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2012年6月 4日

やや消費意欲後退か

 暖地のトルコギキョウがピークを迎え始めている。もう20年以上前のことだが、菊には夏菊という品種群があって、静岡県は積算温度で咲く夏菊の大産地であった。イノベーションで秋菊を日の長さを調節することによって開花させ、一年中しっかりした菊が愛知県・福岡県から出回るようになると、夏菊の産地静岡県はトルコギキョウに品目を代え、トルコギキョウでは第1級の産地となった。時代と共に品目も産地も変わっていくが、トルコギキョウはバラ同様新品種が開発され続け、持ちも良いので大品目となっている。今日から第23週目、小売商は本格的に初夏の品揃えを始める。トルコギキョウは量的に出回っているので、需要にはドンピシャリである。

 母の日以降の相場水準は、3.11のあった昨年と同等か、それよりも少し安くなっている。その理由はGWから母の日絡みで花を沢山使ってもらい、まだ花や緑のある生活が各家庭にあるからである。そして、母の日以降に株価が極端に下がり、日経平均で8千5百円を割って裕福層と云われるご年配の株式を持っている人達は、花を定期的に買ってくださる消費者であるが、この方達の消費が鈍い。株価が花の消費の手応えに敏感に響くようになったと実感して6、7年経つ。今小売業大手は団塊の世代狙いで開店時間を早くしたり、旅行では色々リッチな企画をしているが、花は21世紀に入ってからずっとこの世代に使ってもらい、育ててもらってきた。そして近頃は、この団塊の世代は成熟した大人になるというよりも「いつまでも格好良く生きたい」という人達であることがわかってきた。アラフォーの人達が好きなバラやガーベラも団塊の世代向けに小売店が提案すると良く売れるようになってきた。「金時もち」でガーデニングもブランド苗が人気だ。

 ここのところの相場安は、暖かくなって荷が潤沢に出てくるようになってきたこと。そして、GWでお金を使ってしまって今財布の紐を締めている最中であること。さらに団塊の世代を中心に株安で何となく資産が目減りして消費意欲が低下していることに繋がっている。

 金融不安が実態経済に直結している。2016年までは景気はあまり良くないと予測する人が多い。その中で今は債券が買われているが、株が上がることによって消費マインドが変わってくる。淡い期待をよそに花き業界を運営する経営者は、2012年度も景気が悪いことを想定し、手を打って置く必要を5月締めてみて実感しているところである。

投稿者 磯村信夫 : 2012年6月 4日 13:04

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