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2012年6月18日

物流が勝敗の決め手となっている

 桜の時期、ソメイヨシノの木がこんなに沢山あるのかとびっくりするが、散歩に行くとアジサイも多いことにびっくりし、桜とは違って色々な品種があるので楽しませてもらっている。桜の時期になると卸売市場の価格は少し安くなる。それと同様、アジサイの時期になると花の相場が安くなる。今まで花き業界は、梅雨なので外に出ないし、出たとしても傘を持っているので切花を買えない。また、土がぐちゃぐちゃしているので、ガーデニングもしない。こう安値の理由を挙げていたが、日本人にとってアジサイは桜に次ぐもの、庭の花として堪能したり、切花にして室内で楽しんだりするのも相場が少し下がる理由なのである。

 ガソリン価格がだいぶ落ち着いてきたが、花き業界にとって利益を出すにはどう燃料費をトータルとして圧縮するかに懸かっている。生産者は暖房費と資材の高騰、また市場まで届ける運賃の値上がりで利幅が薄くなったと嘆く。卸、仲卸も集荷、配送費もコストがかさみ、取扱数量が増えないので利益を出すのに四苦八苦している。こういった状況の中、本年度に入り、ネット業者が最終消費者まで届ける物流を構築するとの記事を目にすることが多い。NTTドコモは、らでぃっしゅぼーやを買収し、ローソンと協業して消費者までの最終物流を持つことになった。セブン&アイホールディングスでは、ネット販売と買った物をお届けする物流を本格化させる。イオングループも通称「ネットスーパー」の形で自社で、また宅配業者と組み、買い手の手に渡るまでの物流を商売の一つに組み入れる。楽天ももちろんamazonも最後まできちっと届けるまでを仕事としている。

 卸売市場は、市場法で所有権が移った段階で、買い手は引き取り物流をするのがルールになっている。しかし、その考え方は少し時代にそぐわないのではないか。小売の場合、利益を買い手である消費者から受け取ることが出来るが、卸売市場の卸売会社は、委託品であれば利益は産地からいただく。買付けであった時に初めて再販業者として買い手からいただくことが出来る。圧倒的に委託品が多いので、卸は買い手の引き取り物流、卸からしたら搬出、或いは納品物流は別途のサービスで、受益者負担の原則で買い手に代わって行う物流だから、卸がやるとすれば、別途の代金をいただくことになる。このサービスを買い手はサードパーティーロジスティックスを得意とする物流会社に頼むという手立てもある。ロットが小さくなり物流費が割高になっている現在、ネット企業を中心に最後まで届けることまでを自社の仕事としている。そのような時代にあって、卸売市場は調達から最後の納品までのサプライチェーンを自分の仕事として捉えるべきである。市場は評価や価格発見だけが仕事ではない。もちろんそれは卸売市場ならではの仕事だが、現在大切なのはサプライチェーンのうち、分荷・配送分配物流で生産性を上げて行くことである。卸売市場こそ、物流改革を行い生産性を上げていくべき業種である。

投稿者 磯村信夫 : 2012年6月18日 12:48

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