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2012年3月19日

3月の花良く売れています

3月に入り、少子高齢化と所得減でどこまで売れるか心配した花き需要であったが、「案ずるより産むが易し」で、店頭で花が良く動いている。3.11後の絆消費とメリハリ消費に支えられて、母の日まで商品としての花きは他の物材と比べて価値が高く、大筋としてしっかりとした需要が見込めるであろう。

'彼岸の入り前、心配した仏花需要'
「無縁社会」とか「孤独死」だとか言われている通り、約5千万世帯のうち、半分が一人世帯、二人世帯であり、全体の30%が単身世帯になっている。単身世帯そのものは、ヨーロッパでも30~40%くらいだから、消費面においてはそうは心配していないが日本は中高年男性と高齢男女の単身世帯の比率が急速に増えたので、それが「無縁社会」や「孤独死」の社会問題を引き起こしている。このように、サザエさんの家族やドラえもんの家族に見られる家族間の「縁」やら「絆の大切さ」を3.11で思い起こしたのだが、家族そのものが壊れているので20世紀のようにお墓参りで使われる花への数を同じように見るわけにはいかない。だから、彼岸の入り前にも沖縄県で例年通り菊を作っていてくれていたから仏花素材は極端には困らなかったものの、千葉のキンセンカ、ストックは例年の半分だった。お墓参りの花の数が出るのならもっと相場は高くなっただろうに、21世紀になり家族が壊れてそう期待出来る数は見込めなくなっている。お花屋さんや花加工業者はそう見ている。

'卒業式の花の予算が横ばいからやや下げ'
1990年代と2000年代生まれの子供たちが卒業している。そこでご両親はダブルインカムの人もいれば、奥さんがハウスワイフの人もいる。ただ我々がいつも頭の中に入れておかなければならないことは、日本の給与所得者の平均給与は1997年が最も高かったことだ。その年467万円である。国税庁発表の2009年の給与所得者の平均給与はリーマンショックでボーナスが下落したり出なかったりしたこともあり406万円、年間で61万円も少なくなっている。もう少し詳しく見ると、300万円以下の人数が2009年は2000年に比べて25%増え、中産階級と呼ばれる500~1000万円の人数が22%減ったということだ。
 野田総理が就任のとき、健全な中産階級を増やすと言ったのは、まさにこういうことだ。こうなると夫婦で働いて、まず600万円の一世帯割り収入を目指すということになる。800万円を次にどのように目指すかということになろう。800万円の年収になると、お洒落を楽しめるようになるし、コンサートや旅行に行ったり、花のある生活をしたり出来るようになってくる。それにはいかにして安心して子供を育てられるよう保育所と会社の中で既婚者を受け入れる体制を作るかが急務である。子供の数が少なくなっただけなら中国の一人っ子政策の子供達のように、おじいさん、おばあさんも近くに住んでいる人が多いことだから、卒業式や謝恩会の花がもっと使われてもいい筈だが、しかし、実際は単身世帯が増えているのと世帯所得が落ちているので、花の値段について厳しい予算提示をしてきている。

'しかし結果良し'
たしかに所得は厳しい面もあるが、団塊ジュニア以上の個人需要はしっかりしている。それは、前前回でも書いたとおり殆どの花売場で時代にあった品揃えがされており、時代にあったお洒落な取り合わせの仏花、ミニブーケ、アレンジが提案されているからだ。1990年代生まれ、1980年代生まれの人達が中心となって花店を切り回している。この人達の花の価値、提案作業は消費者に受け入れられている。今後とも、若い人達のパワーに期待をする花き業界である。

投稿者 磯村信夫 : 2012年3月19日 16:48

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