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2012年2月 6日

花は質を下げてはいけません

 関東東海花展が昨日閉幕した。毎年この時期池袋サンシャインで開催されるこの展覧会は、私が知る限り最も品質高い展覧会である。開会式の時、田島生産協会会長が、「ちょっと品質がおちたんじゃないか」とおっしゃった。「たしかにそうですね。油が高く、なかなか十分に温度をとり難いが、頑張って良いものを作ってもらわないといけませんね」と返事をした。残念ながら今年は天候のせいもあり、品質は例年より落ちていた。
 花は少子高齢化でも需要は減らない。胃袋に入るものを作っている農業は少子高齢化で、人数が少なくなるだけでなく胃も小さくなって同じだけの量を作ったら余る。しかし花は住環境が改善され、一人あたりの居住空間は広がって町並みも整う。ガーデニングにいたっては、「漸く暇が出来て初めて菜園かガーデニング」が出来ると喜んでいた団塊世代の人は多い。花は人口動態から見ても需要が増えるから、或いは、増える可能性があるから質を落としてはいけないのだ。理由はこうだ。食事は素材の良さと料理人の腕の良さがあいまって美味しい食事が提供される。ウエイトは料理人の腕が上で素材はその次となる。そして、食べてしまったらお腹を壊してしまわない限り食事の役目は一応済む。花は素材の良さと花を活けた人の腕による。美しさは同じ花の素材を使っても断然違う。そして活けられた花はそこからがスタートだ。食べてなくなるわけではない。活けた瞬間はたしかに腕前に価値があり、ついで素材の花だ。しかし、翌日翌々日と徐々に花の持つ生命力や輝きが俄然価値を帯びてくる。生産者の責任は、切花でも一週間近く花持ちがする様に健康な身体で市場へ送り出すこと。苗物や鉢物は、一ヶ月や三ヶ月、もっと長い期間生産者は責任を持つぐらいの意気込みで生産する必要がある。だから花は品質を絶対落としてはならないのだ。その花の天寿なら仕方ないが、金儲けに走って品質を損ねるようなことがあってはならない。花は、少子高齢化は決してマイナスではないのだ。むしろ需要を作り出すことが出来る。ただし、国民が憂いなく生活できるということが前提だ。花は長い間、補助金も貰わずに民々でやってきたから非常に強い生産者が沢山いる。今なら後ろ向きの気持ちを持つな、と云い一緒に需要拡大に向けて努力出来る。
 まずは、良いものを作った人をきちっとした評価と報酬が行くようにする。法人需要が減っているし結婚式も多くない。葬儀も花で祭壇を作っているのは全体の3割だ。しかし、このような状況下でも市場は良い品物を丁寧に説明してお花屋さんに売ることを約束しよう。自分をブランド化する為、ロゴや屋号をぜひともつけてほしい。送り状のところや、或いは、箱などに大田花きなら日本で一番最初に機械セリをしたから、あのロゴマークを書いて大田花きと書くように、ロゴがなかったら屋号を、そしてもうひとつ、自分の花の写真か農場の花の写真を出荷先の市場に送ってもらいたい。良い外見と中身も揃った品質、そしてロゴか屋号、また作っている花の写真と農場や作っている責任者の写真、これでもって手を抜かずにしっかりとしたものを作って需要を逃がさない。一緒にその需要を増やそうではありませんか。

投稿者 磯村信夫 : 2012年2月 6日 15:51

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