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2012年1月30日

続編 試飾

昨日、上越でスキーでしたが、すごい寒さでびっくりした。寒波襲来の時とはいえ、今年の雪国や東北、北海道地域の寒さは尋常ではない。車で買い物が出来る場所にお店を構えているモールや量販店内の花店は良いが、そうでないところは苦戦を強いられているのではないかと心配する。それでも今週の金曜日は節分、翌日は立春だ。西南暖地方面の荷物も増えてきた。もう少しの辛抱だろう。

例年よりも曇りが多いが、そうは言っても晴天に恵まれている関東地方の話で、雪国の人には申し訳ないが、今年の寒さでも積極果敢に花の商売をして伸ばしている花店がある。何人かのそういう積極果敢な花店の社長さんの共通点は、「花屋は良い商売で花は必ず売れる、売れないのは自分のせいだ」と思っている点だ。花店はいつの間にかクローズドでお得意さん相手の店になってしまっていて、新規のお客さんがふらっと入ったり、ちょっと待ち合わせに使ったり、買わなくてもただ見に来るという人が来にくい場所になってしまいがちだ。だからできるだけもっとオープンに、もっと入りやすく店の構造や陳列などしないといけない。場合によっては通路や露店のようなところでやるような、とにかくオープンな設定や、少なくともそのような気持ちを社員一同が持っていなければならない。お客さんはファンだから、その店のことを褒める。自分を納得させるためにお店を褒める場合がある。だから花店は居心地がいいので、社員は安心してしまってどんどん固定客の店になってしまう。ピークが来たらあとは減っていくだけだ。これでは楽ちんだが元気が出ない。そして負のスパイラルになる。

顧客は目的客、見込み客、関心客、無関心客、潜在客の五つがある。これを少なくても関心客以下の無関心、潜在まで含めて、ここに「試飾」を行って新規顧客となってもらわなければならないのだ。商品の品質と価格、そして接客、商売しているのならこんなことは出来ていて当たり前だ。それプラス営業力、販売力がなければならない。

ソーシャルネットワークの時代、「試飾」でもらった花で初めて、花がそこにあるだけで楽しくなったり、素敵になった家庭を経験し、ソーシャルネットワークでつぶやいたり、写真を撮ったり、語ったりする。そして「もらってください」と花を無料で配った素敵なお姉さんのいるところに花を買いに行く。こうなってもらいたいと思う。「試飾」イノベーションの発見者の蓑口社長のオランダ屋さんによると「試飾」をすると平均で8%売上が伸びる。疑っていたり、嫌々やっていたりすると1~2%、絶対伸びると信じてやっていると20%伸びた実績だったとデータを見せてもらった。

花の小売店は社会的な仕事だと思う。今、ソーシャルに「社会性」と「社交性」の2つの意味があり、そしてソーシャルネットワークの時代、企業はきれいに儲けていくことが欠かせない。仕事もきれいな仕事だ。ロスを出してしまうのであれば、デイケアのところに花をプレゼントしたり、保育園の子どもたちの手が届かないけれど見えるところに花を飾ったり、そして花を買いそうもない人に「試飾」してもらったりしようではないか。必ず人の行動はうつる。あくびや風邪ばかりがうつるのではなく、やる気も嫌な感じも何もかも1人の人の行動はうつるのだ。だから花のような良い仕事をさせてもらって、喜びを届けられないようでは仕方ない。花からもらった元気を自分の仕事にぶつけて、花がこの世に生まれてきた証を消費者に届けるのが私たちの役目だ。卸・仲卸は買参人に買ってもらったらロスが出ずに売れてしまうような花を流通させましょう。生産者はそういった花を作りましょう。種苗会社はそういった花を品種改良して、いっぱい種や苗を売ってください。それに向けてフィードバックをしっかりつけて、消費者に向けてがんばるのだ。そして応分の対価を得るのだ。理想に向けて努力を積み重ねる。

小売の分野で「俺たち小売店がしっかりしないと日本の花き業界が良くならない」とがんばっている花店がなんと多いことか。今日はその一部の方々から聞いたお話しをちょっと意訳してお伝えした。

大田花きでは節分に「多荷はうち、福はうち」と言う。鬼ではなくて多い荷だ。花き業界が「多荷はうち、福はうち」となるよう、お花屋さんで豆がらを買って豆まきをすることにしましょう。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2012年1月23日

メリハリ消費

ナルシス会という勉強会を15年以上やっている。先日、今年初会合があり、「この1月店頭売りの分野で例年になく低調なのはなぜか」について話し合った。

「涼しいところにおいておけば、お正月の花はまだまだ花持ちするので、月末近くならないと買い換えない」という意見、「高齢者にとり、一定の所得のある人たちは医療費アップや財政再建目的の消費税のアップなど、なんとなく欧州の通貨危機も含め政治経済の問題から買い気が起きない」や「今年は寒いので、あまり外に出たがらない」という意見があった。そして新しい今日的な意見としては、「震災後日本人は日本再生に向け一人一人の気持ちは前向きになっているから消費行動においてメリハリ消費になっている。ただ単にバーゲンで安くなっているから買うということはなくなった。"こんな風にして春を楽しんでください"など、"今週の花"やら"歳時の花"やら"飾り方の提案"など、とにかく消費者の心に訴えることをせず、今までの待ちの商売で花き業界は来たから1月はだめだったのではないか」との原因究明もあった。たぶんこれが正解だろう。

給料前で懐が寂しいのに、1月20日から週末にかけて今日で4日目の雨か雪マーク。残念だけれどもこれでは相場が出ない。今年特に雪が多い北海道など、雪国の人たちは花屋さんに行くのも大変だろう。だが、ようやく千葉県から菜の花やキンセンカやストックが量的にも出てきたし、スイートピーも安定して出荷され始まった。経済は悪くとも雰囲気に負けず、前向きな心を持って元気な花を選んで、消費者に届けて行きたいと思う。
お花屋さんは小売店だから立地産業。自分の地の利を意識した販売方法で、昨年までとは違う消費者に対するアピールをしてもらいたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2012年1月16日

合併相談所

 今日から新セリ機でセリを行なっている。クラウドコンピューターですっかりコンピューターが身近な通信手段となった。何も電子頭脳を1台1台のコンピューターが持つ必要は無い。社会の公共財のような頭脳を大きなコンピューターに処理してもらって我々はインターネットでつながって自分が生きていく情報をやりとりし、行動できれば良い。こう個人もiPhoneやiPadを使ってそうなってきたし、仕事をそうしていこうというのが大田花きの考えだ。
 大田花き買参人さんは年配の方でも、ことIT使用については10才以上も若いんじゃないかと思われる位、機械操作も反射神経も優れている。何しろ今までのセリ時計で自分の思った値段で買っているのだから、この反射神経と能力は本当にすばらしい。クラウド時代の取引システムで卸売市場で象徴的なセリシステムが順調に進みだしたことはフェアな価格発見と成功共有化を旨とする大田花きとして、今日は1つの記念すべき日となろう。
 さて、先週の1月10日(火)日本農業新聞の1面記事は会社合併「兵庫県生花と鶴見花き」の記事だった。花だけでなく、卸売市場はM&Aや合併の時となっており、新しい卸売会社のありようを産地や小売店に具体的に見せ、利用価値を訴えて地域社会で生き残っていきたいと考えている。兵庫県生花と鶴見花きは、大手の業者として人材も豊富なので、いち早い話し合いがもたれたのであろう。先見の明があり、勇気ある立派な経営行動である。
 しかし、花き卸売市場協会の会員市場の大多数が30億円未満である。会員の最も多いこの規模の会社は経営者一人の肩にかかっていると言っても言い過ぎではないであろう。そうなると危機感はあるが合併のことについて知識、情報、時間が不足しがちである。可能な限り地域の中核的な花き卸売市場としてはしっかりとした荷揃えをし、小売店が売り負けない規模の卸売市場を目指して欲しい。そうしないと買参人様から魅力ある市場と言われなくなってしまう。
 合併問題はデリケートなので、市場協会として支所長やニュートラルな学識経験者に大所高所からご指導いただけるようなことを考えていこうと思う。

投稿者 磯村信夫 : 16:24

2012年1月 9日

新しいことをやる

高齢化社会で年末年始葬儀が多い。昨年の秋の13号、15号の台風と11月に入ってからの長雨で暖地の作柄が悪く、春物の入荷が少ない。冠婚葬祭をしている花屋さんは苦労が多いスタートとなった。

今日の新聞に千葉県の人口が予定より7年も早く減少したという記事が載っていた。理由として、3.11による浦安地区の液状化問題や東電の福島原発によるホットスポット問題で、移転が続き、人口が減ったという。日本は千葉、埼玉、東京、神奈川などの東京都市圏に3,600万人もの人が集中しており、日本の人口の28%の人がいる。大阪を中心とした関西圏で15%、名古屋を中心とした中京圏で10%なので、三大都市圏にいる人口が過半数になっている。特に東京都市圏は異常で、東京都市圏の次に人口が集積しているのがインドのデリー圏の2,200万人だから、日本の東京都市圏がいかに集中しているかがわかる。これでは日本が良くならないのだ。理想的にはドイツのようにもっとバランスよく、100万人以上の都市を作らせないようにする。そして地域に同じような産業を集積させ、例えば大田区や東大阪、日立市や豊田市、あるいはメガネフレームの福井の鯖江市のようにしていく必要がある。OECDの指標を見ても、幸せ度は所得にスライドするから、ここ20年、35,000ドル少し上のところから所得が伸びない日本と、40,000ドルを超えるシンガポールやアメリカと比べると、未来を語る語り口が当然に違う。日本は先進国の中で最も国際化が遅れており、しかも最も内需の比率が高い国である。その傾向は田中角栄内閣のときから如実に出ており、一世代(30年)ずっと内向きの政策ばかりをやってきた。ここに問題があろう。

イトーヨーカドーはスーパーマーケットの手法をクローガーから学び、電算システムやそれを活かしたロジスティックをウォールマートやセブンイレブンのサウスランド社、デニーズから学んでここまで発展してきた。大田花きも電算システムをアップル社やマイクロソフト社から学び、せりシステムや鮮度保持システムをオランダから学んで、生産性を誇れる花の卸売会社の一つとなったと思っている。決して内向きにならず、国内にいても新しいニーズを嗅ぎ付け、問題を解決し、労働生産性において国際標準を上回ろうとしてきた。現在、花き業界にある閉塞感は、小売の分野において利益を出しにくい制度となっていることにある。冠婚葬祭とも、紹介料他が3割以上となっている点、集客力のあるところのテナントに入ったとき売上高家賃が2割近くになっている点など、ここ20年、特にここ10年で花き業界から他業界へ流れるお金が多くなった。この商売の制度上の問題から小売は利益が少なく、それが結局生産者の利益の少なさへとなっている。これを解決するには、制度や販売の仕方などで、イノベーションをしなければならない。事実として短期の利益は社員教育や設備投資によって得られるが、長期の利益はイノベーションによってしか得られない。その業界の発展はやる気のある人が新たに生産や流通や小売に参入したのか、イノベーションを伴うどんな新しいビジネス展開があったのか、我々はもう一度生産の分野から販売の分野まで、新しいルール作り、新しいことをやらなければならない。海外の動向をつぶさにチェックしたり、取り入れるべきは取り入れたりして、新しいものをここで生み出してゆくのも、グローカルな業者として必要であろう。
1999年、アメリカでインターネット花屋を立ち上げ、1ドル=80円になおして10数年で現在500億円以上を売っているProflowers社長の親友エイビ・ウィンパレは、日本の花き業界があまりにもおとなしいのに近頃あきれている。3.11後、日本に住むことにしたドナルド・キーン氏も、日本に"立ち上がれ、勇気を出せ"と言っている。
「やってやろうじゃないか」辰年だ。竜が天に飛び立つように、まずはなんでもいいから新しいことを仕掛けていく。そういう一年にしていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2012年1月 4日

新年明けましておめでとうございます

昨年の暮れは順調な売れ行きであったところが多く、小売店の頑張りに感謝する次第です。
売れ行きを見てみますとダブルインカムの世代である1970年代生まれの人たちを引き寄せた花店は、松と千両が高かったものの、上手に商品づくりが行われ、あるいは価格設定がスマートで今後とも期待できるお店作りが出来ていたなと思われます。また年末お店を閉めた後、ウィンドウディスプレイならぬちょっと見えるところで、外からの視線を意識したお正月飾りで通行人をおもてなししてあって、さすがこのお店は違うなとの印象を受けました。
このように細やかな配慮で需要を生み出す仕組みや作法を業界上げてやってゆきたいと思う次第です。

今年も一年間ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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