だ。普通の景気動向であれば2割減だから3割は高くなければならない。そうはならないのが現在の足下の花の景気である。そして小売業者はクリスマスはともかくも、正月は売れると見ている。買い気は強かったが高値は出にくい。それが昨日の松市から感じたことである。


先週、FLOWER OF THE YEAR OTA 2011の話をした。今日は花普及センターが主幹している日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2011と日本フラワービジネス大賞の表彰式と祝賀会が都内であり、そのことについてお話したい。

今年のジャパンフラワーセレクションの日本フラワー・オブ・ザ・イヤーは東日本大震災の影響で切花・鉢物部門の審査会が出来なかったので、花壇苗部門のみのノミネートである。今年の日本フラワー・オブ・ザ・イヤー最優秀賞には株式会社サカタのタネのベゴニア「フォーチュン スカーレット」、優秀賞には豊明花き株式会社のセロシア「ファイヤーダンス マゼンダ」、Ball Horticultural Companyのトレニア「カウアイ バーガンディ」、サントリーフラワーズ株式会社のビオラ「花ざかり® ビオラ スカイブルー」、株式会社サカタのタネのベゴニア「フォーチュン ゴールデンウィズレッドバック」と「フォーチュン オレンジシェード」、有限会社綾園芸のラナンキュラス「ラックス ミノアン」であった。

またフラワービジネス大賞2011は育種・生産部門として株式会社クロカワストックの黒川氏、流通部門として岐阜花き流通センター農業協同組合の組合長加藤氏、事務局長の長瀬女史、チャレンジ部門として日本クリスマスローズ協会の会長畑中氏と理事の野地氏が受章され、講演をした。

輸入の種苗や切花が増加する現代において、日本で品種改良された花は日本で生産する場合、製品歩留率が高いはずだ。花は知財として、ソフト化経済の中において生産も流通サービスも勉強のしがいがあり、しかも儲かる農産品である。これからも日本フラワー・オブ・ザ・イヤー、日本フラワービジネス大賞の活動を通じ、花き産業は活性化していきたいと思う次第である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年12月 5日

フラワー オブ ザ イヤー OTA 2011

ボーナスは48週、今週の49週、そして遅いところでも50週に支給される。個人消費が期待されるが、これまでの個人消費は基礎的支出の必需品は価格が上がり、選択的支出は人気のものの価格は堅調だが、二極化して安いものが大半で、総じてデフレが止まっていない。地域的にはこの10月から日本全体のGDPを0.8%押し上げるという東日本大震災の復興景気が、東北、一部北関東を中心に出てきたが、ショッピングセンター、デパートなどの激戦区西日本は前年を下回っている。
花の消費は遅効性だが、東北の花き業者は12月から活況になっていくのか、それとも春まで待たなければならないのかやきもきしている。

さて今日はFLOWER OF THE YEAR OTA 2011について発表したい。
毎年、大田花きでその年に最も人気が高かった切花を子会社の大田花き花の生活研究所が選定。魅力のある花を作り出した生産者の方へ、その功労を称え「FLOWER OF THE YEAR OTA」として表彰している。

2011年は以下のような結果となった。
最優秀賞■ 安代 新いわて農協 様 リンドウ「ニューHBアシロライトブルー」
コメント:咲ききるリンドウ。美しさ、花もち抜群。半月以上花もち保証。
優秀賞■ 大野重雄 様 ケイトウ「オレンジクイーン」
コメント:一本ステムで大輪、現在最も単価の張る花の一つになってきた。需要期も長く、夏から冬まで。
特別賞■ 尾崎洋蘭園 尾崎進一郎 様 エビデンドラム「チドリ」
コメント:同様に一本ステムで小さな花が密集し、アジサイと同様大きな花に見える。花もち抜群。リバイバルだが、新鮮な印象を団塊ジュニアは持っている。
新商品奨励賞■ 東北第一花卉 大山邦夫 様 バラ「ブラッドオレンジ」
コメント:人気品種のバラの量を増やし、コンスタントに結婚式でも店売りでも使えるようにした。人気品種の定番化は生産者の決断によるものである。

表彰式は12月9日(金)、セリ開始前の6時50分から行われる。ぜひとも花屋さんたちは早めに席に着き、表彰式に参加して欲しい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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